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20,孤児と探求者

 すみません。 話、あんまり進みませんでした……。


※アルサートの名前が間違っていたので修正しました。

 あれから俺はロスマリンが今どうしているか気になったのでロスマリンの様子を見に行った。


 場所が探求者向けとはいえ女子寮なんで余り長いはできなかったが。


 ロスマリン、人前では無理に明るく元気に振る舞ってたけど、それがちょっと心配なんだよな。


 ただ、これ以上の干渉はロスマリンも迷惑だろうし、ストーカーと勘違いされかねない。


 まあ、そんな訳でやる事も無く、暫く街の中をふらつく事にした。


 つっても行けるとこなんて限られてるけど。


 そういえば未検証でまだ分からないのは固有スキルの《生命(ライフ)》と《性の喜び》だけだな。


 《神眼》は多分デッカイ蛇を斬る前に見えたあの感覚なんだろう。


 でも、《生命》は兎も角、《性の喜び》はなあ……。 


「あら? 新人さん、どうしましたか?」


 不意に後ろから声を掛けられた。


 振り返って声の主を確認すると、其処に居たのはダークエルフのディーナさんだ。


 見事なプロポーションの持ち主で歩く姿が艶かしい。


「あ、こんにちはディーナさん。 ディーナさんこそ、そんな沢山荷物を持ってどうしたんです?」


 ディーナさんはその背に大きなリュックを重そうに背負っている。


「わたくし、これから妖精族の居住区で病気を煩っている方を診察してまいりますの。 これは患者さんを診察する為の道具と薬です」


 ディーナさんは「うんしょ!」と掛け声を言って重い荷物を背負い直す。


 そうだ! お近づきの印に《圧縮収納バック》を一つ進呈しよう。


 俺は早速《端末》を呼び出し《ショップ》で《圧縮収納バック》を購入、ディーナさんに渡そうとした。


「な、なんですの? それ……」


「あ……」


 ディーナさんは俺の前に浮いている《端末》を指差した。




☆☆☆☆☆☆




「そうですか、マサキさん。 貴方が先生の仰っていた勇者様なのですね」


 俺はディーナさんに俺が異世界の人間であることを説明した。


 どうやらシュタインさんはこの街の妖精族にも俺の事を話していたようだ。


「でも、宜しいのですか? そんな貴重な物を頂いても……」


「いいんですよ。 これ、俺なら幾らでも手に入れられますから」


 お金は掛かるけど俺のギフトの能力でタダも同然だし。


「有難う御座います」


 デーィナさんに簡単に使い方を説明して、ディーナさんと別れようとしたその時――


「イテッ!」


 何処かから石が飛んできて俺の頭に当たった。


「やい! ディーナ姉から離れろ!」


 石が飛んできたであろう方向から聞こえたのは子供の怒鳴り声。


 見れば襤褸のフードを目深に被った少年が立っていた


「コラッ! ロージィ!」


 デーィナさんがその少年――ロージィを叱り付ける。


 が、それでも俺に向かって石を思い切り投げつけ、ディーナさんに駆け寄りディーナさんと俺の間に割って入って俺の前に立ちはだかる。


 年の頃は丁度今の俺と同じ十二歳位だろうか? その少年が憎しみも露に俺に向かって再び叫んだ。


「人間はディーナ姉達を傷つける! そんな人間はこの街から出てけ!」


「ロージィ、違うの! この人はそうじゃないんです!」


「違うもんか! 人間は皆おんなじだ!」


「ロージィ!」 


 ディーナさんがロージィを懸命に宥めようとするが当の本人は興奮して聞く耳を持たない。


 こりゃ、俺が居ない方がいいな。


「ディーナさん、俺はこれで……」


「すみません、マサキさん! お礼は後で必ず!」


 デーィナさんはロージィを抱きしめてロージィの動きを封じてくれていた。


 俺はその間にトンズラする。


「お礼はいいですから! それじゃっ!」


「待て! 逃げるな人間! おい、……!!」


 逃げる俺の後姿に向かって尚も罵声を浴びせ続けるロージィ。


 やれやれ、今度からアイツに気をつけなきゃな……。




☆☆☆☆☆☆




「ああ、ロージィね。 ロージィはね……」


 俺はあれから鍛冶屋に駆け込み難を逃れ、それからシャルン、コリンに先の出来事を話した。


 コリンが俺の防具を打ちながらロージィの事を話してくれた。


 ロージィはエルフの母親と人間との間に出来たハーフエルフ。


