第八話 盗聴疑惑
こんにちは作者のRYOKUENです。おかげさまでアクセス数1000を超えました(^∀^)皆様には感謝しかないです。まだまだ下手くそですが、これからもよろしくお願いします。
レイディン城 グリンの部屋
部屋で寝ていた、少年少女は朝早く、起きて、ベッドを整えていた。ただ一人を除いて・・・
「ぐ〜・・・・・・・すぅ・・・・・」
「まさかグリンがこんなに寝起きが悪いなんて思わなかったよ」
「そなんだよねぇ〜お兄ちゃんはいつもなにしても起きないんだよねぇ・・・・」
グリンは昨日の夜中にロイとゲンと少しコソコソ話をした後、ソファーで寝ていたのだが、完全に寝てしまっていて起きる気配がない。そんな様子を見ていたセイナは不覚にもグリンの寝顔を可愛いと思ってしまった。
「それにしても・・・・気持ちよさそうに寝てるわね・・・・」
「そだねぇ。でもそろそろひっぱたいても起こさないと、城のみんなに怒られちゃうよ〜」
「そうなんだぁ」
「ルギナスなんかに見つかったらお説教くらっちゃうよ」
「ルギナスって人は、そんなに怖いの?」
「う〜ん、お父さんが死んじゃってから作法やマナーは全部ルギナスにおしえてもらったんだけど、その教え方がきつくてね。私達は二人とも苦手だよ」
そうルーナはいいながら、ソファーに寝ているグリンの側まで行き、グリンのほっぺをペチペチと叩いていた。
「ほら、起きてお兄ちゃん!またルギナスにグチグチ言われるよ!(ペチペチ)」
「んむぅ・・・・うーん・・・ぐぅ・・・」
ルーナがグリンのほっぺをいくらたたいても起きる気配がない。セイナはふぅと一息つくとルーナと逆のほっぺをたたきはじめた。
「ほら、グリン。今日は大事な用があるんじゃないの?起きないと・・・・(ペチペチ)」
「むぅ・・・・・うるさいなぁ・・・・・あと・・・・五分・・・だけ・・・」
グリンは学校に遅れる主人公みたいなことを言い出した。そんな様子からもどかしくなったルーナは、むぎゅっとほっぺを引っ張った。しかし起きる気配がない。さらに、グリンは寝ぼけて・・・
「あ〜〜もう、うるさいな!」
グリンはルーナの手をバシッとはじいてしまった。ルーナは手をはじかれたことに驚いたが、すぐに拳を握ってプルプル震えていた。
「う〜ん・・・・今日はこのまま・・・寝てよう・・・」
ブチッ ルーナのなかの何かが切れた。
「人が、起こしてあげてるのにぃいい!!」
そう言ってルーナは右手を後ろに引いて構えた。
「え、ちょっと、ルーナ!落ち着いて!」
「問答無用!!!敵を貫け、風の弾丸!《エアストライク》!!」
「敵じゃないし、貫いちゃダメでしょー!!??」
ルーナの詠唱にツッコミをいれるセイナを無視してルーナは握っていた右手をひらいた。その手の平には小さい風が吹いて、少しずつ丸い固まりになった。そして・・・・それをグリン目掛けて投げつけた。
ズバババババ!!!!
