059話 競技祭終了
スピカは口角を上げ、不自然に歪んだ笑顔を浮かべ、見るからに気まずそうに僕から視線を逸らした。
この表情には見覚えがある。
何かしら知られるとまずい隠し事をしていて、その事実を隠蔽しようと策を巡らせている時の顔だ。
口一杯に何かを頬張っている感じではないので摘まみ食いではなさそうだが。
ふとスピカの背後に視線を向けると、そこには倒れている人影が見えた。
皆で近付くと、見覚えのある先生が白目をむいて倒れていた。
僕は話したことはないが全校集会か何かで見かけたことがある顔ぶれだった。
「おい! デベル先生とバーツ先生が倒れているぞ!」
カイルとロッテさんが先生に駆け寄り、容体を確認する。
僕も近付き確認したが、おもだった外傷は見受けられない。
倒れている先生と何かを隠している素振りのスピカ、これはもしや…?
「まさか、スピカがやったのか?」
「ち、違うぞ! 俺様が来た時には、もう倒れてたんだって。お前まさか俺様を疑ってんのか?」
思いっきり動揺して視線を合わせないスピカに疑いの眼差しを浮かべていると、鮮やかな黒い毛並みが部分的に黒っぽい液体で濡れているのが見えた。
血…なのか?
「もしかして怪我をしてるのか?」
僕がスピカに触ろうと手を伸ばすと、その手をスルリとかわすように後ろに跳ね警戒している野生の獣のような姿勢をとった。
「なんでもねぇよ。それよりここは危険だ、教師を連れてとっとと避難しろ!」
スピカは珍しく狼狽えた様子で叫んだ。
どういう事か確認をしようとした矢先、僕とスピカの間を根本から引き抜かれたような2本の大木が目の前を回転しながら飛んで行った。
……はっ!?
信じられないような光景を目の当たりにして、その場にいた全員が大木が飛んできた方向に一斉に視線を向けた。
「お、おい! あれ!」
視線の先には上半身が人間種、下半身が大蛇の生物が巨大な斧が付いた槍を振り回し、赤い髪の女性と戦っていた。
「げぇ! なんだありゃ。蛇モンスターと…人? 女か?」
「誰だ? 先生じゃないぞ」
灼熱色の長い髪を揺らし、露出度の高い服装から綺麗な素肌が惜しげもなく見える。
そして遠くからでもよく見える一際黄金色に輝き鋭く見開かれた眼光。
――少し前の記憶が鮮明に蘇ってきた。
間違いない、あれはアルフヘイムで僕を襲った幻術を使う魔人だ!
さっきの炎の柱は生徒の物ではなく、あの魔人が見せた幻術だったのか。
でも、何故こんな所にあの時の魔人が?
狙ったかのようにこの場所に現れたって事は、やはり狙いは僕…なのか?
嫌な予感が脳裏によぎる。
そして、同時に幻術の中で片足を失った時の激痛を思い出し身震いする。
体が部分的に欠損した時の複数の感情がまざまざと蘇る。
鼓動が高まり周囲の音が聞こえなくなり、脳から血液が下へ下へと落ちていく感覚。
そして遅れて痛みと恐怖の感情が襲ってくる。
あの時は痛覚を紛らわせる為か自然と大声で叫ばずにはいられなかった。
脳裏に焼き付いた記憶が、あの時の痛みを鮮明に蘇らせてくる。
いくら幻術とはいえ、もう2度とあんな経験はしたくない。
それに、このままこの場に留まれば皆にも危害が及ぶかもしれない。
