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第四羽 狙われる正義

そう言えばこの小説の世界観を書いていませんでしたね。

僕もよくわかりません。

雰囲気は中世~近代ヨーロッパ(1600年代~1800年代)をイメージしておりますが、

世界自体は創作で、物や価値観は我々の社会に寄せています。

の方がわかりやすいですもんね!(というか自分の頭がついて行かない)


ーギィ


「・・・! これはこれは・・・」



 夏の夜らしく、妖しい涼しさが広がる22時。本日の依頼主が喫茶店に現れる。

 依頼主の顔を見るや否や、レインは驚いた表情を見せた。


「レインさん」


「いつもありがとうございます。依頼主の名前を拝見した時はまさかとは思いましたが・・・」



 アルバート卿。バレナ王国の領家で、バレナ王国の王国議会に毎回参加する程の人物だ。多文化ゆえ、一番まとまりのない国だが、バレナ王国出身でバレナ王国を誰よりも愛するこの男が思案する国家政策は、荒れるバレナの希望と言ったところだろう。

 そんなアルバート卿だが、レインが騎士の時代から交友があり、レインが喫茶店を開いてからも頻繁に顔を覗かせていた。


「元気そうですな」


「アルバート卿こそ、いつもご足労(そくろう)お掛け致します」


「何を(おっしゃ)る。来たいから来ているのです」



 二人がにこやかに笑う。


 他愛の無い話を続けた後、本題に入る。


「クーデター?」


「ええ。危機感の無いクラド王に、少し危機感を持ってもらおうと思いましてね」


「いやはや・・・いくらなんでも過激過ぎませんか?」


「いやいや、遅いくらいです。今までどれだけ流れ者に煮え湯を飲まされたか・・・」



 現国王クラドは、8年前に父の急死で即位した。元々の評判は別段悪くないが、国交のため国を不在にすることが多く、即位後もあまり国内に留まることは無かった。政治にあまり関わらないというだけでそこまで悪王というわけではない。ただ、特別何かするというわけでもなく、国の成り行きを下の者に任せて、黙って眺めるだけという感じだ。現行の国王としては・・・いかがなものか。


「このままでは流れ者に国を吸い尽くされてしまう。そんなことは許されない」



 バレナ王国は元々「水の都」とも称される程、水と関係の深い国だった。広い範囲で海に面しており、海の幸が有名だったり、海上貿易が盛んだったりした。しかし昨今、他国から海を介した亡命者や海賊が蔓延(はびこ)り、水をベースにした美しい景観は瞬く間に荒れ地に。水も汚れ、国としてのアイデンティティが奪われることに耐えられなくなった国民が一度国に抗議するも、聞き入れられなかったようだ。


「以前の抗議は、役所に人が詰めかけるくらいの軽いものでした。単純な話、そんなものでは響かないのでしょう。幸い、クーデター派は多い。今回のクーデターで国をひっくり返す・・・いや、取り戻そうと思っています」


「なるほど・・・」



 レインは何か考え込むような顔をし、数秒黙った後、ミルクティーを一口。カップを置いた後に口を開いた。


「護衛・・・とありましたが」



 そう、今回の依頼は護衛。しかも「一般市民」の。本来なら国の騎士の仕事だが、わざわざその内容を我々に依頼するその真意を確かめるべく、今回の案件を優先した。


「この度の件・・・一般市民の多くが賛成し、私の元に集ってくれています。ですが、これはクーデターです。王国騎士は当然王国側につくでしょう。そうなると、彼らを守れるのは私の側近しかいないのです。それではさすがに心許(こころもと)ない」


