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22,秘密

 今回はちょっと長めです。


 ※注 とってもオブラートに包んだ性的表現があるよ!

 俺が部屋に戻って直ぐ部屋の扉を誰かがノックした。


 シュタインさんだろうか? だとしたら多分、俺のギフトについて詳細が知りたいんだろう。


 俺は後頭部を掻きながら部屋の扉を開けた。


「シュタインさん、悪いけど今日は――」


 疲れたから明日話を聞くと言おうとして言葉を止めた。


 扉の前に居たのはロスマリンだった。


「マサキさん、お疲れの所すみません。 でも、どうしても貴方とお話しがしたくて……」


 何処か思いつめた様子のロスマリン。


「あ、ああ、部屋の前じゃあ何だし、中に入りなよ」


 正直、今日は疲れたし、考えたい事もあったんで明日にして欲しかったんだが、俺は断る事が出来ず部屋に招きいれた。


 決して意思が弱いとかじゃないからね!


 俺は机に備え付けられた椅子を引っ張り出し、ベッドの対面に置いてロスマリンに座るよう勧めて俺はベッドに腰掛ける。


「で、どうしたんだ?」


「……貴方は……いえ、貴方様は聖者様だったのですね」


「いやいや! 俺、そんな上等なもんじゃないよ! 何処にでも居る只のガキだよ!」


 前世がどうでも、今の俺は聖者でも何でもないし。


「何でそう思ったんだ?」


「神殿、教会の最高位ので在らせられる教皇様でも死者蘇生の《リヴァイバー》が限界です。 でも貴方様が使用した《リサージェンス》は伝承にある聖者様にしか使用できませんから」


 ロスマリンは真剣な表情で俺を見ている。


 う~ん、そういわれてもなあ~……。


「俺が使ったのは《リヴァイバー》でも《リサージェンス》でもないよ。 だから――」


「まさか! 《生命(ライフ)》なのですか!」


「ちょっ! 何でそれを! あっ……」


 しまった! 口が滑っちゃったよ!


「《生命》は命の神でもあらせられた始まりの聖者様にしか使えない御業! なら、なら貴方様は!」


 あ~あ、もう駄目だわ。 仕方がない。


 俺は彼女に《HES》で表示されるステータスを見せた上で全てを話した。


「確かに俺は”元”命の神で聖者様らしいけど、でも今の俺にはその時の記憶はないよ。 それとこの事は他の誰にも言わないんで欲しいんだ。 アーガス国王とかに知られたら色々面倒になるから。 だから普通に接してくれないかな」


「分かりました聖者様――いえ、マサキさん。 ……マサキさんが私に大事な秘密を打ち明けて下さった信頼の証に、私も自分の秘密を貴方に御見せします。」


 そう言うとロスマリンはいつも頭に被っている白のベールを脱いだ。


 そして自身の見事な白金髪(プラチナブロンド)を掻き揚げると長く尖った耳が顕になる。


「!? そ、その耳は!!」


「はい、私はハーフエルフです」


 腰まである長髪を元に戻しにロスマリンは自分の生い立ちを語ってくれた。


 ロスマリンはエルフの奴隷であった母と教皇に次ぐ地位と権力を持つ枢機卿の父との間に生まれた隠し子だった。


 母親は流行病で亡くなり、ロスマリンは枢機卿の知り合いであった司教の下で育てられたが父親の枢機卿は何者かに暗殺され、ロスマリン自身も暗殺の危機にあった為、やむなく遺跡街に逃れて来たという事だった。


「……そっか。 ロスマリンも色々苦労したんだ」


「司教様が親代わりとなって私を育てて下さいましたから、マサキさんが考える程苦労はしていませんよ」


 ロスマリンは俺に微笑んで見せた。


 と思ったら、急に真剣な表情になって話を切り出す。


「マサキさんにお願いがあります」


「お願い? 俺に出来る事だったら聞いてあげられるけど、何?」


「始まりの聖者であるマサキ様に私を仕えさせて頂きたいのです」


「へ?」


「神殿は主神オーグ様を崇め、教会は始まりの聖者であるマサキ様を祀っています。 そのマサキ様に仕える事は我々教会の者にとって最高の栄誉なのです。 だから、私を貴方様にどうか仕えさせて下さいませ」


