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15,お宝発見!

 その大剣はシャルンが練習用として打った物。 しかし、普通の大剣に比べ重くて大きい為にバルデス以外に扱える者が居なかった。


 しかし、中々に良い一品に仕上がったので鋳潰すのも勿体無く、そのまま死蔵していた物だった。


「まさかこれに買い手がつくとは思わなかったよ!」


 シャルンは大剣の代金として受け取った金貨三十枚をホクホク顔で眺めてる。


 俺はシュタインさんから研究に協力する見返りとして金貨五十枚を受け取っていた。


 そういえばシュタインさんの事、皆は先生と呼ぶけど一体何でだろう?


 あの人は代官代理の筈。 そりゃあ個人的な趣味で歴史や異物の研究をしてるけど。


 その事をシャルンに尋ねてみた。


「先生は貴族で代官代理の癖に妖精族に対して偏見や差別せずに私達にも色んな事教えてくれるから、いつの間にか先生って呼び名が定着したの」


 シュタインさんは人気者の様だ。 中身は中々の狸だけど。


「まあ、アルフェリアの遺跡研究の為に国の役人が嫌がるこの街に喜々としてやってきたんだから、かなりの変人だよね」


「でもそれに付き合わされる奥さんのハルラさんはいい迷惑じゃないのか?」


「あれ? 聞いてないの? ハルラも先生と同じ理由でこの街やってきたんだよ。 それで先生と知り合って結婚したって訳」


「似た者夫婦だった!」


 ハルラさんもシュタインさんと同じ穴のムジナだとは思わなかったぞ!


「それより御依頼の腕輪の処置が終わったんだけど?」


 何時の間にか作業を終わらせたコリンが俺の腕を自身の豊満な胸の谷間に鋏んで絡みついてきた。


 うっ! ぷにぷにして気持ちいい。


「こ~ら、コリン! またそうやって純朴な少年を弄る! そんなんだから彼氏の一人もできないんだよ!」


「あら、姉さんだって彼氏ができた試しがないじゃない?」


 二人共、不敵な笑みを見せて互いに睨み合っている。 かなり怖い……。


 どうしよう、困った――おや?


 さっき俺がアダマンタイトを斬った拍子に入れた壁の切れ目から僅かに明かりが漏れているのに気づいた。


 俺はその切れ目から中の様子を覗いて調べてみる。


 鍛冶屋は街の壁に直接くっ付く形で建てられている。 この壁はその街の壁だ。


 外から見た時、壁はかなり分厚かった筈なのに切れ目をから除く壁はレンガ三枚分の暑さしか無かったのだ。


 「「どうしたの?」」


 二人が睨み合いを止めて俺に訪ねてくる。


「壁の中から光が漏れてる」


「陽の光じゃないの?」


「陽の光なら壁の裂け目全体から漏れる筈だけど、この明かりは一箇所に集中してる」


「どれどれ、私も見てみる」


 俺はその場をシャルンに譲る。


 シャルンは壁の裂け目を慎重に調べる。


「マサキの言う通り、これは松明か何か……人工の灯りだね。 多分、壁の向こう側は通路になってるよ」




☆☆☆☆☆☆




 「はー、城壁の中って通路に成ってたんだな」


 俺達はランプが等間隔に壁に吊るされた城壁の中の通路を歩いてる。

 

