16,ギフト開放
俺の料金箱に金貨一億枚を投入した後、俺達三人はシャルンとコリンの鍛冶屋に戻っていた。
見つけた財宝の山はあのまま置いてきた。 と、言うより置いてこざるえなかったが正しい。
だって、余りにも多すぎる。 俺に無限収納の能力は無いので仕方がないのだ。
この事は代官代理のシュタインさんに報告しておかなければならない。 でなければ財宝の権利を主張できないのだそうだ。
一気にお金の心配が無くなったのでついでに防具をコリンに作って貰う事にした。
種類は腕当て、胸当て、脛当ての三つ。 軽くて固いミスリル製だ。
計金貨10枚になったが見つけた財宝の金貨でお支払い。
ちなみにギフトはまだ開放していない。
帰ってからのお楽しみとして取っておいたのだ。
さて、どんな能力なのか?
今から楽しみで、オラわくわくが止まらないぞ!
☆☆☆☆☆☆
マサキが立ち去った鍛冶屋の工房内
「ねぇ、コリン。 マサキ君の事どう思う?」
「どうって? 姉さん」
「も、もう! 分かってるくせに!」
シャルンの言葉に態ととぼけて姉をからかうコリン。
赤面しながらコリンに反論するシャルン。
「私も最初は遊び相手としか見てなかったけど、あんな事言われちゃねえ……」
あんな事とは自分達妖精族が邪神を解放していない。 その言葉を信じると
言ってくれたマサキの言葉だ。
「あ~あ、千年間なら人間とも一緒になれたのにな~……」
「あら? 今でも一緒になれるわよ。 ……ただ、ものすご~く覚悟がいるけどね」
「覚悟か~……。 今は其処まで無いかな」
「じゃあ、マサキは私が貰うね」
「ちょっ!? それ駄目!」
「何で? 覚悟、無いんでしょ?」
「そ、そうだけど! ”今は”ってだけで!」
「そんなノンビリしてる時間無いと思うよ」
「どういうこと?」
コリンの言う事に意味が分からず首を傾げるシャルン。
「マサキは妖精族の女を虜にする。 何かそんな予感がするよ」
「まさか~」
シャルンはコリンの言葉を何時もの冗談だと受け取っていた。
しかし、この時のコリンの言葉が後に正鵠射ていた事に痛いほど思い知らされる二人であった。
☆☆☆☆☆☆
鍛冶屋を出て帰る途中、 お腹が減ったので食堂に立ち寄った。
昼食にパンとスープを食べた後、ついでに晩飯のパンとチーズを購入した。
食事は普段ハルラさんが作るのだが街の門が開いている七日間は役所の仕事で忙しいので昼食、夕食は各個人で自由に摂ると皆で決めた。
今日の残り時間はギフトを開放して能力の検証に当てる予定なので夕食は簡単に食べられる物を選んだ。
それにしてもそろそろ替えの着替えが欲しいな。
何せ今着ている服は一ヶ月前にこの世界に召喚された時に着ていた服のまま。
しかも洗濯も一切してない。 風呂にも入ってないので身体も痒い。
原因はリーが俺を執拗に追い掛け回してくれたので着替えを手に入れる暇が無かった。
ちなみに服や靴のデザインはこの世界のものだが下着は俺の世界のものだ。
この世界、いやこの国だけか?男の下着はパンツしかない。 しかもゴムが無いので紐でズレ落ちないよう縛るタイプの物。
特に大の時、一々紐を緩めないといけないので正直不便だ。
昨日ハルラさんに聞いたのだが、替えの服を買おうにも雑貨屋のユイファさんも役所の仕事に駆りだされ、現在店は閉まっている。
その上、今は品不足で服はもちろん下着類も殆ど無いらしい。 あるとしても大人用だけなんだそうだ。
閉門前には街に届くらしいので今は我慢するしかないか。
☆☆☆☆☆☆
俺は当面の下宿先である代官代理のシュタインさん、ハルラさん夫妻の家で自分の部屋として充てがわれた部屋に戻ってきた。
部屋にはチェストと一体型のベッド、小さい机と椅子の三つしか無い質素な部屋。
俺は大剣を部屋の壁に立てかけて肩をほぐす。
「さて、これから待ちに待ったお楽しみの時間だ!」
俺は料金箱を呼び出す。
喚び出した料金箱に金貨の枚数一億枚が表示され――ていた筈が今は別の文字が交互に表示されている。
『ギフトを解放しますか?』
『YES NO』
「う~ん、YESなんだけどどうすりゃいいんだ? 返却ボタンの他に押すようなものは無いし……」
暫く考えても答えなんかでない。
「よし! 試しにYESの表示を押してみよう!」
俺は”YES”、”NO”の選択画面に切り替わった時、”YES”の表示を押してみた。
『ギフトを介抱します』と表示が変わった。
「ビンゴ!」
嬉しさの余り、思わずガッツポーズで叫んでしまった。
すると料金箱が展開図の様に開いていく。
さて、どんな能力が発動するのかな!
ワクワクが止まりませんぞ!
展開された料金箱から一回り小さい料金箱が現れた。
「――って! なんでやねん! ベタ過ぎるやろ! お前はマトリョーシカかーい!」
俺が一体なにをした! この世に神はいないのか!
いや、いた結果がこれなんだけどさ!
俺は打ちひしがれて床にうずくまる。
「ん?」
展開図の様に広がっていた料金箱であった物が一瞬で細かく分割し、分割された物同士が高速でくっ付くという現象が起こっている。
その現象がおさまると目の前には3Dパネルディスプレイとリクライニングチェア、チェアの直ぐ横には料金箱という配置でそれらは鎮座していた。




