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作戦会議
家に帰り着いた僕らは綾音の部屋で作戦会議をしていた。
「まさか結花先輩があんなことするなんて思わなかった」
綾音は怒り心頭といった様子でそう言う。
「そう?」
「そうでしょ!私がお兄ちゃんを怒らせちゃって泣いて落ち込んでたとき優しく声をかけて励ましてくれたのは結花先輩だったんだよ!」
「そうなんだ」
「お兄ちゃん、さっきからどうしたの?気のない返事ばかりして」
「ごめん。今日はいろいろあって疲れちゃった」
「分かるけど、今日は土曜日で、結花先輩が何か仕掛けてくる月曜日まで、もう時間がないんだよ!何か対策しないと!」
「対策って言ってもなぁ。やれることなんてないでしょ」
「結花先輩の説得とか?」
「無理だと思うけどな」
「お兄ちゃんは女装のことバレても良いの?」
「良くはないけどどうしようもないよ」
「はああ」
綾音が深いため息を吐いた。
「もういい!お兄ちゃんは先に寝てて!」
「そうするよ。おやすみ」
「おやすみなさい!!」
少し語気を荒げて言う綾音に苦笑しながら、僕は自室に戻りベッドに潜って目を閉じた。