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初恋で恩師で上司な彼  作者: 洟 華夏瀧
初恋で恩師なアナタ
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第六話 サラリーマンの家族も辛いです

主人公sideです。ヒロキ様は主人公を顎で振り回します(笑)

「え?イギリスの大学?」


ヒロキ様が久しぶりに我が家に帰ってきたかと思ったら、とんでもない事を言い出した。で、それに返したのが冒頭の台詞だ。

ヒロキ様はかあちゃんの入れたブラックコーヒーをすすりながら続ける。

ソファーにふんぞり返って座っても、その長いおみ足は簡単に組むことが出来る訳で…


ちくしょう!リア充、自滅しろ!


あたしはお兄の正面のソファーに座ってかあちゃんが入れてくれた甘々のカフェオレをごくごくと飲む。


「そうだ。俺ならともかく、お前が日本に残るのはいろいろと問題があり過ぎるからな……とりあえず“学生”は親と一緒にいろ。これは命令だ」


忘れた頃にやってくる。それはとうちゃんの転勤だ。

前回の転勤の時は、ヒロキ様は日本に残り、一人暮らしをしながら大学に通っている。

あたしは勿論国内の大学への進学を希望していたのだが……


「命令って……」

「“ここ”より“向こう”の方が合ってるだろ?」


確かに!さすがはヒロキ様、相変わらず鋭い観察眼をお持ちで……

日本で悪目立ちしまくっていたこの容姿も、イギリスに行けば一般大衆に埋没してしまったのだ。

普通って素晴らしいっ!!ビバ!平凡!

何処を歩いても、いや、学校内にいてもあたしより背の高い女の子がいるこの喜び!

どうどうと街を歩けるどころか、どの店に入っても普通に接客して貰えるこの安心感!

帰れるものならまたロンドンに帰りたかったさ……だけどね?


「折角友達が出来たのに……同じ大学の理工学部に一緒に受験しようって約束したのに…」


そう。結花なぎさと約束したのだ。

彼女は、男子が多い理工学部に入学し、生BLを堪能する。あたしは好きな科目を専攻する。

喩え目的が違っていても志は一緒!共に頑張ろうって……そう誓ったのだ。

なのに、俺様兄様ヒロキ様は無表情で鋭い指摘をする。


「お前も親父の転勤にあらかた予測がついてた筈だが?」


うっ……実はうすうす気づいてました。

でもね?あたし受験生だよ?受験が理由で親の転勤についてかない子供だって多いじゃん。


「諦めろ。サラリーマンの娘なら。それに、お前が向こうにいる方が俺には都合が良いんだ。いいか?明日中に願書を書け!そして俺の番号にFAXしろ」


どうせこの世は諸行無常さ。え~と、祇園精舎の鐘の声だっけ?平家物語って。

あたしは渋々お兄からイギリスの大学のパンフを受け取った。



**********


「…って、事なの。ごめんね。折角約束したのに…」

「ふむふむ……で、件の“ヒロキ様”推薦はどの大学なの?」

「コレ……なんだけど」


放課後、昨日の事を結花なぎさに説明するあたし。

彼女はポッキーを頬張りながらお兄に渡されたパンフを見ながら何でもない事のように質問してきた。


もしかして、あたしが行く大学に興味があるのかな?


あたしはお兄専用の付箋がついている大学の資料を彼女に渡した。

すると……


「ふむ…インペリアル・カレッジ・ロンドンね。コレ、今からコピって来ても良い?」

「へ?」

「学校案内はパパちゃんのオフィスにFAXしてと。明日までに願書書けばいいか…。ね、専攻は電子工学科で良い?」


ポッキーを加えながら資料を持ってすっくと立ち上がると印刷室へと急ぐ友。

何で父親のオフィス?それと願書書くって……もしかして…

結花なぎさの残したポッキーをつまみながら考えるあたし。すると…


ガラッ


「ね?どうせだから一緒に願書を書かない?」


彼女が出て行ってからまだ数分しか経っていないのに、資料を持って嬉々とした様子で帰ってきたのだ。


「さっき資料をFAXしてパパちゃんに確認したらさ、ウチ系列の不動産会社のマンションが近くにあるからそこに住めば良いって」

「え?あのさ…それって…」

「あ、そうだ!しいちゃんはいつ渡英するの?良かったら一緒に行こ?私今回はVSのプレミアムエコノミーとるつもりなんだぁ。

だってアッパークラスだとオヤジばっかりで“観察”出来ないもん。リーマン親父カップルが趣味の人もいるけど、私はやっぱリーマンでも30代までが限界だなぁ……」


……結花なぎさの父親が日本だけでなく世界でも屈指のホテルチェーンの総帥だって事すっかり忘れてた。

お金持ちは留学も自由自在なのね……。勿論、結花なぎさ自身学年10位以内をキープ出来る才女だけどさ…


あたしは複雑な気持ちで結花なぎさの用意したポッキーと“たけのこの里”をつまんだのだった。


作者、実は留学について殆ど知識がありません。ランキングの上位だった大学を選んで紫苑達の留学先に決めてます。

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