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(資料)冒険者ギルドの状況

■依頼処理の流れ


□受注時

・掲示板に貼られた依頼票を掲示板から剥がし、受付嬢に渡す。

 この時、同時に冒険者カードも提示する。これは他人に成りすましての受注を防止する意味がある。

・複数人数が受注可能な依頼は、依頼票の下のポケットにメモ用紙程度の依頼票が入っているのでそれを受付嬢に渡す。

・受付嬢は冒険者情報シート(紙のカルテのような物で、各冒険者の依頼受注情報を書き込む)を確認し、その冒険者が請けようとする依頼を達成可能か判断する。

 達成可能と判断されれば、シートに受注した依頼を記載する。

 達成不可能と判断された場合は、他の依頼にするか、パーティーメンバーを追加して再度審査を受ける。


□達成報告

・採取物、魔物は事前に別棟にある採取物提出カウンターに提示し、証明書の発行を受ける。

・受付嬢に証明書を見せる。

 同時に冒険者カードも提示する。

・冒険者情報シートに聞き取りした情報を書き込む。

 この情報がその冒険者に任せられる依頼を判断するのに役に立つ。なるべく詳しく、かつ簡潔に。


 冒険者の話を聞きながら、どのように記載するか必死で考えているのだから、彼女達の作業が遅いと決して急かさないように。


 また同時に遭遇した魔物の情報収集も行う。

 詳細な地図を作る技術がなく、GPSも無いので場所はかなり曖昧となるが、これは仕方がない。

 それでもどこどこの森の入ってどれぐらい歩いた場所、目印になるような物、そう言う観点から上手く情報を引き出していく。


 そして戦闘が発生した場合はその際の状況を聞き出し、どの程度の魔物に対応出来るかの判断材料を作っていくのだ。


 実際は苦戦したのに楽勝だったと虚偽報告をする者もこのやり方が浸透する前には多数居たが、結局は実力に応じた魔物を相手にする方が怪我も少なく、装備を破損させることも減るので結果的に収入が増える。

 このことが知れ渡るに従い、次第に虚偽報告をする者の数は減っていったのだ。


 このように細かな遣り取りを行っているので一人当たりの処理に関わる時間は短くない。

 だから夕方の時間帯に押し寄せるのでなく、極力分散して訪れてもらうように冒険者達に通達が出されている。

 しかしこれは既に身に付いた習性なのか、依然として改善された気配がないので毎日このように行列となるのだ。


■実力以上の魔物と遭遇した場合

 一方の狩られる側の魔物だが、当然魔物だって移動する。従って受付嬢達が如何に適切な判断をしようと実力以上の魔物との遭遇は起こり得る。


 冒険者の受注する依頼を管理するようになってからは、対応不可能な魔物に遭遇する事例が極端に減少していることから、受付嬢を非難する者は多くない。

 運が悪かった、大半の者はそう納得するのだ。それでも納得出来ない者は、ギルド幹部達とのお話し合いを行うことになる。


 もし実力以上の魔物と遭遇した場合の為に、冒険者にはギルドから特殊なホイッスルが配布されている。

 このホイッスルは遠くまでピィーッと言う甲高い音を届けるので、付近で活動している冒険者が駆け付けてくれることもある。


 このホイッスルのお陰で何人かの命が助かった実績があるのだから、そう馬鹿に出来るものではない。

 使用すると魔石を消費するのだが、大声で叫んで助けを求めるよりは恥ずかしさも少ないと、割と好意的に受け止められている。

 

 この事はまだ依頼を受けていないクレストには説明されていない。

 登録時に多くの情報を詰め込んでもどうせ忘れてしまうのだから、ステップを踏んで情報を伝える方針となっている。

 つまり、教えてられていないことに遭遇すると言うのは、実力以上の出来事に遭遇したと思ってそう大きな間違いはないだろう。


 なおこのホイッスルは、城門を出て討伐依頼を初めて受けた時に貸与される。

 これにはシリアルナンバーが刻まれていて、誰に何番を渡したか記録されている。

 なお紛失すれば大銀貨一枚で購入しなければならないので新人冒険者はこれを大切に扱っている。


 ただし、このホイッスルの音を聞いたからといって、救援に駆け付けるのが必ずしも正しいとも言えないのが辛いところだ。

 何故なら、救援に行ったつもりで返り討ちに遭う可能性もあるからだ。

 冒険者は基本的に全てが自己責任。だが、海の男達と同じで仲間意識も強い。

 魔物を狩りに出るのは海に漁に出るのと同じで危険と隣り合わせだ。

 だから助けられる命があれば助ける、そんな理念で行動し、駆け付けた現場に何が居るかはそれこそ本当の運次第だ。


■ギルド幹部の業務

・ギルド本館の二階に勤務するギルド幹部達が何をしているかと言えば、冒険者各自のカルテを基に地図上に魔物の出現情報を記載し、分布状況を把握しているのだ。


・また冒険者が請けた依頼を基にその地図上に冒険者の目的地に駒を置いて、危険でないか判断をしている。

 リアルタイムとは言えないが、おおよその状況を地図上に再現出来ていると考えて良いだろう。


 ここまで出来るようになったのに約二年。

 ライエルがリミエンのギルドマスターに就任してから行われた大改革の成果と言えよう。

 リミエンに冒険者が多く集まっているのも、リミエンなら安心して稼げると言う情報が広まり始めたからだ。


 それは魔物の奪い合いに発展する恐れもあるのだが、現在のところ魔物不足となっていないのは幸いと言えば良いのか、それともまだ冒険者が足りていないと考えるべきなのか。

 幹部達も現状をどう捉えれば良いのか頭を悩ませているのだ。

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