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滝の伝説

作者: 口羽龍

 それはある夏の事だった。この村は雲雀ひばりといい、かつてここには都があったという。そして、そこには多くの遺跡が残されている。ここはとても自然豊かな場所で、観光客がやって来る。だが、そんなに多くはない。それは、ここの自然を保護するためだと言われている。


 そこに住む少年、五郎は哲哉とともに歩いていた。普段は遊ばない哲哉が、今日は来てくれと言ったのだ。どうしてだろう。全くわからない。何かあったのでは?


「本当に見たの?」

「うん」


 哲哉は自信気な表情だ。どうしてだろう。五郎にはその理由が全くわからない。


「信じられないよ。あの滝に妖精だなんて」


 この村の山奥にある『雲雀の滝』には妖精がいるという噂がある。だが、みんな信じていないという。妖精を見るまで、哲哉も信じていなかった。五郎はそれを聞いた時、信じられなかった。だけど、見なければ。


「僕も最初は信じられなかったよ。でも、伝説では聞いた事があるんだ」


 昔からこの村には、妖精がいるという伝説が残されている。その妖精が、この村の自然を守っていると言われている。だから、ここの人々は自然を大切にしているのだ。


「でもそれは本当だって事、証明してやるよ!」


 哲哉は喜んでいる。あの滝には妖精がいると、誰も信じてくれなかった。だけど、僕は見たんだ。それを証明してみせるよ。


「ふーん・・・」


 2人は山奥にやって来た。そこは、誰も通ろうとしないという。獣道はあるものの、もう何年も誰も通っていないようで、草ぼうぼうだ。ここを人が歩いたのは、何年ぶりだろう。


 しばらく歩くと、滝が見えてきた。雲雀の滝だ。この村の名前が雲雀なのは、この滝が由来だという。2人は走って近づいた。その滝は、ザーザーと大きな音を立てている。周りには民家がなく、人が全くいないので、滝の音がよく聞こえる。


「ここ?」

「うん。誰も立ち寄ろうとしないんだけどね」


 この雲雀の滝は、誰も近寄ろうとしないという。近寄ると、たたられると言われているからだ。だが、2人はその理由が全くわからなかった。


「実際に行った事はないな」


 五郎はその滝に行った事がない。家族も行った事がないという。やはりたたりが原因だ。


「そうだろね。地元の人もあんまり近寄ろうとしないんだ」

「ふーん・・・」


 2人は滝の裏にやって来た。そこは狭い通路になっている。滝の裏にこんなのがあったのか。五郎は驚いた。知らない場所を見つけると、なぜか興奮してしまう。どうしてだろう。


「この中?」

「うん。ここで見たんだよ」


 2人は崖を歩いている。その下は滝の底だ。落ちたら命がないだろうな。2人は慎重に歩いている。


「誰もいないよ」


 だが、歩いていても何も見かけない。哲哉は首をかしげた。本当にいたのに。今日は見えないのかな?


「あれ? ここにいたんだけど・・・」

「どうかしましたか?」


 2人は振り向いた。そこには本物の妖精がいる。五郎は驚いた。昨日見た妖精はまさにこんな姿だった。まさかここで出会うとは。


「あれっ、君は?」

「この滝に住む妖精です。私はこの滝ができた時からここにいます」


 この妖精は、ひばりの滝ができた頃からいるという。いつやってきたかはわからない。だけど、この滝を、この村を見守って来たようだ。


「そうなんだね。いつできたんだろう」


 すると、妖精は真剣な表情になった。何か重要な話だろうか?


「遠い昔です。私はこの村の自然を見守っています。ここ最近は環境が崩壊してきました。ですが、徐々に良くなってきて、本当に嬉しいです。これからもここが美しい村でありますように願ってます」


 2人は真剣にその話を聞いていた。ここが自然豊かなのは、妖精がいるからなんだな。僕らはその妖精のためにも、ここの自然を守らなければならない。それはここに住む人々に与えられた使命なんだな。


 帰り道、2人は家までの道を歩いていた。この辺りは自然豊かだ。いつも見ている風景だけど、妖精に出会い、その理由を聞かれると、どこか違った気持ちで見る事ができる。ここがどうして自然豊かなのか、それは妖精がいるからなのだ。


「本物の妖精じゃん!」

「すごいでしょ?」

「うん・・・」


 だが、五郎は真剣な表情だ。妖精の言った事が胸に響いている。自分はここの自然を守らなければと思っている。


「どうしたんだい?」

「自然を大切にしないといけないなと思って」

「そうだね」


 哲哉も同感した。ここに住んでいる人々のためにも、妖精のためにも、そしてこれから生まれてくるだろうここの子供たちのためにも、この自然を守らなければならない。

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