「ぐはッ!!!!」
グリンは小さく悲鳴をあげた後、吹き飛ばされて、何度か部屋の中をはねた後、動かなくなった。ソファーは完全に大破してしまっていた。
「ぐ、グリン!?大丈夫!?ルーナ、やりすぎじゃないの!?」
「だいじょぶだいじょぶ!いつも小さい頃からやってたから!」
ルーナはさっきの怒った顔ではなくてニコッと楽しそうな笑顔でそう言った。しかしどこかその笑顔にはいたずらっぽい顔だった。セイナはルーナに少し恐怖心をおぼえた。
「そ、そうなんだ。こんなにしないとグリンは起きないんだ・・・・」
「ちょっとまてい!!!納得するなセイナ!!!毎日こんなのを受けて俺が生きていると思うか!?」
グリンは吹き飛ばされて動かなかったはずなのに、もう復活していた。その姿は、髪はボサボサで、体中着ていた服はボロボロだった。そんな様子でもグリンは必死にセイナに訂正を要請した。
「そ、そうだよね・・・・ソファーもったいないしね」
「どっちかって言うと俺の心配をしてほしかった・・・(泣)」
グリンは落ち込んで、ホロリと涙を流していた。すると、ルーナはため息をついた。
「あ〜もう!どうでもいいから、早くお兄ちゃんは着替えて支度して!」
「はい・・・」
朝寝坊したのは自分自身だったので、なにも言い返せないグリンであった。グリンは自分の部屋に備え付けてある、風呂場に行き、顔を洗い、服を着て、髪はいつもどうり後ろで結んだりして、身支度をテキパキとしていた。
「それにしてもルーナ、今日はなんか昨日よりはしゃいでない?」
セイナは何でルーナはこんなに元気がよくてどこかソワソワしているのかなと思った。
「えへへ。実はね〜今日は唯一外にでてお買い物できる日なんだぁ♪」
「そうなんだぁ・・・そういえば、ずっと気になっていたんだけど、グリンとルーナはなんでこの城に住んでいるの?グリンは兵士かなにか?」
セイナは今、気がついた。普通こんな子ども達ばかりが、城にいるはずがない。なのにグリンやロイ、ゲンは自分の部屋まであった。この三人は兵士と言えばわかるが、ルーナは魔法がつかえたが、幼い少女だ。それこそ王女かなにかじゃないと・・・・まさか・・・・そうセイナが思ったときにルーナがキョトンと不思議そうな顔をしながら、指を口に可愛らしくあてて、首を傾けた。
「あれ?言ってなかったっけ?私達は王女と王子だよ?お父さんが王様だったからねー」
ルーナはあっさりとそう言った。セイナは驚いて金魚みたいにパクパクと口を開けたり閉めたりしていた。
「え、ええぇ!?え、だって、王子と王女だったら、もっと忙しくてやることがあるんじゃないの?」
するとルーナは苦笑した。
「たはは。本当はそうなんだけどね。私達は国のことなんてわかんないし、全部大変なところは大臣たちがやってくれるからね」
「そ、そうなんだ・・・」
セイナはグリンとルーナが王女と王子だったことにも驚いたが、これほど重要人物に護衛をつけていない、この国の考え方にも驚いた。
すると、ルーナいわくこの国の王子らしい、グリンフィアが身支度を整えて、洗面所から出てきた。
「いやぁ。朝からひどい目にあったよ。髪の毛はボサボサになっちまうし、服はもうボロボロだしなあ」
そういいながらグリンは束にしている自分の髪を撫でながら欠伸をした。服はボロボロになった寝間着から、普通のTシャツと簡単なズボンだった。その様子を見るだけだと、ただの少年の寝起きにしか見えない。セイナは本当に王子なのかと疑問を感じた。
「ね、ねぇグリン。あなたはこの国の王子様なの?」
セイナが恐る恐る聞くと、グリンは目を見開いて驚いた。すると一度目を鋭く細めて、ため息をした。
「ルーナから聞いたのか?」
グリンの声は少し低くて怖さがあった。
セイナはコクコクとうなずくとグリンはさらにため息をついた。
「・・・・言ってなかった俺も悪かったけど、ルーナも少し感づいてほしかったな・・・」
「え?」
セイナがそう言った瞬間グリンは目の前から消えた。グリンはセイナの真後ろに立っていた。
「悪いな、セイナ」
そうグリンが言うとセイナの頭をトンッと叩いた。セイナはなにが起こったのかもわけが分からずに倒れて気絶してしまった。ルーナもなにが起こったのかわからないでセイナがその場に倒れてしまうのを見ていた。
