4−2 これからのこと
できることは一体何かクレーメルは考える。
ひとまず、移動手段を手に入れなくてはならないと思った。
(世話係との意思疎通か、ハイハイか。)
ひとまず二つの選択を用意していた。
言葉がわかるのだから意思疎通が容易だと考えてはいたが、ここ数日「あー。」やそれに準じた音しか発せていない。
かといってハイハイするには根本的に体ができていない。
何をするにも何もできない体に彼は少なくないストレスを感じる。
(これが赤ん坊というものかぁ……。)
腕と脚を振り、手と足をグーパーしながらしみじみ思う。
これが彼にできる精一杯の訓練なのだ。
一度寝返りをうってみたことがあったが、うつ伏せになりそこから体を返せないことになったので封印中。
言葉の練習も一緒に進めたい気持ちをありながら、今は意図的にやめている。
クレーメルが声を出すたびに、世話係がやってきてオムツやら何やらを一通り確認するために部屋にやってくる。
何日か繰り返すと彼らの顔に疲労が見え始めたのだ。これが非常に心苦しいため、時間でやってくるまで言語コミュニケーションの練習は控えることにしている。
(ひとまず、ベットの囲いまで体の捻りでいきたいな。)
柵を掴むことでどこまで体の動きが増えるかを試す、それが目下の目標になっている。