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第30話 俺の相棒と気になる男

 ウーウーというサイレン音。

 どうもこのサイレン音、大昔からそうらしいね。


 白と黒のカラーリングの銀河警察宇宙船……パトシップが空から降りてくる。

 その数、3つ。


「あっという間に来たね」


 宇宙船着陸で吹き上げる風に髪を押さえつつ、相棒が。


 うん。

 通報してから15分くらいか。

 推定だけどね。


 宇宙の広さを考えると早過ぎるよな。


 銀河警察のパトシップが降り立ち、タラップが降り。

 中から紺色の宇宙服に身を包んだ銀河警察官が降りて来た。


「窃盗団はどこですか?」


「あなたが通報者の鳥羽茉莉さんですか?」


 男性警官と女性警官。


 捕り物の仕事だからか、表情がちょっと険しい。

 相棒は頷き、向こうを指差す。


 そこには、8人の男たちが居た。

 気絶していたり、足を折られていたり、肋骨が飛び出していたり。

 首をへし折られていたり。


 でも、全員生きてる。


 警察はギョッとしていたけど、生きてるからまあという流れで、そのまま逮捕。


「やれやれでございます。私もこれで御役御免ですな」


 警察が窃盗犯を逮捕していくのを確認し、リチャードは立ち去っていこうとする。

 その背中に俺は


「ありがとう!」


 礼を言った。

 彼は手を上げて応えてくれた。



 そして次々、パトシップに乗せられていく鮑窃盗犯。

 まともに歩けない3人は、担架に乗せられて運び込まれる。

 まるで荷物。


 俺たちはそれを見守った。


 見守っていたんだ。


「あのさぁ」


 するとその中の1人が。

 警察官に連行されながら話し掛けて来た。

 相棒に。


 ……確かこいつ、相棒の身体を触った奴だ。


 最後に何か嫌がらせでもするつもりなら、守らないと。

 俺はそう思い、一歩前に出て男の動きを警戒したが


「……乙種の危険物を取れば、食べていく分には問題ない仕事が手に入るんだな?」


 ん……?


 何言ってんの?

 こいつ……?


 俺はそう思った。

 だけど


「甲種まで取らないと多分そこまでは行かないと思います。ですけど、乙種を取ってガソリンスタンドみたいなところで数年働かないと甲種の受験資格が取れないんです」


 真面目に答える相棒。


 真面目に、安易では無い答えを返す。

 彼女は真面目だから。


 すると問題の男は


「そっか……楽じゃねぇな」


 そう一言残して、連行されていった。




「あの人は更生できると思うんだよね」


 帰りの宇宙船内で、鮑窃盗犯逮捕劇の話になって。

 相棒がそんなことを言い出した。


 無論、あの乙種危険物試験の話をした男のことだ。


「だったら良いんだけどな」


 そう、俺は相槌を打つ。

 内心、どうせまたあいつは同じことを出所後に繰り返すんだろうな、とも思いつつ。

 乙種危険物の勉強をはじめたとしても、5秒で投げ出す勢いでさ。


 ああいうカスは、欲望と自尊心だけはやたら強いけど、自助努力する精神力は呆れるほどに無いからな。

 そしてその結果が現状なんだということに気づいて無いか、目を逸らしている。

 そういうところが本当に大嫌いだ。




 俺の相棒は、甘い。

 特に俺の大嫌いな「社会的弱者」という奴に甘いんだ。


 まあ、育ちが良いんだろうな。相棒は。

 でなきゃこういう精神性は身に付かないと思うのよ。


 そして。

 そういう人間がいないと、1度転落した人間は2度と這い上がれないから。

 俺は相棒の意見には賛同はしないけれど、その存在意義は認めてる。


 そうでないなら、今日あの白人男性に聞いた「宇宙真理教が考える理想の社会制度」が是であるってことになるし。

 社会に害ある人間に転落しても、改善される見込みが大いにある人間にだけ更生の機会を与え、それが無いなら処刑する社会。

 これは合理的かもしれないけど、やっぱおかしいだろ。


 ……そこで。

 ふと思うことがあった。


「なあアマノ33号」


『なんでしょう国生さん』


 宇宙船AIの女性の声が、俺の呼びかけに反応する。


 ……訊いときたいことがある。


「宇宙真理国の国民と遭遇したことは、報告書に書いておいた方が良いかな?」


 あのリチャードとかいう阿比須真拳の男と出会ったこと。

 これを仕事の報告書に書いておいた方が良いんだろうか?


 俺はその疑問点を確認。


 すると


『会社としては、ほぼノイズのような情報ですが、後から問題になる可能性も無くは無いですし、邪魔にならない程度に触れるのが推奨されます』


 なるほど。

 つまり、考えて書けってことか。


 俺は


「分かったよ。補足情報で簡潔に触れる程度に(とど)めておくわ」


 そうAIに告げて。


 返答感謝、と伝えた。

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