第52話 舞台裏の攻防
ラークシャサはダッシュで間合いを詰めてくる。
移動用の脚がゴキブリに似ているからかね。
かなりの速度。
ほぼ瞬間移動に近かった。
誰でも知ってることだけど。
蟷螂の鎌は、獲物を捕らえるために使用するもので。
獲物を切断するために使うもんじゃない。
なので、このラークシャサが鎌を振り上げているのは、俺に斬りつけるつもりは無い……ハズ。
俺は鎌の一撃を右手で受け。
左手の義手で、ラークシャサの身体に触れた。
俺の右手に受けられた鎌の一部だね。
そしてファイブハンドのエレキハンドを発動させる。
瞬時に流れる150万ボルトの電撃。
ギッ!
……だが気絶はしない。
鎌を引っ込め、怯んで逃げただけだ。
さすがに鎌からでは神経節に電流が行かなかったのかな?
「You should be able to understand by watching! Your pet is about to be killed! It's all your responsibility!」
俺が戦っている間、後ろから相棒が大声で英語で何か言ってる。
まあ、何か相棒には考えがあるんだろ。
さぁ、どうやるかな。
この蟲、あの白人のオッサンに操られているわけだし。
そのまま叩き殺すのは可哀想かもしれない。
本人の……いや本蟲の意志じゃないしな。
俺たち、会社の命令なら今日の仕事みたいに、蟲の種を1つ絶滅させる片棒を担ぐことは躊躇わないけどさ。
だからといってなぁ。
あまりに簡単に命を奪うのはやっぱ何か違うだろ。
「Making your pet fight him is the same as letting your pet die!」
相棒の言葉を聞いて、白人のオッサンはなんか動揺しているみたいだった。
……なんでだ?
「Shut up! Fucking bitch!」
「Does it matter what happens to the lives of insects as long as it suits you!?」
英語での言い争いは続いている。
何を言ってるのか分からないけど……
鎌を切除するのはどうかなぁ、とは思ったけど。
治るとは限らないし。
……蟷螂が鎌を欠損した時に、再生するって話を俺は聞いたことが無い。
じゃあ、治らない可能性の方が高いんじゃないかな。
知らんけど。
で、結論としては
……電撃1択かな。
さっきは鎌に流したけど、頭に流せば流石にいけるだろ。
ただ、その際にこいつに嚙まれると俺の左手の義手は確実に壊れる。
……こないだ壊したばかりだから、それはまずいなぁ……。
そんなことを悩みながら向き合っていた。
ラークシャサと。
するとだ
「Shit! Don't think this means you've won!」
そう言って、オッサンがこっちに近づいてきて。
ラークシャサの傍で指示棒を振り。
ラークシャサを下がらせて
「Die! Fucking Jap!」
……去って行った。
ファッキンジャップと言い残して。
何だったんだ、一体……?




