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綾音、なにやってるの?
日曜日。朝、目を覚ますと綾音がベッドの中にいた。
「うわっ!?」
僕の悲鳴で綾音も目覚めたようだ。
「どーしたの?おにいちゃん」
「なんで僕のベッドに寝てるんだよ!」
「だめだった?」
「ダメに決まってるでしょ!僕らもう高校生なんだから」
「だって、ひとりじゃ、ねむれなかったんだもん」
ここまでのやり取りで綾音の様子がおかしいことに気づいた。
なんとなくだがいつもよりも幼い印象を受けるのだ。
まずパジャマからして普段のシンプルなデザインのものではなく、淡いピンク地に、デフォルメされたクマの顔が大きくプリントされた、子どもっぽいものになっている。
それに話言葉も、もしもこの会話を文字に起こしたら全部ひらがなが使われていそうなものになっていた。
「どうしたの綾音?」
不審に思いそう尋ねた。
「おにいちゃん。わたし、いいことおもいついたんだ!」
「いいこと?」
「そうだよ!だから、わたしのへやにきて!」
それだけ言うと綾音はトタトタと自分の部屋へと戻っていった。