 そう言うとロスマリンは床に膝を突き頭を垂れる。


「どうかお願いします!」


 ロスマリンのその態度にオロオロと動揺してしまう。


「ちょっ!? わっ、分かったから! 頭上げて立って! 普通に、普段通りに!」


「では仕えさせて頂けるのですね!」


「あ、いや、それは……」


「駄目、なのですか?」


 ロスマリンは目に涙を溜めて俺に訴えかけてくる。


 だ、駄目だ! 俺にはとても断れない!


「わ、分かった! 俺に仕えて下さい、お願いします!」


 思わず俺の方からお願いしちゃったよ……。


 ロスマリンは泣き顔から一転、輝かんばかりの笑顔になる。


「ではこれから末永くお願いしますね!」


 そのセリフ、何か俺ん所に嫁に来るみたいな言い方だな。


「でも具体的に仕えるってどうすんの?」


 ロスマリンは頬染めて俯く。


「そ、それは、その……聖者様は別名”蘭の聖者”と呼ばれてまして、聖女様を奪われた心の傷を女性とその……交わる事で癒やしたと伝わっております。 ……ですから、私のこの身と心を捧げて仕えたいと考えております」


「も、もしかして、”蘭の聖者”の”蘭”って……んでもって《性の喜び》ってスキルって……」


 ロスマリンは顔を更に真っ赤にして懸命に言葉を紡ぐ。


「じょ、女性に心を癒やして貰うと同時に、女性の悩みを……その、”男性の象徴”で解決したのでそう呼ばれたそうです。 その際、使われたスキルが《性の喜び》で……そのスキルは聖女様と体を幾度も重ねあわせた結果、手に入れた能力だと、その……教会にはそう伝わっております」


 マキシ、何さらしてくれてんねん! 俺に迷惑掛けるなや!!


 でも、ロスマリンとゴニョゴニョか……。 悪くはないなあ。 有りか無しかで言えば有りだ。


「きょ、今日の所は御疲れでしょうからまた明日――いえ、マサキさんが望むなら今からでも」


 ロスマリンは着ている修道服をそそくさと脱ぎだした。

 

「いや、今日はいいから! お願いだから止めて!」


 何処か残念そうにロスマリンは修道服を着直し、ベールを被る。


 いや、残念そうに見えるのは俺の気の所為だ、多分。


「そ、それではまた明日お会いしましょう」


「あ、ああ。 また明日」


 ロスマリンは別れを告げ、部屋から出て行った。


 ん? 今、廊下の角に誰か居たような……。 気の所為か。




☆☆☆☆☆☆




 夜中、俺はベッドで何度も寝返りを打つ。


 昼間の事もあり俺は中々寝付けなかった。


 バルデスさんはあれからずっとあの少女――ライネに付きっ切りで看病している。


今日はこのまま止まるとシュタインさんから聞いた。


 俺はというと――


「俺に掛けられた呪いは発掘場最下層に居るアークリッチーの協力が必要。 しかしそれにはモンスターを倒さなければ前に進む事は出来ない。 でもそれはモンスターに姿を変えた死者の魂でモンスターと戦うということは彼等と戦うという事。 でも、俺は彼等と戦えない。 戦いたくない。 そうなると――」


 ……さっきからこれを繰り返しだ。


 答えが出ない袋小路に陥っている。


 《神眼》何てモンが無けりゃあ、あんなモン見ずに済んだのに。


 そしたら何の迷いも無くモンスターと戦えたのに。


 そう、《王家の隠し財宝》の時の様に……。


 そこではたと気づいた。


 《王家の隠し財宝》のダンジョンってもしかして……怨念タイプのダンジョンじゃあ……。


 あの時の俺は《神眼》が使えない状態だから分からなかったけれど、そしたらあそこに出現したイービルリトラーってもしかして……。


 体中から冷や汗が湧き出し流れる。


 や、止めようっ! 考えるの止めようっ! 怖いから止めようっ!


