おしゃれなカフェに来てみたよ
しばらく二人で歩いているとクラスメイトの女子に遭遇した。
僕のクラスの委員長で黒髪ロングの眼鏡っ子、佐々木結花だった。少し幼い印象の顔立ちと眼鏡というアイテムのギャップが魅力的な少女だ。
ちらりとこちらに視線を向けた彼女と目が合う。
僕は女装がバレるのではないかと緊張してしまったが、あちらは気づいていないようで、そのまますれ違った。
密かにホッとため息をついた僕の手を綾音は強く引っ張ってくる。どうやら目的の場所に着いたようだ。
外装がおしゃれなカフェで木製の看板には「ミロス」と書かれている。おそらくこれが店名だろう。
店内に入ると、テラス席に案内された。
「バスクチーズケーキとマンゴージュースで」
早速注文する綾音に
「あ、僕も同じものをお願いします」
僕が続けて言う。
初めて入る店だったので、何を注文すればいいか分からなかった僕は綾音と同じものを頼んだ。
「お兄ちゃん、自分のこと僕って言っちゃダメでしょ!」
店員が席から離れると、綾音が小声で注意してくる。
「ごめん」
と僕も小声で、素直に謝った。
「まったく、声でバレることはないだろうけど、ちょっとした仕草とか言葉遣いでバレることだってあるんだからね」
ここで言い返しても、ろくなことにならないのは目に見えているので僕はただただ頷くばかりである。
そうこうしているうちに注文していたケーキとマンゴージュースが運ばれてきた。