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第20話 ポセイドン

 相棒と一緒に宇宙生物動物園に行ってから、なんだか相棒と距離が縮まったような気がした。


 その日も、会社の休憩所で煙草でヤニを入れていたら。

 相棒が入って来た。


 ここ、喫煙はOKなんだけど。

 非喫煙者が入ってきたら慌ててしまう。


 喫煙者って、半分くらい人権無いしな。

 古代からそうだったらしいけど。


 すると相棒は


「ああ、気にしなくていいよ。喫煙可のスベースに入って来た私が悪いんだし」


 そんなことを笑顔で言う。

 相棒は平時は愛想良いのは長所だし、そこは俺も好きだ。


 相棒はコーヒーを飲みに来たらしい。

 コーヒーを淹れ、一口飲み。

 一言。


「妹さん、高校生なんだよね」


 それで妹のことを聞かれた。


「ああ」


 そう答えると


「……彼氏のこと、どうなったの?」


 ……そこ、聞かれてたか。

 やっぱ気になるのかね。

 女性は。そういう恋バナ。


 だから


「……無事、彼氏持ちにランクアップ。今度まとまった休みが取れるときが来たら、その彼氏クンに会う予定」


 そこまで交際が続いていたら、って前提条件がつくけど。

 そう心で付け加えながら答えると。


 彼女は


「リューイチって妹さんと仲良いのね。……なるほどって感じ」


 何がなるほどなんだ。

 そう思ったが、確かめることはしない。


 ……凹むことを言われるかもしれないし。

 女はたまに酷く残酷なことを言うからな。


「まあ、2人きりの兄妹だからな。親はもう死んでるし」


「……あ、そうなんだ……」


 俺の言葉に、なんだか同情的な視線を向けてくる相棒。

 それを見て、しまった、と思う。


「……そういう目で見るのはやめてくれ。あまり好きじゃ無いんだ」


 弱いことに甘んじている存在には嫌悪感がある。

 ぶっちゃけ、嫌いだ。


 労われ? 察しろ?


 大嫌いなんだよ。そういうの。


「……分かった」


 相棒は俺の言葉を聞き、頷き。

 それきり、本当に言わないでいてくれた。




 そして別の日。

 会議室で上司の相沢さんに


「ポセイドンを捕って来て。生け捕りでなくてもいいから……完品で。お願い」


 海洋惑星M-801の資料を渡されながら、俺たち2人。

 ……まあ、それ以外無理だろ。


 内心俺はそう思った。

 資料のページを繰りながら。


 だってこいつ、生け捕りを狙えるくらいの強さでは無いから。


 ポセイドン。

 M-801の王だ。


 体長16メートル。

 全体的な形状は、古代生物のアノマロカリスに似ている。

 アノマロカリスの顏の前の触手みたいな脚が4本あって、顔の後ろにでかい蟹のはさみが2つついている形状。


 その形状は、まるで……


(ガ〇ダムのグラブ■だよな)


 俺としては、ポセイドンよりよっぽど相応しい名前のような気がする。


 量が多くて肉が旨いので、大金持ちが主催する宴会での、料理のメインで使われることが多い。

 味は伊勢海老と大差ないらしい。

 大きさは全然違うのだけど。


 まあ……だから完品に拘るんだろうね。

 宴会料理のメイン食材が、ズタボロだったら駄目だろうし。


 そして資料を読み込んでいたら


「あ、そうだ」


 相沢さんが「その資料にも書いてあるけど」と言い、こう続けた。


「M-801には鮑の巨大養殖場があるから、壊したりしないでね」


 わかりましたー。

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