だらだらくまさんと、お星さまの声
むかしむかし、あるところに、袖が長くのびた服を着たくまさんがいました。
くまさんは、動物がたくさんいる町で、たくさんのはちみつをかごいっぱいに買って、暗い夜道の中でだらだらとお家に帰る所でした。
「うう〜ん…はちみついっぱい買ったけど、ご飯作るのめんどうだなぁ…。あ!今日はたくさんお星さまが見える日だった!ここに草むらがあるから、寝転がって、はちみつをつまみ食いしよ〜っと」
くまさんはさっそく、草むらに寝転がって、かごからはちみつのびんとスプーンを取り出します。
びんのフタをあけると、とっても香ばしい匂いがして、くまさんは笑顔を浮かべました。
「うんうん!とってもおいしそうだなぁ〜。あ、流れ星!」
ふと上を見上げると、夜空にキラキラとお星さまが輝いて、くまさんをあたたかく照らしていきます。
その時、お星さまから『お〜い、お〜い』という声が聞こえてきて、ねこさんの顔をした星座があらわれました。
『今日はさむいから、おふとん入ろうよ〜。ほら、あっためておいたよ〜』
「うわぁ…!ねこさんの星座があらわれて、そこにあるお星さまから声が聞こえてきたぁ。確かにさむいけど、僕にはこのだるだる服があるから、まだ大丈夫だよ〜」
『でも、ボクはおふとん屋さんだよ〜。今ならおふとん一つ十円だよ〜』
「ええ〜?お金取るの〜?じゃあいらな〜い」
『しくしくしくしく』
「しくしくしないでよ、ねこさん。眠くなったら、おふとんでちゃんと寝るから」
くまさんがそう言うと、星座のねこさんはにっこり笑って消えていきました。
次にあらわれたのは、たれみみうさぎさんの顔をした星座です。
『どうしようどうしよう〜。明日どのお洋服を着ようかなぁ。わからないよぉ!…ぐすん』
「こんどはうさぎさんの星座だね。どんな服で迷ってるの?」
『あのね、ピンクのワンピースか、白のワンピースで迷ってるの。どっちがいいかなぁ?』
「う〜ん。僕はだるだる服しか着ないから分からないけど、うさぎさんがどっちを着ても、ワンピースはうれしいと思う。だって、たくさんのお洋服から選ばれたワンピースだよ。だから、明日どっちか着れなくても、明後日に着ようよ」
『わぁ…!ありがとう!じゃあ、明日はピンクを着て、明後日は白を着るね!』
「うん。明日がいい日でありますように」
くまさんがそう言うと、星座のたれみみうさぎさんはにこにこ笑って消えていきました。
次にあらわれたのは、かわうそさんの顔をした星座です。
『お魚の骨の取り方、分からないなぁ。おいしくお魚を食べたいんだけど』
「うんうん。分かるよ、かわうそさん。僕もお魚は苦手。くまなのに」
『君もそうなの?じゃあ、魚の干物の食べ方も分からないの?』
「う〜ん、どうだろう?お魚屋さんに聞いてみたらどうかなぁ?」
『あ!その手があったね!じゃあ、魚の干物百匹連れて、行ってくるよ!』
「百匹は多いなぁ。でも、おいしく食べられるといいね。いってらっしゃい」
くまさんがそう言うと、星座のかわうそさんは目の位置にあるお星さまをキラキラ輝かせて、消えていきました。
次にあらわれたのは、貝がらさんとヒトデさんの形をした星座です。
『ヒトデさん、きいた?海の近くに運動公園ができたのよ!』
『あらまぁ、貝さん。でも、わたくしたち、海の生き物だから、公園で運動できないわ』
『大丈夫よ。そこにいる、むきむきのくまさんの顔をかりればいいのよ』
「ええ〜?くまさんって、僕のこと?僕はぶくぶく太ったくまさんだから、むきむきじゃないよ〜」
『あらまぁ、むきむきじゃないらしいわよ、ヒトデさん。でもいつか、むきむきの貝がらになって頂点を目指すわよ!』
『そうなのね!?おうえんしているわ』
「どうなるかは分からないけれど、お面としてならいいと思うよ。がんばってね」
くまさんがそう言うと、星座の貝がらさんとヒトデさんは周りにあるお星さまをキラキラさせて、消えていきました。
次にあらわれたのは、パンダさんの顔をした星座です。
『う〜ん…むきむきな身体を皆に見せるにはどうしよう…』
「あ!むきむきなパンダさんだぁ!だったら、運動公園に行くといいよ〜」
『運動公園?でも、そこは誰もいないよ?あるのは海だけだし』
「大丈夫だよ。ちゃんと近くに、すてきなお客さんがいるから。明日、僕も運動公園に行こうかなぁ」
『それはいいね!じゃあ、今からむきむきライオンさんと、カンフーのれっすんがあるから、またね』
「カンフー!?すごいねぇ。おうえんしてるからね〜」
くまさんがそう言うと、星座のパンダさんは、顔の下にある星をむきむきマッチョの星座にして消えていきました。
「あ〜、楽しかったぁ。お星さまの声が聞こえるって不思議だったなぁ…。あれ?もうはちみつがなくなってる…」
どうやら、話しながらはちみつを食べていたからでしょうか?
持っていたはちみつのびんはすっかり空っぽです。
つまみ食いするはずが、全部食べてしまって、くまさんは落ち込みます。
すると、後ろの方から、「お〜い」とくまさんを呼ぶ声がしました。
「くまさん、どうしたの?落ち込んでるの?」
「あ、通りすがりのねずみさん!…うん…のんびりだらだらしながら、お星さまとお話ししてたら、はちみつがなくなっちゃって」
くまさんがそう言うと、ねずみさんは持っていたかごから一つのはちみつびんを取り出して、くまさんにわたしました。
「くまさん、はいどうぞ。多く買ってきちゃったから、ひとつあげるね。つまみ食いしちゃうと、全部なくなっちゃうよねぇ。あと、実はお家にビーフシチューがあるんだけど、それもおすそ分けしてあげる。だから、一緒にお家帰ろっか」
「ねずみさん…!うん!ねずみさんのお家は僕のお家の向かい側だから、助かるよ!ありがとう!」
こうして、はちみつを手に入れて目をキラキラさせたくまさんは、ねずみさんと一緒に、お家がある村へと帰ります。
そして、ねずみさんからもらったはちみつとビーフシチューをおいしく食べてから、おふとんでぐっすり寝たのでした。
おしまい。
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