 あそこのダンジョンはもう消えてなくなったし、《HES》の《ダンジョンメイカー》のは飽くまで仮想のモノで本物じゃないから! イービルリトラーは人の魂で出来てないから!


 忘れよう! うん、そうしよう!


 必死になって別の事を考え、忘れようと努めていると誰かが部屋のドアノブを回し扉を開ける音が聞こえた。


 俺は咄嗟に壁に立てかけてあった大剣に飛びつき柄を握り締め構えた。


「待て! 私だ!」


 声の主は俺の護衛騎士レイヤだった。


「夜中にノックもせずに異性の部屋に入る何てまるでよ――」


 ”夜這いみたいだぞ”、と言葉を続けようとして息を呑んだ。


 闇夜に慣れた目でレイヤを確認すると体に布一枚巻いただけのあられもない姿だったのだ。

 

「な、な、な、なんて格好し――」


 俺の言葉はレイヤに手で口を塞がれ遮られた。


「しっ! 声が大きい! 静かにしろ! 今の状況を誰かに見られてもいいのか?」


 げっ! それは勘弁!


 頭を振って否定の意思をレイヤに伝える。


「なら静かにしてくれるか?」


 俺は何度か頷いて肯定する。


 いらぬ誤解を受けるであろうこの状況で誰かに見られる愚は俺だって冒したくない。


 レイヤは俺が叫ぶ気配が無いかを確認しながら俺の口からそっと手を離す。


「で? こんな夜中にそんな格好で俺の部屋に来るなんてどういうつもりだよ」


「お前に見てもらいたいものがあって来た」


「お前もか! いや、何でもない……」


 イカン、イカン。 ロスマリンの事は秘密だ。


「ああ、昼間ロスマリンが正体を見せた事か?」


「何の事かな?」


 動揺を隠し平静を装って惚ける。


 ヤバイよヤバイよ! もしかしてあの時部屋の中を覗かれていたのか!


「安心しろ。 誰にも言わん。 何せ私も似たようなモノだからな」


「似たようなモノ?」


「そうだ。 誰にも明かすつもりは無かったがお前が嘗て聖女の元許婚であった始まりの聖者なら話は別だ」


 レイヤは一呼吸置いて話し出す。


「――私は妖精族の始祖の一人である聖女ティファーユと邪神アシャールの実の娘アイリーンだ」




☆☆☆☆☆☆




「マジですか?」


「マジだ」


 俺は素早くレイヤから離れて間合いを取り大剣を構える。


「何でラスボスの娘がこんなとこに居んだよ!」


「だから待てと言うに! 私はお前と戦う意志はない! その証しに私は丸腰だ!」


 そう言うと自ら巻いていた布を取り去り生まれたままの姿を俺の目の前に晒す。


「だーっ! 分かった! 分かったから! だからこれ巻け!」


 レイヤが落とした布を慌てて拾って押し付ける。


「裸ではないので別に恥ずかしくは無いんだが……」


 この娘何言ってんの? どう見ても裸でしょうに!


「裸じゃ無いなら何だって言うんだよ!」  


「ちょっと待て。 今脱ぐ」


 そう言うとレイヤは少し腰を曲げ背中の皮を思い切り引っ張り、「よいしょっ!」という掛け声と共に皮を脱いだ、って――ええ! 脱げた! 脱げたよ! 皮が脱げたよ! しかもレイヤの皮から何かゾンビみたいなのが出てきたよ!


