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第五羽 裏vs裏

暑すぎワロタですね。


外で溶けては家の中で凍って固まるというか・・・

スライムみたいな生活してますよほんと。


ザッ・・・


ザッ・・・



(・・・ボロい仕事だ。人を殺すだけでウン百万とは・・・まぁ、ターゲットのランクもあるが)



 時刻は深夜1時を回ったところ。180cmを超えるであろう大男は、外で待機していた牛車(ぎっしゃ)のようなコロ付きの荷台に大きな麻袋を2つ乗せ、同じく待機していた運転手のような人物に金を握らせ、出発するのを見送った。


「・・・」



 フードを被った殺し屋・ドレンは、静かに振り返り帰路につこうとした。


 しかし振り返った先には、見知らぬ男が立っていた。


「!!」


「まぁ・・・あの二人、助けてやっても良かったんだけどな。あんたがあの場に居る以上、全ての行動に確信が無くてね。反クーデター派として、俺の中で自己完結させてもらったよ」



 いきなり自分の前に現れてはペラペラと喋るこの男。不審なのもあるが、どちらかというとこの男がどこまで知っているのか・・・そちらの方が気になった。


「いつから居たのか・・・知りたそうだな」



 読まれている。思考が。

 何より、暗い時間帯に殺し屋家業が背後を取られること・・・致命的だが、長年殺し家業を行ってきたドレンの勘が告げていた。

 この男、只者ではない。


「・・・」


「今から約1日前かな。昨日のこの時間くらいからずーっと居たよ」



 丸一日?丸一日あの屋敷に潜伏していたのか?小さい屋敷ではないが、そこまで広い屋敷でもない。

まさか本当に屋根裏に1日中居たのだろうか。


「不思議そうだな。こういう仕事やってると、同じ体勢で数時間なんてザラにあるぜ」



 ドレンは確信した。アルバート派が雇った殺し屋か、(ある)いは殺し屋までいかなくとも近い存在。決して表舞台には出てこない人間だと。 

 

 急な殺意を感じ取ったサイは、一旦大きく距離を取った。


「・・・その身のこなし、盗人だな」


「おいおい、今はそう呼んでくれるなよ。ちゃんと真っ当に仕事してんだぜ」


「盗人はよくホラを吹く。逃げ足も早い。ネズミのようにな」


「安心してくれ、すぐ逃げるよう設定されてるネズミほど、ハイスペックじゃねぇからさ」



 いつの間にかサイの手には、大型のナイフが握られていた。刃渡りが50cm近くあり、刃の先端が反りとは逆方向に曲がっている。ナタのような形状に近いが、全体的な印象としてはクエスチョンマークを少しいじったような感じだ。

 刃の反りに合うような形の武器は、基本的に切れ味に特化している。使用者本人の力ではなく、刃本来の切れ味によって、相手の身体にダメージを与える。

 一方刃の反りが逆の武器は、使用者の力量も重要だが、切る動作に合わせて「刺す」が加わる。使用者の力量が無ければ、刺さった刃は筋肉や脂肪で止まり、致命傷には至らない。だが、もしも使用者の力量・使い方の全てが噛み合えってしまえば・・・相手の肉体を、切った部分から根こそぎ裂く、そういった代物だ。


