第3話 Meiの象徴
彩音がパチンと手を叩く。
「さて、みんな揃ったし、行きますか!」
「行くってどこに?」
「まずはどこに何があるか知ったほうがいいでしょ。だから、観光に行くよ。Meiと言えば、ギルドホール!それは絶対に見に行こう!」
「ギルド…ホール…?」
「ポポ?」
千陽は首を傾げる。ポワも千陽のマネをしてポカンとした顔をしてみせる。
「『星巡りの殿堂』通称ギルドホール。Meiの象徴的建造物だよ〜」
「ま、ここからだと順番的にギルドホールは一番最後かな。美術館と博物館。それから図書館に寄って、アイテム屋も見て…」
「いっぱいありそうだね。楽しみ!」
「ポポッ!」
街を一通り見て、3人が最後にやってきたのはギルドホール。4つの塔に囲まれた巨大建造物が見えてきた。ここは、Meiを訪れるすべてのプレイヤーが、一度は足を運ぶ場所だと言われている。
「美術館と博物館、図書館も大きかったけど、これまた一段と大きいね」
「会議があると関係者以外は入れなくなるけど、今日はなさそうだね。ギルドホールは会議がなければ自由に見れるから、中も見て行こう」
扉を抜けると、広々としたエントランスに出た。受付のようなカウンターやソファがいくつかあり、そのソファの1つに男が座っていた。3人に気づき、近づいてきた。
「やぁ、お嬢さん方、見学かい?良かったら、案内しようか?」
「お気遣いありがとうございます。でも、こちらにはベテランもいますので、大丈夫です。」
結花は彩音をぐいっと引っ張り、この子がベテランですと示す。
「そうかい。でも、ベテランさんもいるのに、どうしてここに?」
「今日から始めた子に案内してるんです」
「ほぅ、今日からね…」
結花がにこやかに会話をしている横で、千陽はキョロキョロと辺りを見回している。彩音は受付にこんな男いたかな?と疑問に思っていると、男が身につけている物を見て驚いた。
「ん?あの腕章…。…っ!なっ、なっ、え!?ギルド『イラニス』の隊長!!?」
「何?どうしたの?」
「どうしたも、こうしたも。イラニスは4大ギルドの中でもトッププレイヤーが多くて、その隊長だよ!まさかこんなところで、お声をかけてもらえるなんて」
彩音は隊長に憧れの眼差しを向ける。
横にいる千陽が小声で
「トッププレイヤーってことは長年やってるってことでしょ?中身おじさんでは?」
「なんて失礼なことを言ってるの!」
「そちらの子が今日から始めた子かな?入るギルドは決まってる?良かったらうちのギルドに入るかい?」
まるで少年のようなワクワクした目を向けてくる。
「あ、いや、今日始めたばっかりで、まだ何も知らないし、何も決めていませんので…」
「そうか…。あ、でも…。いや、でも、そうだよな…」
男はちょっとしゅんとしたあと、一人でブツブツと自問自答を繰り返す。
「うん、そうだな!友達と一緒だもんな。友達といっぱい遊んでおいで。気が向いたら、うちのギルドに入りな」
バタバタバタバタッ
「ウォラル隊長!例の件、新たな動きがあったみたいです」
「おう、すぐ行く!」
男は後ろから別の男に呼びかけられ、さっさとどこかへ行ってしまった。
「あ、行っちゃった…。ソルトミルはイラニスに入るの?」
彩音に嫉妬の目を向けられる。
「ん〜。2人はどこかギルド入ってる?」
「私たちはテラディウムに所属してるよ。ギルドの拠点は草原地帯の近くにあってね…。あ、そうだ!草属性たちの春の宴って今日だ」
「草属性たちの春の宴?」
「草属性を中心としたステラクシーたちが毎年春に宴をしてるんだよ〜」
「このあと行こう!幻想的で綺麗なんだよ」
「ステラクシーたちのイベントか〜。面白そう!」
外は日が暮れ、一番星が輝く。
3人は静かで暗い草原地帯へと向かった――
次回2026年1月16日(金)投稿予定