「に、逃げよう。あれは魔人だ! あの魔人は危険だ! …うっ」
そう言ったと同時に急な嗚咽を感じ、口を押えて膝をついた。
「おい、ラルク大丈夫か? 顔色が悪いぞ」
余程顔色が悪かったのか、オルフェが近寄り僕の顔を覗き込む。
その時、学園の方角から警笛が響き、その場にいた全員が一斉に空を見上げた。
『現在、競技場にて巨大な未確認モンスターが出現しました! 競技は緊急中止、競技参加中の生徒は近くの教員の指示に従い速やかにグラウンドへ避難してください! 繰り返します…』
会場の方角から魔導具による避難勧告が響き、森の奥に身を潜めていた生徒達が逃げるように避難していくのが見えた。
「おい、しっかりしろ! 仲間を連れて避難するんだろ」
しゃがみ項垂れる僕の眼下にスピカが入り込み、”活”を入れるかのように叫んだ。
そうだ早く避難しなければ、こんな貧弱な装備のまま戦闘に巻き込まれたら皆確実に死んでしまう。
僕は震える足を押え立ち上がり、皆に逃げることを進言した。
「状況がわからないが、言う通り避難しよう」
「そうだな、ラルクが怯えるって相当だぞ」
そこまで自覚はなかったけど、そんなに怯えているように見えたのだろうか。
あのモンスターが何者で対する魔人の目的は不明だけれど、戦って勝てる相手じゃない。
「大丈夫か!」
「早くグラウンドへ避難しなさい!」
僕らの後方から数名の教師が叫びながら向かってきた。
その声に反応してか魔人とモンスターがこちらを向き、ちょうどあの魔人と視線が合ってしまった。
「なっ!? ある…」
魔人の女が驚いた表情を浮かべ動きを止めた。
モンスターはその隙をついて巨大なた槍で、こちらに気を取られている魔人を背後から斬りつけ激しく地面に叩き落とした。
「今だ! 行こう!」
その瞬間ロイドが叫び、僕達は避難場所に指定されたグラウンドを目指して走り出した。
駆け付けた先生の1人が「あっちだ、急いで避難を!」と避難を促し、先生達は魔人とモンスターの方向へ走っていった。
「皆、避難経路はこっちよ! 私について来て!」
声のした方角に視線を向けると女教師が誘導するように手を振っているのが見えた。
その時、背後から衝撃音と地響きが轟き、先程すれ違った先生達の叫び声が聞こえた。
そして正面で手を振っていた女性教師が青ざめた顔で、僕らの後方を凝視して怯え始めた。
最後方を守り走る僕とジェイドが、ほぼ同時に振り向くと真後ろに巨大な蛇型のモンスターが鱗に覆われた肢体をくねらせ、地面を抉るように這い迫ってきていた。
「お、おい! あのモンスター追ってきてるぞ!」
ジェイドが叫ぶと皆が一斉に振り向き、同時に悲鳴をあげた。
巨大な蛇型モンスターはすでに後方20メートルまで迫り、もう少し距離を詰められたら右手に持っている槍の射程に届きそうだ。
「うおっ!? 走れ走れ走れ!!」
「何何っ!? 何なのよアレッ!!」
「だ、誰か身体能力強化をお願い! 追いつかれちゃうよ!!」
「いや、それお前しか使えないから!」
今までにない極限状態からパーティー内にも混乱が生じ始めている。
怖いし無謀かも知れないけれど、ここは戦闘経験が多少ある僕が”殿”を務めて距離を稼ぐしかない!
