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アリスプロジェクト2225:ブルースカイ  作者: 黒衣エネ
第一章:空中都市計画
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プロローグ

西暦2225年。


人類は発展を続けていた。


人類は地上の全てに遍くその文明の手を広げ、その生存権をソラにまで広げていた。既に宇宙開発も進み、月への本格的進出や衛星軌道上のコロニー開発も、今世紀中には実現するだろう。


一方で、進んだ文明による人口増加はヒトの居住域を逼迫させた。優れた技術が悪用される事による科学犯罪が普遍的に起こるようになった。


その為に、世界の治安そのものは21世紀よりも悪化したと言えるだろう。




極東機構都市『日本』


この地で生まれた『あるもの』達が、今では世界の防人として、戦いに身を投じている。既に大群の軍隊や大量破壊兵器は時代遅れとなり、技術の粋を集めた超兵器のみが戦力として運用される世界において、治安を護り人々を守る存在。



それを『サイボーグ』と言う。


100年以上も前にこの極東にて生まれたこの兵器達、人間を改造して機械を組み込み、圧倒的なパワーと精密動作、人型故のコンパクトさに人間を素体としたことによる臨機応変さと柔軟な思考能力、そして人間と同じ道具が使えることによる発展性。


生まれた時点で既に兵器の到達点とも言える性能を備えていたサイボーグ達は、小さなマイナーチェンジは有ってもその構造は大きく変化する事無く、今日まで最優の兵器として運用を続けられている。



元はかつての旧日本政府が極秘かつ非人道的な手段(素体の誘拐や苦痛を伴う改造)を用いて開発していた存在が、今では世界を左右する存在になっているとは、皮肉としか言いようがない。



結果的に100年も前に悪事は暴かれ、かつての『日本政府』は倒れ、サイボーグ達は公の存在となったが、その驚異的な性能は当時の国際組織に当然危険視された。


全ての機体を捕縛し、管理下に置いて運用する動きもあったが日本政府の非道による犠牲になった当時のサイボーグ達への同情は多く、また権力者達の起こした事件と言う事で、国組織を問わず当時は官僚や政治家は強い非難や侮蔑の対象となった為それは断念された。


代わりに、サイボーグ達を公務員かつ公的身分を与え、その力を『貸して貰う』形で当時の臨時日本政府は国防の戦力として組み込んだ。


勿論周辺国からの反発は有ったが、世界問わず人々の同情大きいサイボーグ達の問題を解決する手段はそれしかなかった。


下手に口を出そうものなら『まだ彼女らを辱め甚振る気か』『また権力者の都合か』と、猛批判に晒されるのだから。


日本ですら暴動が起こる程の事件だ、丸く収める方が政治家達にとっても益になるという訳だ。



そして活動域を広げつつ、今日に至るという訳だ。


今ではサイボーグ達は人々を守る公的なヒーローとして、ごく一部の批判家を除いて人々からの絶大な人気を誇る存在だ。平和維持活動の他にもメディア活動を行う者も存在する程だ。


それだけでなく、学生として学校に通う者や家庭を持つ者さえ居る。


その結果、その総数は世界に10000機を超える程にまで増え、人々にとってごく身近な存在にまでなっている。




しかし、繰り返される戦いの中で、サイボーグ達もまた自分達の存在意義に疑問を持ち、その心を疲弊させていった。



歴史は繰り返す。


人の歴史は戦いの歴史だ。



その中でサイボーグ達は『我らはヒトなのか、それとも道具に過ぎないのか』と、戦う理由を見失いつつあった。


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