第四話 満月の下で
みなさんこんにちは。作者のRYOKUENです。今回は、会話がおもに書いてあります。本当に書く暇がなくて困っています。本当はもっと書きたいんですけどね。高校生なのでかなり時間がかぎられてしまっていますががんばって書いていきたいと思いますので、よろしくおねがいします。できたら感想、直した方がいいとおもわれるところ、ありましたら書いていただけると大変うれしいです。それではやはり駄文ですが、どうぞ
『青い鳥』アジトの屋根の上
セイナがアジトに来た日の夜中に一人の少年は、屋根の上で月をボーっと眺めていた。いつも緑の髪を後ろで結んでいる青い目の少年、グリンだ。レジスタンスのメンバーとセイナは夕飯を食べたあと、セイナには空き部屋を使ってもらい、他のメンバーは自分たちの部屋に戻って寝ている。しかしグリンは部屋にもどったあと、どうしても寝れないので、気分晴らしに屋根に上ってのんびりしていたのだった。
「う〜ん…やっぱり昼間あんなに寝ちまったから全く眠気がこないよ」
そんなことをグリンは言いながら月を見ていた。今日は満月で、星も綺麗に見えている。満天の星空というやつだ。今は暑い季節だったので、夜もTシャツ一枚でも寒くない。なのでグリンはTシャツに長ズボンという身軽な服装だった。長ズボンには短剣を下げていた。一様用心のためであったが、夜のすずしい風が肌に当たり、とても気持ちよかったのでボケーッとしていた。これでは弓で狙われたりしたらアウトなのではないのか。
「う〜ん…星が綺麗だなぁ」
そうグリンが呟いたとき、屋根に上るためのハシゴから物音がした。グリンはいままでの、のんびりした雰囲気からは考えられないような警戒をして短剣の鞘に手をかけていた。そしてハシゴの方を見たが、その警戒はすぐに解かれてしまい、鞘から手をはなした。なぜならハシゴからひょこっと顔を出したのは、透き通るような青色をした目をして、赤い髪が風にサラサラと流れている少女だった。
「どうしたの?セイナ?」
グリンが一息ついて声をかけると、ビクッとセイナは一度顔を引っ込ませてしまった。いきなり声をかけられたので驚いたようだ。そして恐る恐る顔を上げてきた。その様子を見たグリンはクスッと少し笑ってしまった。
「グ、グリン?」
「そうだよ、どしたの?こんな夜遅くに。とゆうかあのハシゴ上って来るとき怖くなかった?」
グリンは笑顔でセイナに声をかけた。なぜグリンが心配しているのかというと、小屋の屋根に上るためのハシゴは、小屋が三階建てなので結構な高さがある。森を上から見下ろせるためにハシゴが作られていたので高いのは当たり前なのだが、ハシゴは小屋の外側につけてあるので、強風が吹けば小柄なセイナは地面に落とされていたかもしれない。セイナはグリンだったことにホッとして胸をなで下ろした。
「高い所は昔から好きなの。小さい頃はよく木登りをして遊んでいたわ。」
セイナは笑顔でそう言うと、グリンの隣にポスンと腰を落としてグリンを見た。このときのセイナの格好は彼女の真紅の髪にあう、オレンジ色のワンピースだった。
「あなたも眠れないの?」
そう聞きながら小首を傾けて上目遣いでグリンに聞いた。グリンは彼女がハシゴから落ちなかったことに安堵しながらも、月の光で昼間のときよりも幻想的で綺麗に見えるセイナに見とれていた。しかし、声をかけられたので焦ったように返事をかえす。
「う、うん俺もなかなか寝れなくてね。いつも寝れないときや考え事をするときはここにきてのんびりするんだよ。セイナはよくここがわかったね?」
「うん、えっとね、レインに聞いていたんだよ。グリンは何かあったり眠れないときはここに来るって。だから私は昼間寝ちゃって眠れなかったから、もしかしてグリンも眠れないんじゃないかなあと思ってここに来てみたんだよ。」
「なるほどね、昼間あれだけ寝ちゃうと夜寝れなくなるのはセイナも同じだったか」
そうグリンは苦笑して言った。その笑顔を見てセイナも自然に微笑んでしまう。そして二人は一緒にのんびり夜空を見上げていた。二人とも何か話そうかとも思っていたが夜空を見ているとそんな考えもなくなっていた。そして先に口を開いたのはセイナの方だった。
「月が…綺麗だね……嫌なことを全部忘れられそうよ。」