「・・・好戦的だな」


「やんちゃなもんで」



 構えているサイに対して、両手をだらんと下に垂らしたドレンは、力を抜いているような、隙があるようなないような、そんな体勢だ。

 サイもまた確信していた。

 強い。かなりの手練れだ。


「・・・あんたは殺し屋だからどうでもいいことだろうが、先に言っておく。俺は基本的には不殺主義でね」


「・・・ほぉ」


「だからと言って、殺しをしたことが無いわけじゃない。(はらわた)の煮えくり返るような、そんな悪党は何人も葬ってきた」


「・・・」


「あんたのことが嫌いなわけじゃない。なんなら同族だな。表の社会では生きられない・・・」


「・・・」


「・・・だが、はっきり言おう。恐らく、あんたはここで殺しておかなければならない人物だ」


「・・・お互いな」


「あんたに恨みは無いが、生かすとバレナが崩壊する。そう判断させてもらったよ」


「それはお前の意思か?」


「・・・もちろん」



 本心ではある。レインには、その場その場の判断はお前に任せると(ことづ)かっている。今まで、その判断が間違ったことは無かった。

 だが、やはり大元(おおもと)はレインの指示であるという心からか、一瞬の()が生まれてしまい、それがドレンの中の一つの疑問を解決させた。


 この男、アルバート卿の手先ではない。何かもっと別の組織・・・その匂いがする。

 尚の事、今ここで消しておかねば。


「・・・場所を移すぞ。お前の血が屋敷の近くに散らばったんじゃあ、後が面倒だ」


「ところがどっこい」


「!!」



 不意にドレンの顔の横を小さな刃物が横切る。間一髪で躱したものの、頬に赤い線が浮かび上がる。


「俺はどうでもいいんだよな。あんたをここで殺して、血でこの道を汚せば、明日は必ずニュースになる。大騒ぎだろうな。クーデター派の時間稼ぎにでもなれば、一石二鳥よ」



 実を言うと、これは本心では無い。本来ならば隠密に殺し屋を始末して、当日までそれがバレず、いざ当日になった時にアルバート卿が生きているとわかった方が、ゼイル卿に対する精神的ダメージは大きい。

 だがサイは、今目の前にいるこの強敵をいかにスムーズに倒すか考えた時、ハッタリでもいいから隙を誘うことだと思った。

 怒りや焦りは隙を生む。


(言ってることに違和感は無い。最高のカマシだが果たして・・・)


「・・・チッ」



 ドレンがしっかりとサイの方を向く。臨戦態勢だ。


(・・・ビンゴ)


「小僧・・・あまり調子に乗るなよ・・・」



 凄まじい殺気。だが、サイはあくまでも冷静だった。


(あとは・・・勝つだけ)








 ークーデター前日。


 コンコン。ギィ・・・



「師匠。ご無沙汰しております」


「すまんなハウリー、急な案件で」


「何を仰いますか。私の方こそ、足を運ぶのが遅くなって申し訳ございません」

 

「天下のクレファス帝国騎士団長様だ。忙しいのはわかっている」


「勘弁してください」



 デカい。単に身長が高いだけでなく、肩幅が広い。実に筋肉質なところが、服の上からも見て取れる。


「めんどくさいだろう」


「も~、なんで師匠が騎士団長になってくれないんですか」


「私には合わん。お前のようなしっかり者の方が適任なのだ」


「またまた。遊撃隊の隊長なのに、全騎士の中で一番慕われてたじゃないですか」


「それはお前の主観だろう」


「騎士の中では周知の事実です」


「全く・・・」



 そう言い、少し照れながらもハウリーを机へ誘導する。

 二人が席に着くと、いつものようにすぐさまエレナが紅茶を持ってきた。ハウリーの方はレモンが浮かんでいる。


「おぉ、私の好みを覚えていてくれたのか。ありがとう」



 エレナはニコッと笑う。そのままススーっと厨房へ戻った。


「・・・感情が豊かになりましたな」


「最初に比べるとな」


「そういえば、あの坊主は元気ですか?」


「サイか。しっかりやってくれてるよ」


「ははっ、奴は師匠にだけは懐いてましたからね」



 紅茶とお菓子を交互に口にしながら、少し思い出話に浸る。

 話に区切りがついたところで、本題だ。


「まずですが、今回の要請には5000の騎士団で向かわせます」


「? 5000も来るのか?」



 とんでもない数だ。まるで戦争に赴くかのような、クーデターで送るにはあまりにも多すぎる。


「やはり師匠の元にはクラド王の話は入っておりませんでしたか」


「クラド王?」


「クラド王が、国交と称して我々クレファスに足繁く通っていたのはご存知ですか?」


「あぁ。前段階の調査ではわかっていたが、内容までは把握してないな」



 一呼吸置いたクレファスは答えた。


「バレナ王国の情勢回復のためです」

そういえば台風が近々直撃します。

その進行ルートはまさに「日本列島絶対◯すマン」と言わざるを得ないくらいキレイに横断してきます。

掃除機で吸ったろか。

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