「驚いたか? これが”今”の私の姿だ。 ……恥ずかしいから余り凝視しないでくれ」


「その姿の何処に恥じらうポイントがあるのか分かんねえよ!」


「むう! 私とて好きでこんな姿になったわけではない!」


「見せたいモノってそれかよ……」


「そうだ。 お前は《神眼》を持っているのだろう? ならばバレるのも時間の問題だ。 だから自ら正体をバラした」


 レイヤはあの時フルヘルム被ってたから分からんかったし、そもそも俺にはそんな余裕が無かったんだけどな。


 その後聞いた話だが、邪神アシャールが戦神アーダに受けた傷を完全に癒やす為、聖女ティファーユから不老不死の力を受け継ぐ娘のレイヤ――アイリーンに傷を移したのだという。

 

「アシャールは術を掛けた後、用済みとなった私を打ち捨てた。 実の娘である筈の私を、な……。 その後、お前が我が身を犠牲に奴と相打ち封印してくれたが、この身は元に戻らなかった。 故に私は魔獣の皮を使い、この醜い体を覆い隠しひっそりと暮らしていたのだ。 だが――愚かな人間族の王によってその封印は解かれた。 私は人に紛れ、千年間アシャールから逃げ続けていたのだが、幸運にもお前と出会えた」


 人間族の王ってのはきっとバリストールのアンダメ国王の事だな。

 

「幸運か? 今の俺は何の力も無いガキだぞ」


「”今”はな。 だが発掘場に潜れば一時的とはいえ呪いが解かれる。 その力で私を癒やして欲しい」


 おお、それなら簡単だ。


 無茶振りされるかもと思ってちょっとドキッとしたぞ。


「分かった。 なら今から行くか? 夜中だから誰かに見られる心配もないし」


「ああ、そうしよう」


 アイリーンが身支度を整え、誰にも気付かれない様に注意し、俺達はそっと下宿を抜け出した。



 

☆☆☆☆☆☆




 俺とアイリーンは誰にも見咎められること無く発掘場ダンジョンに入ることが出来た。


 だが俺は発掘場の入り口に近づくにつれ、例の如く気分が悪くなってきた。


「な、何か昼間来た時より怨念みたいなの強くなってきてないか?」


 漂う負の気配というか感情というか、そういう良くない類のモノが集まってきている様に俺の目には見えた。


「そうだな。 確かに私でも怨霊の気配が分かる程強くなってきている。 これ以上先に進むのは危険だ」


 アイリーンは顔を顰めて答えた。


「じゃあ、やるぞ」


 アイリーンは頷き目を閉じる。


 俺はアイリーンに固有スキル《生命》を発動した。


 アイリーンは光に包まれやがって光が剥がれ粒子となって消えていくのだが……魔獣の皮を被っているから効果があるのか今ひとつ分からない。


 光が完全に消え去るとアイリーンは膝から崩れ落ちた。


「大丈夫か!」


「大丈夫だ。 気持ち良過ぎて力が抜けただけだ」


 《生命》はマッサージか何かの効果があるのか?


 今度、自分で《生命》を試してみようかな。


 俺はそんな事を考えながらアイリーンに手を貸して立ち上がらせる。


 しかし傍から見ると十二歳の少年が十八歳の少女に手を貸す様は何ともシュールな光景だ。


「で、傷は癒えたのか?」


「多分、な。 しかし確認しない事には分からない。 ダンジョンから出たら近くに宿がある。 其処で確認しよう」


「分かった」


――ダンジョンから出た俺はアイリーンの後に付いて行ったのだが途中である事に気づいた。


「ちょっと待て。 此処って妖精族の居住区じゃ無いのか?」


「そうだ。 それがどうした?」


「『それがどうした?』じゃねえよ。 ここいら辺に人間が立ち入ると妖精族とのトラブルの素になるんじゃないのか?」


「安心しろ。 この道では妖精族も絡んでこない」


「何でそう断言できる?」


「行けば分かる」


 アイリーンが俺を連れて来たのは一軒の宿。


 周りの家がみすぼらしい掘っ立て小屋に対しその宿は三階建の大きな建築物だ。


 が、やはり所々ボロボロである。


 手入れはしているようだが適当感が半端ない。


 アイリーンの『行けば分かる』という言葉の意味が分かった。


「此処、娼館じゃねえか!」


「そうだ。 だから例え嫌悪している人間族でも娼館の上客だから、あの道を通る人間には絡んだりしない。 もしそんな事をしでかしたら妖精族の長から食料配給が止められてしまう。 そうなったら発掘場にすら行けない弱い妖精族は飢え死んでしてしまう。 だからあの道は安全なんだ」