僕は無言で立ち止まり、モンスターへと向きなおした。
ここで「僕が残って時間を稼ぐから皆は先に行いってくれ!」なんて言おうものなら、少なくとも半数はこの場に残ると考えたからだ。
ルーンが2文字刻まれたライトアーマーと木剣が1本、はっきり言って武器によるダメージは期待できない。
回避しつつ魔法で攻撃をして時間を稼ぐくらいしか思いつかない。
緊張の為か口内が乾き、心拍数が跳ね上がる。
僕は木剣を腰に収め上位魔法を使用し雷を全身に纏う。
「よし!」
僕は迫ってくるモンスターに向かって正面から走り出した。
モンスターは巨槍を振り上げ、素早く振り下ろしてきた。
巨体な分だけ動作が大振りになり武器の軌道が読みやすい、振り上げた初撃を回避するだけなら難しくはない。
巨大な刃が予測通りの場所へと振り下ろされ、それを難なくかわした。
次の攻撃は――
モンスターは地面に刺さった槍を軸に体を大きくよじったように見えた瞬間、背中に強い衝撃が加わり地面に叩きつけられた。
視界が揺らぎ何が起きたか理解が出来なかったけれど、本能的に「まずい!」と感じ地面を強く蹴りその場を飛びのいた。
先程倒れた場所に人を丸飲みできるサイズの巨大な蛇の頭が口を大きく開き噛みついていた。
「あっぶな…」
その蛇はモンスターの背中から生えているように見え、もう1匹頭部の無い胴体も見えた。
飛びのいて態勢を整えた事で、先程背中に受けた衝撃の正体が視界に入った。
それは大きく伸びた尻尾の先端による打撃だった、あまりの速さに僕の目が追いきれなかったようだ。
幸い尻尾の先端で弾かれた程度なので、意表をつかれたけれどダメージはほとんど無い。
右手には巨大な槍、左手、尻尾、背後に蛇…
モンスターの攻撃手段が多すぎて全部を避け切るなんて不可能じゃないだろうか。
どう立ち回るか考えていた矢先、モンスターが突然視線を逸らした。
一瞬、一筋の光が目の前で瞬いたように見えた。
モンスターの腹部側面を大槌がとらえ、軟体のような体が大きく歪んだ。
遅れて大槌の軌道を追うように大きな雷鳴が周囲に轟いた。
不意をつかれたモンスターはそのまま地面に倒れ、大槌を振るった人物は僕を守るように目の前に立った。
「大丈夫か? …ってラルク!」
そこには教員用のハーフパンツを着たクーヤの姿があった。
そういえば、彼女は監視員として競技ルートの後半に待機すると話していたな。
「ありがとうクーヤ、助かったよ」
「怪我はなさそうだね、ここは私に任せてラルクも避難してくれ」
「ごめん、一緒に戦いたいけどこの武装じゃ役に立てそうにないから避難するよ」
クーヤは優しく微笑んで「大丈夫だよ」と言った。
少し情けない気分になったけど、ここに留まっても足手纏いになるだけだ。
「モンスター以外にも幻術を使う魔人がいるんだ、そっちの目的は僕かも知れない。」
「ふーん魔人か…うん、ありがとう。多分大丈夫だよ」
彼女は自信有り気な表情を浮かべ、大槌を軽々と持ち上げ肩に乗せた。
そう彼女はSランク冒険者だ、僕が心配するまでもない。
周囲を確認して気付く、そういえばスピカの姿が見当たらない。
皆と駆け出した時にはいたような気がしたけど、また逸れたのか?
まぁスピカはすばしっこいし、上位魔法も使えるから逃げるだけなら大丈夫だと思う。
後ろ髪を引かれる思いを抱えながら僕は皆が向かった方角へ走った。
◇◆◇◇◇◇
「さて…」
ラルクの後姿を見送り、起き上がろうと蠢くモンスターへと走る。
傾いた態勢から巨大なハルバードの連撃が私に向けて繰り出される。
雷槌ミョルニルでそれを弾き、そのたびにモンスターに電撃が伝わり動きを抑制していく。
この武器は神経と筋肉で構成されている生物なら確実に効果がある。
多少は魔法に対して耐性があるようだが目に見えて動きが鈍っている。
胸部に1撃、腹部に下から打ち上げるように1撃を加え、さらに追撃を加えようとミョルニルを振りかぶった瞬間、モンスターの後方から獣のような唸り声が聞こえてきた。
「うおぉぁあぁぁ!!」
逆光を背に赤い長髪の女性がモンスターの背後から拳を振り上げ殴りつけた。
ミョルニルの1撃に匹敵するような強い衝撃でモンスターが地面に叩きつけられ、危うくその巨体に潰されかけた。
燃え盛る火焔のような赤い長髪に踊り子が着るような露出度の高い服を着た女性は左肩から紫色の血を流しながら、荒い息遣いでモンスターを睨んでいた。
その瞳は動物のように瞳孔が縦線に閉じており、黄金色の虹彩が夜行性の動物のように輝いていた。
血液の色が紫色という事は、魔族で間違いなさそうだ。
あれがラルクの言っていた魔人か?
