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第22話 大学生の実態

 宇宙船から野菜を持って来て。

 鍋で蟹鍋をした。


「キャンプで蟹鍋ってやり難いね」


 蟹の殻を割りながら、相棒。


 頷く俺。


 手間かかるよな。

 そしてたっぷり2時間くらい掛けて、蟹一杯を食べ尽くした。


 相棒は、食べ終えた蟹の残骸を地面に穴を掘って捨てながら


「大学時代の研究室の鍋パを思い出すよ」


 そんなことを言っていた。

 ふーん、と思いながら聞く。


「研究室ってそういうことするの?」


「するよ。というか、やんないと就職が不利になるというか」


 参加しないと駄目っていうか。


 ……んん?


 なんか犯罪臭を感じてしまう。

 あれか?


 教授を学生総出でもてなすとか?


 相棒みたいな美人の子がもてなすとか……

 金のかからないホステス。

 そんな言葉が俺の脳裏に浮かび


 気になったので、訊く


「なんで不利になるの?」


「大学出身者は、就職時に教授の推薦状って普通必須なのよ」


 えー?

 そうなの?


 行って無いから分からんのだが。

 俺はそんなものは提出してないし。


 ますます、犯罪臭を感じ


「それで?」


「良く分からない人間をどうやって推薦するの? って話でしょ」


 ……あー。


 なるほど。

 それなら別に犯罪でも無いな。


 単に研究室での顔以外、日常の顏を見ないと人間は把握できないって。

 そういう常識的な理由か。


 実際、会社でもそういう面はあるしな。

 飲み会やんないと分からない面はあるし。

 んで、そういう部分が一緒に働く上で大事だったりするんよな。


 例え仕事が真面目でも……


 飲み会の席で、全く支払いをしようとしないとか。

 驕りになると分かったら、遠慮なく大量注文しだすとか。


 そういう行為をするやつ、職場に居たら怖いよな。

 違法行為が出来る状況が来たらやりかねない人材なんて。


 いくら有能でも、仲間として無いわ。


 だからまぁ


「なるほど。納得……で、なんでキャンプ飯で鍋パ? 外でやったの?」


 そう訊くと、彼女は頷いて


「河原でね。1000年近く続く伝統なんだって」


 そうなんだ……


 飲み屋を借り切ってやったりはしないのか。

 それこそ、老舗大衆飲み屋の「大吉貴族」とか。

 俺は勝手にそう思っていたのに。

 大学生の飲み会って。


 あんまり華やかでは無いんだな。

 大学って。


 河原で鍋って……

 高校生とやってること大差無いじゃん。


 今度妹と会ったときに教えてやらんと。

 あいつには大学に行かせてやりたいし。



 

 そして、日が暮れた。

 ポセイドンが活動し始める時間帯。


「行くぞ」


 俺は現在義手状態の左手を握り締める。


 暫定的に着けている、義手。

 生身の腕と違って、阿比須龍拳の技を使用できない作り物の腕だ。


 けれど……


 その代わり、5つの機能がついている。

 通称・ファイブハンド。


 元ネタは良くは知らんのだけど。

 赤心少林拳とか。

 スーパーライダーとか。


「ええ、行きましょう」


 相棒はヘルメットを装着する。

 これから2人揃って海の底。


 この惑星ホシの生態系の王である、ポセイドンを探しに行くんだ。

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