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第79話 予選開始

 リチャードの口から阿比須の歴史を聞き、その日はそのまま終わった。

 リチャードとの別れ際に


「アンタの先祖はどうしてこの国に来たんだ?」


 と訊いたんだ。

 ただの興味本位。


 阿比須真拳を使うということは、多分この人の先祖は日本人なんだよな。

 そう思ったから


 すると


「建国の父のアイザック・ヒュウマの腹心だったそうですな。身辺警護というか」


 ……ああ、そうなんだ。

 腹心だったから、そのまま国の所属変えちゃったのね……


 で、その子孫……


 ってさ


「リチャードってA級国民なのか?」


 そこを思わず訊いてしまったんだよ。

 冷静に考えると、それしかない気がするんだけど。

 血筋の歴史知ってるんだから。


 すると


「いえ、違いますよ。準A級国民です」


 首を左右に振られた後、そんな返答。


 ……聞くと、大量生産される一般国民同様、工場生産なのは一緒なんだけど……


 父母のどちらかに必ずA級国民の遺伝子が使われており。

 父母のどちらかが、エンマの血統の人間なんだそうだ。


 ……血筋に価値がある人間のみの特例らしい。


「なので基本の権利はB級と変わらないでございますね。違うのは、エンマの血筋の意味を教育課程で学ぶことくらいだぜ」


 なるほど……


 この国でも、そういう特例はあるんだな……。

 まあ、特異な才能の場合はそういうのはありそうだ。


 どうせ一般の大量生産の国民だって……


 A級国民と

 特に問題なさそうなB級国民の遺伝子を無作為に掛け合わせて作ってるんだろうし。


 その中に特別に、自分のシリーズを自覚させる血統があっても問題とは思えない。

 基本の権利はB級と変わらないわけだし。


 ……まあ、俺は住みたくないけどな。

 この国には。


 知れば知るほど住みたくない国だと言わざるを得ないなぁ。




 その日はまた木賃宿に宿泊し。


 次の日。

 朝8時から大統領府の庭で予選が始まった。




「シャーッ!」


 俺の目の前に、右手に剣を握ってる痩せた男がいる。

 ……あれは中国の直剣だな。


 刃が真っ直ぐの両刃の剣。


 中国の剣は両刃直刀の剣と

 湾曲した片刃の刀がある。


 高い技能を要求されるのが剣の方で。

 雑兵が持つのが刀。


 まぁ、だからといって刀を持つ人間が雑魚であるということにはならんのだけど。

 武器と本人の技量は無関係だしな。


 とはいえ……


「リーベンレン、カンカンジーチャゴンジーッ!」


 俺は相手の舞のような隙の無い剣捌き。

 剣を持つだけあって、上々だと思った。


 しかし、それを躱しつつ、思う。


 この相手、武器に闘気を込める戦闘法は持ってない。


 ならば……


 俺は突いて来た男の剣の刃を掴む。

 鉄身五身で防御している俺に、闘気の籠らない普通の攻撃は通じない。


 対戦相手の男は、馬鹿め、とニヤリと嗤い、剣を引いたが。

 動かないので驚愕していた。


 本来なら指全部いただきだ、てなもんだろうな。

 さぞ驚きだろうさ。


 その隙に俺は間合いを詰め、普通に


 腹部への鉤突き

 頭部へのハイキック


 2連携。


 まともに決まった。


 倒れた男が気を失ったのだろう。

 男の身に着けていたいかにも中国武術家らしい衣服に不釣り合いなベルト。

 そのバックルが、カシャ、という音を立てて開く。


 心が折れたか、意識を無くしたサイン。


 俺は配布されたカードを投げる。


 どういう仕組みか、特に狙っていないけど男のベルトバックルの開いた箇所にそれが突き刺さって。


 そこにダウンロードされている参加証のデータを吸い上げる。

 で。


 吸い上げた後。

 俺の手元に戻って来た。


 ……どういう仕組みなんだ?


 俺はそのカードを懐に仕舞った。


 このバトルロイヤル予選通過証を。




 俺はこの予選に黒いスポーツウェアで臨んだんだけど。

 黒いベルトを締めていた。


 このベルトのバックルに、参加証がデータで入ってて。

 装着者の脳波と連動して、左右に開いてデータ吸い上げが可能な「敗北状態」になる。


 参加者は別に配布された通過証に、相手を倒した後そこからデータの吸い上げを行い、予選終了時刻までに可能な限り多くの参加証データを集めるんだ。

 理想は最後の1人になるまで。

 無理ならば1番多くの参加証を集めた者が予選勝者になる。


 そういうルールだ。


『リューイチ、今の相手は中国人だね。多分。中国語話してたし』


 ……持ち込みの認められたインカムから茉莉の声。

 片耳に嵌めるタイプ。

 それだけで、相手との通信が可能な高級品。


 武器アリの大会だから、いけるんじゃないかと思ったから交渉したら


 いけたんだ。


「だろうな。服装もだけど武器もいかにもだったしな」


 俺はそう返答する。

 ……正直、心強い。


 相手の言葉が分からないってのは不安だったしな。

 ありがたいわ。


 倒れた相手は参加証データを失ったので脱落。


 さて、次の相手は……


 これはバトルロイヤルで、会場内をうろついて、遭遇した相手と無作為に戦う形式だから。

 待ってるだけではダメなんだよな。


 俺は歩き出した。


 すると


「Abyss Zokumetsu Style ultimate attack! Bladder rupture fighting spirit!」


 ……女の声が聞こえて来たんだ。

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