あんな華奢な身体つきでモンスターの巨体を殴り倒すなんて、とんでもない怪力の持ち主のようだ。
まぁ、私も他人の事は言えないかと苦笑していると、不意に魔人と眼が合った。
魔人は一瞬だけ驚いた表情を浮かべこちらを警戒している。
けれど、先程までモンスターに向けて放っていた殺気は微塵も感じない。
私と戦う気は無いという事なのだろうか?
互いに相手の様子を伺っていると、突然周囲の雰囲気が変化した。
急に気圧が変化した時のような耳鳴りを覚え、視界が狭まったような感覚に苛まれた。
…これは、母上の極大攻撃魔法だ。
「ぐっ!」
魔人が小さな呻き声をあげて、その場に膝をつき胸を押え苦悩の表情を浮かべた。
私は魔人が今どういう状態に陥っているかよく理解している。
母上の扱う最強最悪の極大攻撃魔法”全状態異常付与”。
”索敵”という特殊技能と併用し、術者を中心として認識した特定の目標に対して「睡眠」「麻痺」「盲目」「沈黙」「魅了」「幻惑」「猛毒」「恐慌」といった複数の状態異常を付与する恐ろしい魔法だ。
生まれつき高い状態異常耐性を有していた私は悪戯をした際によく受けたものだ。
痙攣しながら血の涙を流して許しを請う私の姿を見て、ドン引きしていた友達の表情は一生記憶から消える事はないだろう。
あらためて思い返すと、とんでもない親だったなと再認識した。
「はいはーい、そこまでよ」
長杖を高く掲げた母上が茂みから現れた。
気配を完全に消してモンスターと魔人を完全に無力化している。
恐らく視界に入っていない小型モンスターも全て掌握しているに違いない。
母上はグラウンドにある本部席にいたはずだけど、わざわざ出張ってきたのか。
「あら、クーちゃんじゃない。その娘、クーちゃんのお友達かしら?」
「いいえ、初めて見かけます」
あの赤い髪の魔人が友達かって?笑える冗談だ。
魔人の方に視線を移すと彼女はすでに立ち上がり、今にも飛び掛かってくるような低い姿勢で身構えていた。
「マリウスちゃんは……大丈夫そうね。ところで、あなたは何者なのかしら?」
魔人は何も言わず素早く森の方へと駆け出して行った。
「なっ!?」
私は驚きのあまり動くことが出来なかった。
全状態異常付与に身体を支配されてあれだけ動けるなんてありえない。
あの魔人はかなり高い耐性持ちという事か。
「…待てっ!」
「クーちゃん、追う必要はないわ」
一呼吸おいて魔人を追おうとした私を母上が止める。
「しかしっ!」
母上は余裕の表情で長杖を下ろすと、周囲を包んでいた極大攻撃魔法の領域が消滅した。
張り詰めていた感覚がなくなり全身が軽くなった。
「今の所、私達には敵意を向けてなかったようだし。禁書庫に入ろうとしてマリウスちゃんに阻まれたって感じみたいね」
「マリウスちゃんって…あの不気味なモンスターの名前なの?」
「あら、不気味とは心外ね。昔倒し損ねたモンスターに模して作った泥人形の傑作なのよ」
巨大なハルバードを持った人型の蛇が…いや、蛇型の人か?
