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初恋で恩師で上司な彼  作者: 洟 華夏瀧
初恋で恩師なアナタ
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第四話 酒は飲んでものまれるな1(颯馬side)

ご学友様sideの話です。漸く彼のフルネームが出ますが、性格が難あり……なので少々ひくかもしれませんm(_ _)m

教育実習の為、数年ぶりに母校に足を踏み入れる。

今回この学校に教育実習に来てるのは俺を含めて5人だ。男が3人と女が2人。

早速うっとうしい視線がバシバシ刺さってきた。


はぁ~~慣れてるとは言え、うぜぇ………


何て事おくびにも出さないけどね?やたらとこっちを凝視するもんだから「俺の顔に何かついてる?」なんて言って首を傾げたら途端にヒソヒソし出したよ。


今回も面倒な事にならなければいいけど……


そんな事を考えながら俺の指導員である3Cの担任で物理化学の教諭であるちょっとしぶめのおっさんの後について廊下を歩いた。


「懐かしいなぁ……」

「そうだろう?飯崎君はここで有名人だからな。天音と二人で色んな“伝説”を作ったそうじゃないか?」

「くすくす……伝説は大袈裟ですよ。でも今思うとあの頃はかなり弾けていましたね……」


校則の半分を改正したり、生徒会や風紀委員会の有り方を根本から粛清したり……まぁ、メインはヒロで俺はあくまでもサポートだったけどね?


「そうそう。実は“あの天音 拓海”の妹がこの学校にいるんだぞ?」

「え?」

「帰国子女用の編入試験を受けてな?それで見事合格した彼女は、3年になって理数系クラスに進み、俺の受け持つクラスになったって訳だ」

「……………………」


ヒロの妹、俺達…吹奏楽部部員達…の中では“まぼろし”とされていた存在。

アイツはハトコとか知り合いの女性は遠慮なく俺達に紹介するくせに、自分の家族は会わせるどころか見せてもくれなかった。(親友である俺にだけは“両親は”会わせてくれたけどね?ヒロそっくりの親父さんと和装が似合う小柄なお袋さんだったな…)


「実は僕、天音君の妹さんに会ったことないんです」

「相方なのにか?」

「ええ」

「そりゃあ残念だったな?ま、楽しみにしてろ。ある意味兄貴と良い勝負だぞ?」


ヒロと良い勝負?ま、アイツがあのルックスだからその妹もそこそこ良いんだろうけど。個性的であんな強烈な兄貴を生まれながらに持った彼女は性格も良い勝負だったりして……ね?



***********



なっ…何で“日本版ラウラ”がここに?!

真っ黒な髪を二つに分けて耳の横から三つ編みにして下げている……確か“おさげ”とか言ったっけ?……けど、眼鏡をかけていて、その中の瞳はブルーじゃなくてヘーゼルでも“彼女”は“彼女”だ!間違いない!


ラウラ……ヒロの母方の曾祖父の親戚である北欧人。6年前、俺達が参加する区民ホールでのコンサートの時、控室に文○堂のカステラを大量に差し入れに来てくれた絶世の美女。

正に一目惚れだった俺は、当時付き合っていた1ダースの女の子達とを即座に天秤にかけ、“彼女達”を切る事をその場で決定した。

日本語は話せないが理解出来るというラウラ。コンサートが終わった後、俺はヒロに頼んで彼女を連れ出した。

俺のお気に入りのスポットに行って十八番を披露したり、隠れ家的喫茶店でお茶を飲んだりした。

……俺のペットの音色にサファイアのような瞳をキラキラさせて、色白の中にも薄らと頬を薔薇色に染める彼女が、年上なのに無性に可愛くて……。

本来ならば観光させてやりたかったけど、正直、観光客にも地元のヤロー共にも彼女を見せたくなかった。

至福の時はあっという間に過ぎ、ヒロの家に滞在している彼女を送っている途中、時期尚早だとは思ったけどその場で告白した。


「Jag är förtjust i dig」

「jag är ledsen」


結果は敢え無く惨敗。

でも俺はどうしても彼女を諦められなくて……


『あいつは駄目だ。まだ“その時期”じゃない』

「何で?俺がまだ学生だから?」

『それもある。どうしても彼女が欲しいなら“自力”で探し出せ』

「……どういう事?」

『お前の“父親”の力を借りればすぐ見つけ出せるが、それはこの俺が認めない。どんな手を使っても妨害する』


俺様なこの相棒は自分がやると言ったら100%実行する!

俺はアイツに自分の力だけでラウラを見つけ出す事を誓ったのだった。


……と、俺が思い出に浸りながら生徒達の自己紹介を聞いていると、彼女の順番が来た。

しかし、何故かトランス状態の彼女は自分の番が来たのに気付いていない。


あれ?そう言えば彼女、俺が教壇に立った時、あの時のラウラと同じ反応をしなかった?


心ここに非ずと言った状態の彼女は、隣の席のヤローが彼女に耳打ちしたのも簡単にスルーした。(何故かホッとする俺)

俺は巷で定評のある笑み……確か同じ大学のちょっと頭がイカレた女の子達が『貴公子の微笑』とかほざいてたな……を浮かべ、ど緊張の中、彼女に話しかけた。


「君は確か……天音 紫苑さんだったかな?得意科目と苦手科目を教えて貰えるかな?」

「jag är ledsen…いや、あの!すみません!ぼ~っとしてました!

えっと、天音 紫苑です。得意科目は物理と数学です。苦手科目は古典と日本史です。よろしくお願いします」


咄嗟に出てきたスウェーデン語。彼女は誤魔化したみたいだったけど、この俺が“ラウラ”が発した言葉を一言一句聞き間違える筈がない!


見つけたよ?ヒロ、約束だから彼女は俺が貰うね?

ついでに何故“彼女”が俺達の母校に“現役高校生”としているのか…それも説明して貰うよ?


俺はココロの中だけでそう呟いたのだった。


漸く相手役の名前が出ました!飯崎いいざき 颯馬そうまです。ヒロキ様とはアイウエオ順で前と後だった事もあって仲良なったといういきさつをそのうち番外編とかで出したいと思います。

但し、彼は今後の展開で苗字表記が変わる予定です。

俺様兄様ヒロキ様の相棒である腹黒颯馬様の話はあと一話続きます。


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