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第106話 噂の真相

 人(さら)いだって……?


 何時の話だ……?

 大航海時代か?


 それとも昭和か……?


 俺はあまりにも常識外れのその言葉に、言葉が発せなかった。


 人が銀河に進出し、宇宙の支配者になりつつあるこの時代にか……?


 そんな俺の、いや俺たちの様子が面白かったのか。


「なぁ、お前さ」


 日本人の男が言葉を発する。


 ……俺に言ってるのか?


 俺が視線を向けると、そいつはニヤニヤしながら


「日本人なら戦国時代って分かるよな?」


 そんなことを言ってきた。


 戦国時代というと、室町時代から江戸あたりの間の時代のことだろ……?

 ざっくり言って。


 まぁ、それは当然だから。


 頷くと


 そいつは


「戦国時代の人間の値段って、今の金でどのくらいの価値だったと思う……?」


 そんなことを訊いて来た。


 え……?


 知らない。


 いくらなんだ……?


 今は違法だけど、当時は人間を売り買いするのは別に普通だった。

 それは分かる。


 だけど、その値段なんて……!


 俺が答えられずに焦っていると


 そいつは


「……約2000円。すげえだろ?」


 教えてくれたよ。

 ……そんなに安かったのか……?


 思わず絶句してしまう。


 そいつは俺の反応を見て優越感を刺激されたのか


「だけど……これが江戸時代になると約300万円になるんだな」


 ニヤニヤを深めつつそんなことを。


 ……メチャメチャ高くなった。

 その理由は……


 すると


「理由は分かるか?」


 そいつがそんなことを言ってきたので

 俺は


「……社会が安定してきて、商品の確保が難しくなったからか?」


 思ったことを口にした。


 一般に、商品の方が需要を上回っている場合はモノの値段は下がるけど。

 逆の場合は値段が上がる。


 当たり前の話だよな。


 すると、それが正解だったようで


 そいつは舌打ちして


「……正解」


 面白くなさそうに。


 ……正解だったらしい。


 そいつは咳払いをすると


「江戸で大体そのくらいだ」


 話を続けた。

 また、ニヤニヤしながら


「……だから、今はそこの彼女クラスの上玉だと10万ドル以上で売れんだな」


 希少価値が半端ねぇから。

 男のそんな言葉に


「え……?」


 俺は一瞬、受け止められずに。

 そんな間抜けな声を洩らしていた。


 俺のそんな様子が面白かったのか。


 男たちが爆笑……笑い出した。


「Hey, look! He doesn't understand!」


「There is still a demand for slaves!」


「This is space pirate business!」


 英語で馬鹿笑いしながら俺たちを指差す。

 ……何を言ってるんだ?


「……宇宙海賊」


 混乱する俺の耳に、茉莉の呟きが届いた。

 彼女を見た。


 こいつら、噂の宇宙海賊なのか!?

 前から思っていたけどさ……


 宇宙海賊が狙うものは……何なんだ?

 それは領星からいくらでも手に入る石油でも、鉱物でもないだろ……

 犯罪を犯してまで、奪う価値が無い。


 だけど……


 宇宙海賊の日本人の男が笑い顔のままで言ってきた。


「先進国の人間は高く奴隷で売れんだよ! 上玉の女は特にな!」


 茉莉にねばつくような視線を向けて。

 彼女の怯えが俺に伝わる。


 男は続けた。


「先進国だぞ!? ゴミみたいな後進国カスの人間は論外な!」


 ……酷過ぎるけれど、納得できる言葉を。


 手に入りにくいモノ。

 商品がそうであればあるほど、価値が高まる。


 それは当たり前のこと。


 だから……


「手に入りにくい先進国の女を好き放題できる牝奴隷として飼うのにスゲー価値があるんだ! あと、殺人スナッフショウのキャストとしても喜ばれる!」


 そこまで言って、男は残虐に嗤いながらこう言い放った。


「せいぜい優しいご主人様に購入して貰えることを祈るんだな! お前ら全部諦めろ!」


 ……そう。

 宇宙海賊の生業が人(さら)いであっても、何の不思議もない……!

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