「しかし・・・こういう言い方をしてしまっては申し訳ないのですが、所詮は抗議の延長。そこまで相手が武力をふりかざしてきますでしょうか」


「わかりません・・・わからないからこそ、怖いのです。バレナの真の魂を持った者を、一人でも失いたくない」



 レインは感じた。

 この男こそ、今のバレナ王国に必要な人物。


 レインは微笑んだ。


「・・・かしこまりました。クーデターの日程はいつですか?」


「・・・! 来週の水曜日でどうでしょうか」



 チラリとカレンダーに目をやる。少し考えて、アルバート卿に向き直る。


「大丈夫です。問題ありません」


「ありがとうございます・・・!」



 その後はお土産を持たせ、店を後にしてもらう。


 すぐにレインはサイを呼んだ。


「バレナ王宮の内情を今一度調査してくれ。現状に不満を持つ者がいないか、少しでも内部からもクーデター派を後押ししたい」


「あいよ」



 サイは一瞬で闇に溶け込む。


「エレナ」


「はい」



 今度はエレナが暗闇からフワッと現れる。


「ハウリーに手紙を出してくれ。内容は今回の件の応援だ」


「わかりました」



 そう言うと、エレナはスーッとまた暗闇に消えた。





ー2日後



「・・・良いか?」


「うむ」


「では、始めようか」



 暗い部屋。テーブルを囲う3人の男。一人の男が真ん中のロウソクに火を付ける。

 ぼんやりと、暗闇に3人の容姿が浮かび上がる。


 一人は中肉中背。装飾が派手。

 一人は座っていてもわかるであろう細長い長身。

 一人は逆に小太りで背が低そうな男。

 全員目つきが悪い。まさに悪人といった面だ。


「来週の水曜日だそうだ」


「! 早いな・・・」


「そ、そんなに早く準備が整うのか?」


「どうだろうか・・・。クーデターとは言え、所詮は一般市民。紛争になるような真似はしないのだろう」


「武器の準備は程々、ということか・・・」


「恐らくな。だからこそ、アルバートを叩けば(もろ)い」


「なるほど。しかし、どう・・・」


「・・・おい、入って来い」



 中肉の男がドアの方へ向かって声をかける。

 それを聞いてか、ドアがゆっくりと開き、一人のフードを被った男が現れた。


「・・・?」


「殺し屋だ」


「こ、殺し屋!?」



 長身と短身が少し声を張り上げてしまったのを中肉が指を口にあて制す。


「・・・領家の人間を殺すんだ。それなりに金がかかる」


「・・・というと?」


「3分割でどうだ?」


「な・・・! わ、我々に殺しに加担しろと!?」


「無茶言いなさんなゼイル卿。腐った国の政治家とは言え、人の心は捨ててはおらんぞ」


「我々はアルバート卿が反乱を起こすから、秘密裏にそれを抑制すると聞いたのだ。何も殺し屋なんぞ雇って・・・」



 二人にコテンパンに反抗された中肉は、まぁまぁと言いながら二人をなだめた。


「いやはや、悪かった。この国もまだ、捨てたものでは無いな」


「当たり前だ。我々をなんだと思っている」


「その割には流れ者を放置しているではないか」


「! そ、それは・・・」



 急な核心に、二人は黙り込む。


「結局・・・結局なのだ。口ではなんと言おうが、国の情勢を変える気概を見せられないのであれば、それは汚職政治家と同じ」


「・・・」


「私はな、そんな甘い考えが嫌いなのだよ」


「・・・わかってはいるが、なかなか好転せんのだ」


「何がですかな? 黙って待っていれば何か機が訪れるのですか?」


「ぐ・・・」


「口ではなんとでも言える・・・そういうのも、『邪魔』なんだよ」


「な、なにぃ!」


「ドレン殿」



 ゼイルと呼ばれた男が、恐らくフードの男のことであろう名を呼んだ。

 次の瞬間、フードの男が少し動いたかと思うと、長身と短身の首にはロープが巻かれていた。


「!?」



 ロープが天井へ向けて伸びている。一気に張るロープ。苦しそうな二人。よく見ると、天井を通してそのロープを引っ張っている。2本同時に。


(ま、まさか・・・最初からどこかに仕掛けられて・・・)



 徐々に意識を失っていく二人。体も既に中に浮いている。(だい)の大人二人を片手で吊り上げている。並の人間ではない。

 事切れたのか、二人がだらんとした。それを見届けた、ドレンと言われた殺し屋が口を開く。


「・・・追加料金だぞ」


「かまわん。元々殺す予定で資金も集めていた。少しでも安くなれば・・・と思っていたが、まぁ致し方がない」


「・・・」


「当日は頼んだぞ」


「・・・まぁ、金さえもらえれば問題無い。ふんぞり返って待っているといい」



 (・・・)



中世ヨーロッパっていいですよね。

あれくらいの時代というか、「騎士」ってすごく好きなんですよ。

日本の武士も好きですけど、ヨーロッパにもヨーロッパの剣の道があるというか・・・

ロマンですよね。

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