セイナは月を見ながらグリンに声をかけた。グリンはいきなり声をかけられたので驚いて、一度チラリとセイナの方を見たが、月に視線を戻して真剣な顔をして返事をした。
「そうだね。でも全部は忘れちゃだめだ。全部忘れてしまうと自分が何故生きて、戦っているのかも忘れてしまう」
そうグリンが言うとセイナは少し微笑んで、そうかもねと言った。グリンは嫌なことや自分の汚点を忘れないことで今まで生きてきた。なので少し抜けているとこがあっても、揺るぎない強さがある。セイナはそのグリンに対して一つの疑問が浮かんだ。
「そういえば、グリンはなんでこのアジトにきたの?両親とかはいないの?」
グリンはいきなり自分の親のことを聞いてきたので驚いてしまった。なぜならグリンにとって、最も聞かれたくない悲しい記憶だからであった。少し眉をひそめて答えた。
「なんでそんなことを聞くの?」
「えっと、そのォ…このレジスタンスは子供しかいないじゃない?だからみんなの親とかはどうしているのかなぁと思って……」
セイナは手を前でブンブン振って、たいした意味はないよと伝える。それを見ていた真剣な表情だったグリンは、セイナが慌てているのが面白くて、つい笑ってしまった。しかしすぐに悲しそうな顔になると重々しく口を開いた。
「母さんは…俺を産んだあとすぐ死んじまった。父さんは俺をここまで育ててくれた。けど、殺されちまった。」
グリンの目は苦しそうに細めながら俯いていた。その様子をみるとどれだけ悲しいことを経験しているのかがよくわかる。自分の生みの親を失うことはどんなに嫌いな親であっても悲しくて切ないことである。寿命で死んでしまったならまだ諦めがついてしまうかもしれない。だがグリンの両親は共に不規則な出来事でこの世から消えてしまったのだ。セイナはそんなグリンを見て、聞いてはいけないことを聞いてしまったと思った。そして俯いてしまった。グリンはふうと一息ついたあと、俯いてるセイナに声をかけた。そのグリンの顔はさっきまでの悲しい顔はなく、素直な笑顔だった。
「大丈夫だよ、セイナ。たしかに父さんや母さんが死んだときは悲しかったさ。でもそのおかげと言ったら変だけど、その出来事がなかったら俺はここに『青い鳥』を作らなかったさ。それに強くなれた。みんなにも会えた。セイナにも会えた。今はそれでいい、そう思えるよ」
セイナは顔を上げてポカンと口を開けていた。そんなセイナの髪をグリンはクシャクシャと撫でた。セイナは少し頬を赤くして言った。
「…わたし、そうやって子供あつかいされるの嫌いなんだけど」
「そうなのか?レインは嬉しそうにするからてっきり女の子はこうされるのが好きのかなと思ってた」
グリンは基本的に同世代の女性としゃべらず、その接し方もわからない。なのでレインを基準にしてしまっているのだが…
「そんなわけないでしょ、わたしがこどもみたいに見られて嫌よ」
「そ、そっか。ごめん」
グリンはそう言って頭をポリポリと掻いてセイナに誤る。その様子にセイナはため息をついて、少し悲しい顔になった。
「…とりあえず……ごめんね。嫌なこと思い出させちゃって」
それを聞いたグリンは笑顔で返事をした。
「だから、セイナが気にすることないって。さっきも言ったけど俺にとっては悲しいことだったかもしれない。でも、よかったことがたくさんあったそれでいいんだよ」
それを聞いたセイナは頷いて笑顔でグリンの方を向きそうだねといい、立ち上がった。
「わたしは、もう寝るね。グリンと話ができてよかったよ」
「俺もだよ。また明日…」
グリンがそう言いかけたとき、森のなかから火の玉のようなものが飛んできた。それに素早くグリンはきずいた。
「ッ!!《ファイアボルト》!? セイナ!!」
そう言ってセイナの腕を掴んで自分の後ろに無理やり移動させた。セイナは少し悲鳴をあげて、グリンはなにかの魔法を詠唱し始めた。
「キャッ!!」
「わるい!セイナ! 風よ 我が身を守りし盾となれ 《シルフェンガード》」
途端にセイナとグリンの前に竜巻が現れてその火の球を完全に消しさった。しかし、火の玉は一つではなかった。いくつもの火の玉が小屋に目掛けて降り注いだ。
「しまった!守りきれない!!」
小屋は燃え盛り、二人は屋根の上に取り残されてしまった。