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初恋で恩師で上司な彼  作者: 洟 華夏瀧
初恋で恩師なアナタ
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第一話 初恋の味はごちゃまぜドリンク

現代モノです。一応中編くらいを予定してます。前半は出て来ませんが、後半あたりに過激な表現が出てくるかもしれません。

「明日、差し入れ持って一人で控室に来い」


俺様な兄は、当時まだいたいけな小学生…ランドセルしょってランランラン~♪な6年生…の私にむちゃくちゃなミッションをくだした。


「それと当日の服装だが、最近買ってきてやったアレを着て“アノ”ウィッグを装着しろ」


あたしが所属する天音家に君臨する王様こと天音 拓海(“たくみ”と書いてヒロキと読む)は我が家で一番権力を持っている。彼の言う事には誰も逆らえないのだ。

……所謂絶対君主制ってやつね。


あたしは涙を飲んで貴重な休みをつぶす覚悟をし、衣類棚の中からヒロキ様直々にお見立て下さった件の服を取り出した。


…上も下もあたしの好みと違うから今後は二度と着ないだろう。“こやし”確定だな


そして別の棚から某歌劇団御用達~?なウィッグを取り出し勉強机に乗せて丁寧にブラッシングする。

そんなあたしを楽しそうに見ながらヒロキ様は机の上にコンタクトレンズをケース毎置いた。


「カラコンはコレな?そうそう。その眼鏡を外すのを忘れるなよ?」


このウィッグとカラコンもどこからかお兄が手に入れてきたものである。

外面が良いヒロキ様はとにかく老若男女、年齢・性別を問わず良くモテる。

だが、それだけではない。文武両道・学術優秀でもあらせられるのだ。


…昨今は、天は二物も三物も平気で与えるのね…


学区内でダントツなエリート養成学校である高校に通い、その制服だけでも人目を引くっていうのに、ノルマンディなひい祖父ちゃん譲りの高身長と、お父さん譲りの整った顔をお持ちのヒロキ様。

それに彼のご学友様もかなり~なイケメンらしく、二人で歩いていると、この先に超人気グルメでも売ってるの~?ってくらい後に行列が出来るらしい。

そんなヒロキ様の妹のあたしは隔世遺伝……って言うより遅れてやってきた遺伝だろうなぁ……が著しく、身体つきも顔もしっかりと北欧!だけど髪だけは両親譲りの真っ黒でストレートよ…な、ちょっと老けてるけどお茶目な日本人小学生です。てへぺろ


*******


今日はヒロキ様とご学友様率いる吹奏楽部のコンサートの日。あたしは純日本人な両親と一緒に観客席にいた。

歌舞伎俳優顔の父親と、ワンピより着物が似合う母親(実は髪は黒に染めて瞳も良く見ればわかるヘーゼル色。しかし顔の“つくり”はしっかり大和風)、そしてあたし……どうみても家族に見えないだろう3人組は周囲の注目を浴びながら観客席に座った。

ちなみにお兄はとうちゃんにそっくりだが、体格がひいじいちゃん系な為、着流しもスーツも似合うという合わせ技を持っている。


……彼の5歳の七五三の時は『袴姿を見たい!!』と言う見物人で凄かったらしい


そんな事を考えているうちに、区のお偉いさんの退屈な挨拶を半分スルーしてたらしく気が付いたら演奏が始まっていた。

小学生や中・高校生、大学生とまたそのOB・OGの人達の演奏はとてもレベルが高く、地元の音楽活動への力の入れようにあたし達はとても満足していた。

しかし、両親との楽しいひと時はあっという間に終わり、ヒロキ様から指定された時間になった為、客席に心配そうな表情の二人を置いて、私は『いざ出陣!』とばかりに目的地に向けてミッションをコンプリートすべく歩き出した。


身長160cm…まだまだ成長途中よ!…で、足のサイズが24cm。しかも成長期に漏れなくついてくるお胸のふくらみもあれば、喩え小学生でも大人下着を着けて大人の服を着てても全く違和感が無い訳さ!


某有名菓子店の印刷が入った紙袋を下げてどうどうと歩くあたしを止める人間は誰もいない。

……関係者というネームタグすらないのにね…

控室と書かれたドアの前に立ってノックすると、お兄が出てきた。


「差し入れ、こんなに持った来てくれたのか…重かっただろう?」


満面の笑みを浮かべて、自然な動作であたしから荷物を受け取る男……アカデミー賞モノの演技だな…は一体誰ですか?

お兄の外面がこんなに破壊的だとは思わなかったよ。


「皆に紹介するから入って?」


そう言いながらあたしを実にスマートに誘導する俺様兄様ヒロキ様。 

あたしは透明な仮面を装着し、“本陣”に足を踏み入れた。

目の前には敵将……おそらくお兄と人気を二分するご学友様…が長い脚を組んで座っておられた。


……イケメンは身内で見慣れていてもはんぱないっス!


黒髪でサラッサラ~…シャンプーのCMに出演希望!…でちょっと長めの髪(お兄が短めだから対照的だよね)に、睫毛バッサバサの少し垂れた大き目の瞳。高くて筋が通った鼻は最早お約束でしょう!その上、何か塗ってんですか~的なつやっつやの唇。

ここまで人間離れしていたら、勿論スネ毛や胸毛は勿論、その他の体毛も髪以外は薄いんだろうなぁ……


あ~~!美少女にお決まりなアノ制服を着せてみてぇ……


しばし見惚れているとヒロキ様の口からとんでも八分な内容が発せられた。


「ソウ、それにみんな、紹介するよ。彼女はラウラ。母さん側のまた従姉で今日本に遊びに来てるんだ」


おい、ヒロキよ、今なんて言った?


「ヒロの母方って…ああ。スウェーデンのか」

「そう。彼女、今大学が休みでね?しばらくはウチに滞在してるんだ。おっと、興味があるのはわかるけど質問はやめてくれな?ラウラは日本語がしゃべれないんだ」


だ~か~ら!ブルーのカラコンにクルックル巻き巻きのキラキラゴールドウィッグですかっ!!ご丁寧に片耳、首筋なんか出しちゃってるし……

おまけに首のところがヒラヒラしつつも身体にフィット~なカットソーは真っ白で、なんとかという、やけにぴったり脚に張り付いたジーンズ……レギンスとどう違うの?生地?……は足元にちょこっとたるみが出来ている。

……おい!こらヒロキ!ズボンのサイズ間違ってるぞ!!

で、それに合わせた靴は低めのヒールがついていてパンプスとかいうやつだ。


コンセプトは『遊びに来た北欧学生』とか言ってたな……

前回は『知り合いのアメリカ人ジェニファー』で今度は『親戚の北欧人ラウラ』かいっ!いい加減“あたし”で遊ぶのやめてよっ!


そんな事をおくびにも出さず、また、ご学友様に見惚れていたのもばれない様にあたしはスマイル0円を浮かべたのだった。

……日本語をしゃべれない設定はこういう時に便利だな……


主人公のワードローブはお兄様が管理しています。もちろん妹の下着もしっかりと(笑)

その為、主人公はファッション知識は無きに等しいです。(お分かりかとは思いますが主人公が身に着けているのはスキニージーンズですよ?)が、兄の命により年上ばかりを相手にさせられている為、思考や言動が妙に老けています。


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