「そんな事よく知ってんな」


「役所でアルバイトしていた雑貨屋のユイファから聞いた。 さて、部屋を取るからちょっと待っててくれ」


 そう言うとアイリーンは草臥れた服をきたハーフリングの親父のもとに行く。


「部屋は空いてるか?」


「ああ、空いてるよ。 何なら娼婦か男娼、もしくは両方付けるないか?」


「要らん。 こっちは相手同伴だ」


「……途中でも欲しくなったら言ってくれ。 直ぐに用意する。 部屋だけの利用は金貨一枚だ」


 金を親父に渡して部屋の鍵を受け取る。


 しかし何なんだ、さっきの会話は?


「あの親父、何であんな事言ったんだ?」


「探求者には底無しの性欲を持つ奴等が多いからな。 一人や二人じゃ足りないんだ。 だから一人の客に対して複数人で相手をするのが当たり前らしい」 


 ……とんでもねえ世界だな。 数人で相手するのが普通なんてちょっと引いたぞ。 あ、でも、このまま探求者やってたら俺もそうなるのかな?


 などと考えつつ、アイリーンの後に付いてくとニ階の階段近くの部屋に着いた。


 アイリーンは部屋に入るなり身に付けていた物を全て取り去り素っ裸になった。


「おい! 俺が居るんだからもうちょっと羞恥心と言うものを……」


 俺が呆れて注意している途中、魔獣の皮で出来た被り物も脱ぎ捨て、被っていたアイリーンの姿が顕になる。


 俺はアイリーンのその姿に息を飲んだ。


 体型は細身でありながらしっかりとくびれが有り、胸は豊満で巨乳、形は半円型でお尻は丸い大きな形をしている。


 肌の白さと対照的な腰まである真っ直ぐな黒紫の髪。


 一房だけ白色の前髪と色気を感じさせる濡れた黒紫の瞳。


 黄金比で測り形作られた様な完璧な黄金率の顔。


 美の芸術と言っても過言ではないだろう。


 そのアイリーンは両手で自身の体に触り、素の姿に戻った事に感動で打ち震え涙を流して喜んでいる。


「ああ……もう無理だと諦めていたけれど……元の姿に戻れた……。 長かった。 とても、とても長かった……」


「そ、そうか! じゃあ、もう確認も済んだことだし、さっさと帰るか!」


 俺はアイリーンから視線を逸らし、背を向け部屋から出ようとドアの取っ手に手を掛けようとした。


 これ以上、裸のにアイリーンと一緒に居ると、劣情を催して理性が保てなくなるから。


「待て。 まだ済んでない用事がある」


 アイリーンはそう言うと裸のまま俺の背中にそっと抱きつき、俺の手に自分の手を重ねてドアの取っ手から離させる。


「ちょっ! 何を……」


「ん……」


 アイリーンに向かって文句を言おうとしたら俺の口をアイリーンの瑞々しい唇で塞がれた!


 オマケにアイリーンの奴、俺の口に舌を捻じ込んできやがった!


「ぷはっ! 行き成り何すんだよ!」


「勿論礼だ。 だが生憎、私には持ち合わせが無い。 そんな何も無い女が出来る礼といったら体で払うしかなかろう?」


「俺なら礼の言葉だけで十分なんだが……」


 流石に其処までは望まんぞ。


「それでは私の気が済まん。 安心しろ。 私は男性経験が全く無い初物だぞ。 しかも今後、何時如何なる時でも私の全てをお前の自由にして良いのだ」


「安心の意味が違うし! それに俺、そんなの望んでないんですけど!」


「ええい! つべこべ言わずに有り難く受け取れ!」


 そのままアイリーンに成す統べなく押し倒された俺は、ちょっと悲しく情けない、でもとっても気持ちいい卒業式を体験するのであった。


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