 ランプには理術が込められているみたいだ。 ランプの燃料は城壁の上に設置された宝玉から壁伝いに流れている理力だろうとの事。


 俺達がどうやって中に入ったかと言うと俺がシャルンから購入した大剣で壁を斬り裂いたのだ。


 アダマンタイトのインゴットを斬った後、ステータスを調べてみたらスキルに《理技(りぎ)》熟練度6/6が追加されていた。


 これなら発掘場のモンスターと十分渡り合える筈。


 現在、スカウト関係のスキルを持つコリンを先頭に後ろをシャルンが歩いて警戒している。


 俺はこういうダンジョン内を探索するのは初めてなので真ん中である。


 女の子二人に守られている構図はちょっと情けない。


「モンスターの気配は全くしないわね。 というよりネズミ一匹居やしないし」


 コリンがスキルを使って策敵して結果、周囲には生物やトラップの類は全く無いらしい。


「ダンジョン化もしてない様だしやっぱり普通の通路みたいだね」


 シャルンが自分の間近に在る壁を触りながら喋る。


 そもそもダンジョンが隣接して発生する事はまず無いらしい。 例え発生したとしてもどちらか一方のダンジョンに直ちに吸収されてしまうそうな。


 二人の推測では此処は兵士が使用する連絡用通路で、もし敵がアルフェリア城に攻撃を仕掛けてきた際にこの城壁の上部に弓兵を配置する為のものだろうとの事。


その証明として屋上に通じていると思われる上り階段が設置されていた。 しかし現在、屋上に通じる扉は固く閉ざされている。


――数三十分後


 行けども行けどもまったく代わり映えしない通路。


 正直、飽きたし疲れた。


「一度、家に戻ろう。 それから先生に相談しよう」


「そうね。 先生なら何か分かるかも」


「そういえば、此処って街の何処ら辺?」


 ふと、現在位置が気になったので聞いてみた。


「ん~と、大体門と正反対の方角、かな?」


 だったらと俺はコリンにこの辺を、特に階段がある場所を調べるように頼む。


「いいけど、どうして?」


 コリンは壁を手探りで触りながら調べ始める。


「よく読んだ本とかの物語のパターンで門とか重要な施設から離れた場所によく隠された通路や部屋に繋がる入り口があるんだよ」


「はぁ~? 何かと思えばそんな事? 幾らなんでもそんな都合のいい話なんてあるわけないよ」


 シャルンは呆れて否定する。


 やっぱりそうか。 そんなご都合主義な展開流石に無いか。


 でも、ひょっとしてひょっとしたら、と思ったんだよな~。


 不意にコリンの動き止る。


「……在ったわよ、隠し扉」


「「へ?」」


 シャルンと俺は一瞬、コリンが何を言ったか理解できなかった。


 俺達二人が呆けた返事をしたと同時にコリンは階段横の壁のレンガの一つを力を込めて押し込んだ。


 すると壁のレンガが一つ一つ高速で不規則に動いたと思ったら大きな空洞が姿を現した。


「下に降りる階段が在るけど、どうする?」


「「もちろん降りる!」」


 振り向いて問うたコリンに俺とシャルンは息ぴったりに声を揃えて返事する。


「だろうと思った」


 苦笑いを浮かべたコリンが階下の空間に顔を向け、気を引き締め直して慎重に階段を降りて行く。




☆☆☆☆☆☆




「「「ふわぁ~!?」」」


 階段を降りた先、広大な空間で俺達三人を待ち受けていたものは果たして宝の山々であった。


「すっげ~……」


 東京ドーム一つ分位ありそうな空間を照らし出す人工の光、フォースが込められた照明器具によって露になる全貌。


 床を覆い隠す程の金銀宝石、それらで作られた品々、金貨、銀貨、宝貨に用途不明の道具。


 なにこれ? 夢? 夢なら覚めないで! だって、金貨一億枚の塊が其処ら中あるんだよ! ギフト開放し放題だよ!


 はっ! いかん、いかん! 正気を失う所だった!


 ああ、その前にこの財宝の権利はどうなるのか聞いてみよう。


「そんなの決まってるよ。 これ全部、マサキの物だよ」


「えっ!? これ全部? 何で? 二人にも権利があるんじゃないの?」


 コリンとシャルンは苦笑い、というか微妙な顔で説明してくれる。


「マサキは知らないだろうけど、私達妖精族にはこの遺跡街で発見される財宝の類には所有権が無いんだ」


「唯一所有権があるのがモンスターからのドロップ品と生活に必要な最低限の品だけよ。 後はぜ~んぶ人間族の物になるのよ」


「うわ! 其処まで妖精族を縛るのか! すんげえ理不尽だな!」


「仕方ないよ。 人間族には邪神を解放した種族として疎まれてるから……」


「でもね! 私達妖精族はホントはそんな事してないんだよ! 私達を育ててくれたドワーフのオジィが言ってたもん!」


「コリン!」


「だって……」


「マサキ君、コリンの話しは忘れて。 兎に角、これは正真正銘マサキ君の物だよ」


「分かった。 でも、俺はコリンの言う事を信じる」


「「えっ!?」」


「だって、余りにも人間族に都合がいい部分しか伝わってないし。 もしかしたら裏があるかもしれない」


 実際はコリンの言う事は事実だ。 色々と拙い事になるから話さないけど。


「ありがとう……」


「少しでも信じてくれて、嬉しい……」


 二人は目を潤ませて俺を見る。


 そんな二人に見つめられてちょっと恥ずかしくなった俺は目を逸らし、話題を変える話のネタが無いか必死に考えてるうちにある大事な事を思い出す。


 あ、そうだった! ギフトを開放する分の金貨は確保しておかなくちゃ!


 危うく忘れるとこだった。 危ない危ない。


 俺は貯金箱……もとい料金箱を出現させる。


「え、何、何なのそれ!」


「変な箱が出て来た!」


 突然現れた料金箱に驚く二人に大丈夫と声を掛け安心させる。


「これは俺のギフトだよ。 ……ただ、使用するには金貨一億枚が必要で今まで使えなかったけど。  でも、此処にある金貨で漸く使える目処が立ったよ!」


「あ、そうだったんだ」


「じゃあ、私達も金貨集めるの手伝うよ」


「ありがとう!」


 俺一人では流石に金貨一億枚これに投入するのは面倒なので素直に助かる。


 そして俺はシャルンとコリン、二人の協力の下見事金貨一億枚を料金箱に収めることができた。


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