母上作の泥人形とはね、口ぶりからして禁書庫の門番の役割だったらしいが見た目の趣味が悪いと思う。
昔、在学中に1度だけ大図書館に入らせてもらった事がある。
とても読み切れない量の書物があり、母上の話ではある一定期間過ぎると古い書物が消滅して、同じ数だけ新しい書物が出現するという不思議な場所だと言っていた。
ほとんどが歴史書らしいが読めない文字で記載されている本が多く、見てもさっぱり理解できない。
大図書館の奥にある禁書庫は、世界の深層に関するものや強力な特殊技能 、魔法を記した書物が保管されており、立ち入るには4賢者の推薦が必要だという。
かくゆう私も入口すら見たことが無い。
「あの魔人、禁書が目的だったのかな?」
「禁書庫の入口を発見できただけでも凄いんだけどね。さて、私はマリウスちゃんを治して校長先生に報告しなくちゃ。クーちゃんは私のクラスの子達の引率をお願いできる?」
「りょうかい。今年の競技祭はこれで中止かな?」
「そうね、残念だけどこの有様じゃねぇ…」
大きく隆起した岩場、薙倒された森林群、そして担架で運ばれる教師陣。
ある程度優秀な生徒同士が戦うと多少地形が変わることがあるが、ここまで甚大な被害を受けたのは珍しいのだろう。
私はグラウンドに戻り、5組へと合流し点呼を実施した。
ラルクを含め全員無事なようで胸を撫でおろす。
生徒達は競技場で起きた状況を映像で見ていたらしく、皆動揺を隠せないようだった。
その後、事態の収拾がついた事を校長先生から全生徒に伝えられ教師陣を残し生徒は解散となった。
教師生徒を問わず怪我人は複数いたようだが、死亡者はゼロで事無きを得たようだ。
当然競技祭は緊急中止となり無期限延期という判断が下された。
しばらくして事態を聞きつけた王国騎士団が派遣され現場検証が始まり、学園は3日間の休校を余儀なくされるのであった。
◇◇◇◇◆◇
競技場内の河川で付着した血を洗い流し、ラルク達が集合しているグラウンドへと合流した。
「スピカ無事だったか、良かった。まったく、すぐ迷子になるんだから」
「別に迷子じゃねぇよ、遠回りをしたい気分だっただけだ」
少し遅れてクーヤが現れ、生徒の点呼と現在の状況説明を始めた。
クーヤの話では緑眼鏡の研究室に侵入しようとした魔人が番人と鉢合わせ競技場で戦いを始めた事が原因だと説明していた。
どうやらどこぞの魔人様が、この騒動をしでかした原因という事になっているらしい。
フフフ…魔人ベ・リアもたまには役に立つじゃないか。
とりあえず、俺様とレオは無罪放免らしくて助かったぜ。
それにしても、さっきの妙な感覚はなんだったんだ。
この学園全体を覆うような魔力の揺らぎを感じたんだが…
何者かが広範囲に影響を及ぼす上位魔法を使用したのか?
いや、あの規模は極大攻撃魔法かもな。
心当たりがあるとすれば、緑眼鏡か……あともう1人、この学園の校長も4賢者とか言ってたな。
まぁ校長の方は見た事ねぇけどな。
レオはどうなったか分らんが、とにかくラルクが無事ならあとはどうでも良いか。
俺様はひょいっとラルクの肩に飛び乗りしな垂れかかった。
少し走り疲れたぜ、…んでもって腹も減ったなぁ。
「珍しく昼間活動してると思ったけど、やっぱり眠そうだな」
ラルクが俺様の頭をポンポンと優しく叩きクシャクシャと撫でる。
なんだろう、不思議と落ち着くというか…安心感の中に嬉しい気持ちが生まれる。
――”魔族隷属”
ラルクがもっている特殊才能のひとつ、魔族の因子が多い魔人ほど強く影響を受ける。
サタ・ナの封印で抑えられているとはいえ精神や身体の成長と共に、特殊才能の力が漏れ出しているらしい。
魔人が自ら隷属したくなるほどの魅力や安らぎを与える類稀なる能力だったかな?
レオは特殊才能の事を知らないが、ヤツの態度を見れば一目瞭然で影響を受けている。
人間種の中にも微量ながら魔族因子をもつ連中もいるからな、完全に封印が解けた時どうなる事やら。
その日の夜、疲労困憊といった様子のレオが帰還した。
俺様が極上な笑顔で「ご苦労!」と労いの言葉を伝えると、なにやら不服そうな顔をして不貞寝をしていた。
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事件から3日後。
派遣されていた王国騎士団はいなくなり、通常通りの授業が始まった。
その夜、ラルクと俺様とレオは緑眼鏡に呼び出されて1枚の写し絵を見せられた。
「これってあなた達よね?」
そこには、この研究室内で門番に追われて逃げる俺様とレオの姿が克明に映し出されていた。
焦っていて気が付かなかったが、この部屋にも監視用の魔導具が仕掛けられていたのか。
まずい、まずいぞ…
焦った俺様はレオに視線を向けると、レオも形容しがたい表情を浮かべ写し絵を凝視していた。
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