 母親が娼婦で複数の探求者であった人間の相手をしていたので父親は誰か分からないらしい。


 その母親も生きていくのに邪魔なロ-ジィを捨てて今はディーナさんや雑貨屋のユイファさん達が面倒をみているそうだ。


「ロージィは半分人間の血を受け継いでるからね。 食堂のイヴ程ではないけどそれでも差別を受けて育ったから人間を憎んでいるんだよ、と。 マサキ、サイズ合わせてみて」


 俺はコリンに言われるがまま腕当て、胸当て、脛当てを身に着けてみる。


「だからっていき成り石をぶつけられる方にしたらたまったもんじゃないよ……」


「んー、まだちょっと大きいか……。 調整が必要ね。 ――でもね、ロージィがそんな事するなんて初めてなのよ。 普通なら自分から人に近づかないわ。 逆に怖がって逃げるのよ」


 シャルンがコリンの話に同意して頷く。


「えっ、そうなの? とてもそんな風には見えなかったけどなあ」


「謎だよねえ~。 どうしたんだろ?」と人差し指を顎に当て考え込むシャルン。


 そんなの、俺の方が聞きたい。




☆☆☆☆☆☆




 さて、そんなこんなでとうとう閉門日が過ぎた。


 漸く発掘場に入れる日が来たのだ。


 俺は今、シャルンが打った大剣を背負い、コリンが拵えてくれたミスリルの防具を身に付けて役所の前に来ている。


 役所の前には俺や俺の護衛のアルサートやレイヤ以外、その他大勢の人間でごった返していた。


 今日のこの日、初めて発掘場に入る探求者志望の人達に発掘場についてのレクチャーと武器やアイテムの配布が行われる。


 俺達は既にバルデスさんから発掘場のレクチャーを受けているし、武具も自前の物を用意しているので必要ない――と、思っていたら今朝、シュタインさんから”発掘場等のダンジョン内にあるトラップを解除するアイテムも合せて配布するので必ず来るように”と言われたので仕方がない。


 罠なんぞ俺達のパーティーで扱える奴なんて居ないのだから必須アイテムなのは間違いない。


 で、現物が俺の手の中にある、これ。


 名前は《トラップキャンセラー》。


 形は拳銃のグリップのような感じで、人差し指のとこにある釦を押すと透明なシャボン玉のような物が出て、それが自動でトラップを感知し、壁等の障害物を通り抜けてトラップに張り付き解除するトンデモアイテムだ。


「さあ! 貰うもん貰ったし、いざ行かん! 発掘場へ!」


「あの、マサキさん……」


「ん? て、ロスマリン!? なして此処に居るの!」


 ロスマリンは何時もの服装に加え、探求者向けに配布された物よりも洗練された作りの杖を胸に抱いて俺達の前に立っていた。


「教会を立て直す資材と資金を入手する為に私も探求者になりました!」


 彼女はこの街の教会に赴任して来たけれど、教会は誰も手入れをせずボロボロの廃墟になっていた。


 そこでバルデスさんの提案で探求者向けの女子寮に逗留していたのだけど。


 まさか、探求者になるとは……。


 アルサートだけでなく、流石のレイヤもビックリお目目になっている。


「そ、そうなんだ~。 でもロスマリン、モンスターと戦えるの?」


「はい! 司教様に護身術と理術(フォース)の手解きを受けました! あ、理術は回復系は全て会得しています!」


「ですが、御一人で発掘場に潜るには危険ですよ」


 いつの間にか近くに来ていたシュタインさんが横から話に割り込んできた。


「そうだな。 マサキ、お前この娘と知り合いなんだから、ついでに面倒見てやったらどうだ?」


 シュタインさんに便乗してバルデスさんも話に加わる。


「どちらかと言うと、俺の方が面倒見て貰う必要あるんですけど……」


「大丈夫だ。 あのステータスなら三層迄なら余裕で行ける。 但し、トラップと階層のボスには気をつけろ」


 ロスマリンを止めて欲しかったのに、助け舟を出すなやバルデスさん!


 俺はアルサートとレイヤを見る。


「決めるのはマサキだよ」


「右に同じ」


 二人共、俺に判断丸投げしやがった!


 いや、アルサートの奴は鼻の下を伸ばしてニヤけてる。


 コイツ、俺が断らないの見越してやがるな……。


「はあ~、分かりました。 ロスマリン、俺達と組むか?」


「宜しいのですか?」


「ロスマリンを一人で活かせる方が心配だ」


「有難う御座います! これから宜しくお願いします!」


「此方こそ、宜しく!」


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