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まともと狂気
その後、二人で教室に戻ったけど、いつもどおりの風景が広がっていた。
田中君に、「僕の女装のことバラさなかったんだね」と言ったら「当たり前だろ。そんなデリケートなこと本人の許可なく勝手に言いふらしたりしねーよ」と返された。
そうか、あの脅しは結花ちゃんの言いなりになっていただけで、田中君は常識人だったのか。
僕は婚約者の狂気を改めて感じ戦慄する。
それはともかく、僕の女装について周知する方法を考えなくちゃな。第三者に勝手にバラされる心配がなくなったので、出来るだけ効果的に知らしめたい。
そんなことを考えていると結花ちゃんが話しかけてきた。
「どうしたの?難しい顔をして」
「実は、、、」
今、思案していたことを伝えると
「それなら良い方法があるよ!」
結花ちゃんの言う「良い方法」とやらに一抹の不安を感じつつ聴いてみると
「全校集会で女装して登壇するの!」
「本気?」
「もちろん!嫌?」
「嫌じゃないけど、、、」
「コンテストのことも話してさ協力を乞うの」
「んー、それがベストか。分かったよ。早速校長先生に相談してみる」
その日の昼休み、僕たちは校長室に向かった。




