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第46話 バーサーカーアント

 東京に帰って来て、しばらくして。

 また次の仕事が回ってきた。


 上司の相沢さんに呼び出されて。


「ご苦労様ねぇ。ちょっと今回は大変よ」


 資料のファイルを渡しながらそんなことを。


 俺は相沢さんの話を聞きながら資料を捲る。


「バーサーカーアント……」


 隣で相棒が呟いた。


 バーサーカーアント。

 それは惑星S-768の生き物で。

 大きさは1メートルくらい。

 真っ赤な体色の大きな蟻だ。


 その生態は一般的なイメージ上の軍隊蟻に酷似していると思う。


 つまり集団で獲物に襲い掛かって、バラバラにして巣穴に引っ張り込むんだ。

 その対象は自分より大きな獲物にも及ぶので、危険度はバリ高い。


「で、やることは女王蟻の生け捕り」


 女王蟻は腹部が白い風船みたいになってて。


 ……シロアリに似てる気がする。

 で、大きさが……


 約2メートル?


 これ、どうやって生け捕りにするんだ?

 巣穴に飛び込んで、どうしろと……?


 生きたままこいつを巣穴から引っ張り出す方法が、どうしても思いつかないんだけど……?


 髪を掻き毟りつつ思案する。


 ……とはいえ。

 出来ません、とは言えないんだよな。


 俺たち、プロだし。


 だから……


「分かりました」


 これ以外、返答は無いんよな。


 で、その後。

 何故生け捕りにしなきゃいけないのかについての説明が。


 それは……


 バーサーカーアントの数を激減させるために、女王蟻の遺伝子を弄って


 交尾中に高確率で相手の女王を殺してしまう雄蟻を産むように仕立て上げるとか。

 何でも、交尾中に雌の存在を忘れ、交尾の相手を捕食してしまう一部の海老の遺伝子を組み込むらしいんだ。


 バーサーカーアントは繁殖期に入ると、女王蟻と雄蟻が合同結婚式……いや、雌の争奪戦をするんだな。


 具体的に言うと、近隣の巣の女王蟻が集まって来て、そこに雄蟻が群がる。

 そして雄と雌が出会い、交尾が開始されると。

 その交尾中の雄に他の雄が襲い掛かり。

 そこで殺し合いが発生。

 その雄を殺すか追い払うかして、自分が交尾しようとする。


 そんなことをそこらじゅうでやるわけだ。


 交尾が済んだ雌は速やかに争奪戦会場から去り、新しい巣を形成する。


 それがバーサーカーアントの生物としての形。


 そこに……遺伝子工学で、交尾中に雌を殺してしまう雄を作って混ぜる。

 100%じゃないのがミソ。ほとんどの雌は殺されるけど、わずかに生き延びる雌がいるから。

 そこでその、雌殺しの雄の遺伝子が紡がれる。


 まぁ、客観的に見て鬼畜仕様の計画。


 こんな計画を立てた理由なんだが……S-768からのバーサーカーアント根絶のための前段階だそうで。

 まずその数をこれで激減させ、その後業者を入れてS-768から完全に絶滅させる予定らしい。


 S-768は重力が地球と同等で、かつ酸素呼吸の惑星なので農業と牧畜をやる惑星にしたいからと、家畜の飼育の邪魔になるバーサーカーアントを絶滅させたいんだと。


 ……まあ、複雑な気分になるけどさ。

 これが俺の、俺たちの仕事だしなぁ……




「なぁ、どうやって捕獲する?」


 宇宙船に乗るために、会社ビルの外のバス停に向かいながら。

 俺は相棒にそう訊いた。


 正直、気が乗らない仕事だけど、俺たちに拒否権なんて無いしな。


 感情を殺しつつ、訊く。


 俺の隣を歩いている相棒は


「……まあ、手はあるよ」


 そう、仏頂面で言ったんだ。

 相棒もあまり乗り気では無いのか……


 まあ、彼女は生き物が好きだしな。

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