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第84話 消える記憶

 ベルトのバックルが開いたということは、彼女が敗北を認めたということ。


 で、俺はカードを投げる。

 バトルロイヤル予選通過証だ。


 カードはリンフィルトのベルトのバックルの解放部分に突き刺さり、データを吸い上げていく。

 そしてデータ回収を終えた後。


 手元に戻って来たカードを確認すると、回収データ数が一気に50以上増えていた。

 ……どうも俺と遭遇するまでに、相当()ったみたいだなぁ。


 当たり前だけど、相手のデータ吸い上げを行うと、相手がこれまで自分のカードに蓄積したデータについても一緒に引き継ぐ。

 相手の回収データ数に関わらず、吸い上げ時は1上昇で固定だと、強い奴を倒すことに意味が無くなるしな。


 そしてそのまま去ろうとすると


「……アビスリューケンとはなんすか? 教えて欲しいですなぁ」


 背中にそんな言葉を掛けられた。

 まぁ、何かの縁だしな。


 なので


「……阿比須真拳は知ってる?」


 振り返って確認。

 すると彼女は身を起こし、こっちを見つめて


「……知らぬですわ。なんすか?」


 ああ、阿比須族滅流から派生した阿比須を知らないのか。

 彼女。


 なので俺は知ってる限りのことを教えた。


 途中「江戸」「明治」「令和」と日本の歴史用語が出て来て、そこで引っかかったが。

 時代区分、年号という一言で乗り切った。


「ちゅーわけで。アンタとは兄弟の流派ってわけだ」


「……キョーダイ。シスターってことか? リューイチ」


 ……まあ、兄弟って女性が言うと変かもしれんし。

 これはありなのかね?


 俺は頷く。


 そして俺は今度こそ立ち去った。

 ……背中にだいぶ長いこと、リンフィルトの視線を感じながら。




 その後。

 阿比須の技を使う相手に出会わず。


 危なげなく戦えた。

 そして


『It's the end time of the game』


 予選終了のアナウンスが出たとき。

 半ば確信があって


『……The person who passed the preliminary round was Ryuichi Kokusho』


 その後の放送の自分の名前だけは英語を聞き取れたので


「いよっしゃああ!!」


 思わずガッツポーズを取っていた。




 最終試練と言うか、課題の「最強の怪人兵器との果し合い」

 それは明日になるそうだ。


 なので、今日は後は


 人格データコピーと

 細胞の採取のための採血。


 ……これは、明日の果し合いで負けた場合に備えてのことだそうで。

 宇宙真理国のクローン技術は進んでいて、通常2か月掛かるクローン作製を、僅か1日で完了するらしい。


 茉莉と一緒に別室に案内され。

 その際に言われたよ。職員さんに。


「Memory data is not completely copied. The reason is to get them to fight seriously」


「リューイチ、記憶のコピーは完全には行わない。本気で戦ってもらうために、だって」


 通訳してくれた茉莉の表情は曇っていた。


 ……ああ、つまり。

 完全コピーだと負けても俺にデメリットが無いから、苦しいときに死に物狂いにならないかもしれない。

 そう思われているわけね。


 ……んなわけねーだろ。

 復活できるから死んでもいいや、なんて。

 ゲームじゃ無いんだから。


 そう、ツッコみたくなったけどさ。


 ……彼らはその辺、麻痺してんのかね。

 なんかさ……


 やっぱ、おかしな国だわ。そうとしか言えない。


 そう思いつつも


「死んだ場合に消えてしまう記憶は?」


 ……抗議してもしょうがないので。

 俺は前向きに、訊くべきことを訊く。


 すると茉莉が職員さんに俺の代わりに英語で訊いてくれた。


「What memories will disappear if he loses?」


 職員さんは真顔で


「Memories of dead people」


 英語でそう答え。

 受けた茉莉は


「死んだ人のことを忘れるって」


 ……曇った顔で通訳してくれた。


 そうか……


 つまり俺の場合は、親父と母さんの思い出がゼロになってしまうんだな。


 ……負けられねぇな。

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