「ちょ、ちょっと!!お兄ちゃん!?なにしてんの!!?」
「・・・・・悪いなルーナ。こうしないと、後が大変なんだ」
グリンは真剣な顔でルーナを見た。ルーナはセイナを気絶させたことに怒っていたが、グリンの目を見た瞬間その眼光に圧倒されて黙ってしまった。
「ふう・・・もう手遅れだけどな。これ以上情報をもらすわけにはいかないからな」
ルーナはグリンが言っていることが分からなかった。今わかっているのは、セイナをグリンが気絶させたことだけだった。
「なんで・・・こんなことしたの?」
ルーナは恐る恐るグリンに聞いた。グリンは再び大きくため息をついた。
「・・・・昨日の夜、お前達が寝た後一度廊下に出たんだ。そして部屋にもどったとき、セイナの魔法核が魔力を出していてな。その魔力の軌跡を辿ると・・・デイン王国に繋がっていた。」
「魔法核・・・?」
ルーナは初めて聞く単語のように首を傾けていた。グリンはコクリと頷いて、気絶したセイナを抱き上げながらルーナに説明した。
「魔法核は魔法を使えるものならすべてのものにあるんだ。もちろん俺にもあるしルーナにだってある。核にはそのものの魔力がつまっていているんだ。その魔力の量が魔法の強さと言ってもいい。ただ、セイナに核があるのは不思議じゃないんだが・・・・セイナの核はだれかに封印されていて、さらにセイナが自分の耳で聞いたことををデイン王国に流してるみたいだ」
「そ、そんな。じゃあ、わたしが王子と王女って言ったからもう・・・・」
「ああ、俺たちは王族ということはデインの奴らにばれてしまった。さらにセイナがどこにいるのかもな」
ルーナは驚いたのと同じにシュンと小さくなってしまった。するとグリンは微笑んでルーナの頭をポンポンと叩いた。
「ルーナが悪い訳じゃないさ、昨日の夜まで気がつかなかった俺がいけないんだ。あれだけ一緒にいたのにな・・・やっぱり昨日の夜の内に封印を解除して、通信妨害の結界をセイナに張っておくべきだった」
グリンは困ったように頭を掻いていた。ルーナは自分が言ってしまったせいで、周りを危険に晒してしまうことになってしまって悲しそうな顔をしていて下を向いてしまっていた。
「まあ、こうなった以上しょうがないさ。とにかく俺はセイナを地下聖堂に連れて行って、封印解除と結界を張る。ルーナは悪いけど、レインの部屋に行ってレインを呼んで来てくれないか?」
「う、うん わかった」
そう言ったルーナは焦った様子でレインの部屋に駆けていった。グリンはルーナが部屋から出て行ったあと、セイナを抱き上げて、ボソッと悲しげに言った。
「トルガ・・・・お前は自分の娘をなんだと思っているんだ・・・」
そう言いながらグリンはセイナを抱き上げながら部屋から出て、地下室への扉に向かった・・・・
デイン王国 フェルノ城
周りは森で囲まれている場所にその城はあった。森には昼間だというのに霧がかかっていて薄暗く城中には蝋燭の火がユラユラと揺れていた。その城のなかに怪しげな魔法陣が描かれていて、巨大な門が陣から出ている一つの部屋に二人の男はいた。一人は扉を見ていて、もう一人の大男は膝をついて主人に忠誠心を表していた。
「トルガ様・・・セイナ様の意識が途絶えて連絡が来なくなりました・・・」
黒色の仮面を付けている大男は低い声で、もう一人の男に報告をしていた。年齢は40ぐらいの中年男だった。
「そうか。なるほどな。恐らく誰かが我の魔法に気づいたか、死んだか?」
返事をしているのはもう老人であったが、着ているものは高価なもので、王の威厳があった。
「は・・・・連絡直前の会話からすると気絶させられただけのようです・・・おそらく、フロル王国王子・・・・グリンフィア・レイジ」
それを聞いた老人のほうの男は目を見開いた。
「ククク・・・あの英雄の息子か・・・・親のほうはあっさりやられてしまって、物足りなかったからな。今度は我を楽しませてくれよ・・・・バルクライ将軍、すぐさま軍隊を率いてフロルに迎え!セイナとその小僧を始末しろ!」
「御意」
バルクライ将軍と言われた男は、立ち上がり一礼してからその部屋から出て行った。
「(『音速の楓風』の息子か・・・・元気だろうかな)」