表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/114

第97話 そして帰路につく

「一時はどうなることかと思ったけどさ、勝てて本当に良かったよ」


 茉莉の言葉に、俺はベッドの上で採血を受けながら


「まぁ、途中までは危機だったさ」


 正直に返した。

 別に演技じゃなくて。


 マジでピンチだった。

 阿比須龍拳の最大の弱点を見抜かれたことは。


 だけど


「……でもな、自分が勝ったと思ったときが一番危ないんだよな」


 そう。

 よく言うよな。


 ……敵を侮る戦は負け戦なり。


 ってさ。


 あの怪人兵器は、自分が優勢なことと、ダメ押しで俺の拳法の弱点に気づいたことが仇になって負けたんだ。

 それまでに10年以上、負けなしだったこともあるとは思うけどさ。


 そのせいで油断した。

 俺の命をまっすぐに狙わなかった。


 ……思えばあのとき。


 腕を触手に絡めとられたときに、腕じゃ無く首をやられていたら終わっていたんだよ。


 年貢の納め時ですか?


 ……なんて訊いてる暇があるなら、もっと致命的な個所を狙って触手を繰り出すべきだったんだ。

 勝つためなら。


 本当に、油断って恐ろしいよな。

 こうして、格下の存在に命を取られる結果を手繰り寄せかねないんだからさ。


 その辺を彼女に語ると


「運も実力の内だって言葉があるよね。……誇っていいと思うよ」


 そんな言葉を返してくれた。




 ……こうして。

 俺はその後、宇宙真理国の政府から国璽の入った文書を貰った。


 ……そしてそれはなんと、紙の文書だった。


 電子データじゃないんだ。

 そこが少し、意外だったんだけど。


「……この者に、1度だけ宇宙真理国の全力での助力を約束する。宇宙真理国第70代大統領エリック・ヒュウマ」


 文書の英文を和訳で読み上げ、茉莉は


「大事な文書って、やっぱ電子データだと不安になるもんだと思うのよ。だからまあ、これは別に変では無いと思うよ?」


 そう言いつつ、その手に持った文書を入れていた筒の蓋を開け、その中に文書を戻した。




 そしてその次の日。

 俺たちは地球に帰還するための宇宙船の中にいた。


 中国行きの宇宙船。

 一回、中国に着陸し、その後飛行機に乗り換えて日本に帰国するんだよ。


 だからまあ、帰国できるのは明日かな。

 明日の夕方くらいになるはずだ。


 ……怪人兵器にやられた腕の傷は、宇宙真理国のまともな病院に掛かったら、10分くらいで治ってしまった。

 技術力がすごいよな。


 ……塗り薬で治ったんだから。

 ゲームの傷薬かよ。


 そんなことを自分の腕を見つめつつ考えていたとき。


「リューイチ」


 ……隣の席の茉莉が俺に話し掛けて来た。

 視線を向けると……彼女は……


 こんなことを言い出した。

 それは……


「龍子ちゃんのところに行くとき、私も誘ってくれないかな?」


 ……茉莉も来るのか?

 ちょっとだけ意外だったよ。


 他人の家の重要事項なんて、そんなに興味ないだろ?

 普通は


 俺は……


「ああ、助かる。こっちからお願いしたいくらいだし」


 そう返事をした。


 ……頭のいい茉莉なら、俺より上手に宇宙真理国のことを説明してくれそうだしな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感想をいただけましたら必ず返信致します。
些細な感想でも頂けましたら嬉しいです。
ブクマ、評価、いいね等、いただけましたら感謝致します。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