叔母様からお手紙が来たの!! ~プロローグ~
ある日、隣町のそのまた隣の町に住んでいる叔母さんから、フレイトとイルタ当てに手紙が届きました。
フレイトとイルタはとても仲の良い兄妹です。二人は叔母さんからもらう手紙が大好きでした。
何故なら、叔母さんは大の冒険好きでしたので、何処に行って其処にはどんな不思議な物や珍しいものがあったかなど。
手紙を出すたびに教えてくれるのです。フレイトとイルタは叔母さんの手紙にはどんな小説家が書く物語よりも面白いことが書いてあり、
いつか自分たちもこんな冒険をしてみたいと思っていました。今日の手紙には何と書いてあるのか、どんな冒険をしたのかと二人はワクワクしながら封筒を開けました。
今回の手紙にはこう書いてありました。
親愛なる私の甥と姪へ
徐々に暖かくなってきたといってもまだまだ寒い日もあるが、風邪などは引いていないかね?
しっかりとした君たちのことだろうから余りないことだとは思うがね、用心にこしたことはない。
さて、恒例となりつつある近居報告でもするとするかね。今回私は、ユーガルシア大陸の南に位置する
オーレアン諸島にある無人島に行ってきた。
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(中略)
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とまぁ、近況としてはこんな所だろうな。長々といろいろ書いてしまったが、本題はまだ別にあると書いたら
君たちは驚くかい?私の冒険譚を嬉しそうに読んでいる君たちにささやかながらサプライズがあるのだ。
先ほど、オーレアン諸島にある無人島の事を書いたと思う。そこに君たちへの贈り物を隠しておいた。
賢い君達ならばもう分かるだろうか。そう、宝探しという名の冒険が君たちへのサプライズだ。
君たちの家からオーレアン諸島迄の往復チケットとオーレアン諸島から無人島までの往復チケット。宝探しの地図、普通の地図。その他に入用だと思うものをメモした
紙を同封しておこう。そうそう、冒険初心者の君たちにガイドをつけようか迷っているのだが……行けばわかるとしておこうか。
私が同行できれば一番なのだが、それだと冒険の楽しさが減ってしまうだろうから止めておこう。
では、良い旅路を。
君たちの叔母 ドローシェ・J・スティガー
追伸:兄とサーシャには了承を得ているので安心するように。
叔母さんからの手紙を読み終わった二人は大興奮。早速、封筒の中身を確認し始めました。
封筒の中には手紙に書いてあった通りに家からオーレアン諸島迄の往復チケットと無人島迄の往復チケットが二枚ずつ。
地図二枚。其れから、必要な物を纏めたメモ紙。そして、小さな瓶です。中にはとても小さな丸い薬が入っています。
ラベルのようなものは貼ってありません。これでは何の薬なのか分かりませんが、叔母さんは必要な物を入れてくれているのですから、必要な物なのでしょう。
二人は叔母さんにお礼の手紙を書きました。
親愛なる僕たちの素敵な叔母様へ
雪山の氷が溶け柔らかな草と色鮮やかな花が徐々に咲き誇る季節がやってまいりましたね。叔母様、お気遣い有難うございます。
僕もイタルも、特別大きな怪我や風邪等もひくことなく、元気に毎日を過ごしています。
今回の冒険譚も心躍る物ばかりで、イタルにいたっては手紙を何度も読み返しています。まぁ、かくいう僕もなのですが。
特に、無人島の野生動物たちとの触れ合いの場面などは、とても愉快で羨ましい限りです。
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(中略)
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今回も、手紙の感想だけでもう大変な枚数を書いてしまいましたね。
叔母様からのサプライズとても嬉しいです。早速旅の準備に取り掛かりたいと思います。
少年と少女、それから空賊が空の城を目指す映画のとある歌を口ずさみながら。
貴女の甥と姪 フレイト・R・ストファン
イタル・A・ストファン
追伸:叔母さま、ラベルの貼っていない小瓶の中身は何薬ですか?
また博士の発明品ですか? イタルより
手紙を書き終えた二人は、叔母さんが用意してくれたメモを見ながら旅の準備を始めます。
方位磁石にランプ、ナイフに一切れのパン……は違いますね。持っていくならもっとがっつり持っていかなくては。
清潔なティッシュにハンカチを何枚か。それから、着替えと寝袋も要りますね。食料は日持ちするものが良いでしょう。
必要なものは全て博士からもらった、どんな大きなものでも入る不思議な鞄に入れてしましましょう。
博士は叔母さんの旦那さんで、よく不思議な物を創っては二人にプレゼントしてくれるのです。
さぁ、旅の支度が終わったようです。明日は、旅立ちの日なので二人とも早めに就寝をとるようですね。
おやすみなさい、良い夢を。
「ねぇ。お兄ちゃん、私明日がとっても楽しみよ!わくわくし過ぎて寝れないわ。どうしましょう」
「大丈夫だイタル。お前なら寝れる、断言しよう。ベットに入ったらお前は三秒で寝るということを」
「失礼しちゃうわ!私だってねぇ!ドキドキしすぎて寝れなくなるときだって、ある……ん……だか……ら…………」
「お休み良い夢を」