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スライム×3+骸骨×1≒人間です。(リメイク版)【第一部として完結】  作者: 遊豆兎
第1章 アレとコレ三つを混ぜたらこうなる
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第5話 魔石を増やそう

(魔石が消えとるーっ!)


 何処かのドラゴンを真似して魔石を集め、その上で二日間程寝てた。

 そして目が覚めて、体の下にある筈の魔石が跡形も無くなっていたんだ。


 なんで? どうして?


 軽くパニックを起こしても仕方ないだろ?

 俺はこれっぽっちも動いてないし(寝返りを打ってたかは知らん)、ここには俺以外の動物(気にするな、俺も動物だよ!)が入らないように入り口を塞いであったんだから。


 スライムボディの下敷きになっていなかった魔石はちゃんと残ってる。無くなったのは、俺のスイートなボディの下にあった魔石だけだ。


(無意識に食ったのか? いや、そもそも魔石に対して食欲なんて湧かないんだよ。

 じゃあなんで? 熱で消えた…とか? いや、俺の体温ってトカゲ並だし…)


 ちょっと自分の言葉で精神的なダメージを負った気がする。


 それはさておき、消えた魔石はマジ何処行った?

 そんなの決まっているだろ、やっぱり犯人は俺しか居ない。人、ではないから犯スラだけどよ。


 考えて考えて出した考察は…恐らく魔石は外皮に長時間触れていただけでも、体内に取り込むのと同じ結果になる。

 気のせいかも知れないけど、心なしか寝る前より俺の魔石が大きくなっているみたいだからさ。


 と言うことは、魔石って魔力の塊みたいものなんだよ。

 それを実証するために、残っている魔石を取り込んでみた。

 おふっ、やってることはいつもと同じじゃん…いや、今回はただ体内に取り込むだけじゃないんだ、その魔石から溢れていく魔力を感じとろうって目的があるんだ!

 スライム液の中で起きる魔力の流れを…考えるな!感じろ!


 寝ないように。


 …眠たくなぁる…くっ! 耐えろ!

 …眠たくなぁる…くっ! 羊が一匹! いや、羊は一頭じゃないのか!

 …眠たくなぁる…眠たく…あ、待てよ。

 俺、そもそもなんで眠たくなるんだろう?

 スライムに睡眠なんて必要無いだろ?


 うん、きっとあれだな。

 どれだよ?

 決まってるだろ、レベルアップするには最低でも馬小屋に宿泊しなきゃなんないんだ…それ、古いゲームのネタだよな?


 ありゃ、アホな思い出にふけてる間にさっきの魔石はもう溶けちまったか。仕方ない、次の魔石…いや、一個ずつなんてセコいまねはやめよう。

 残りは…五つか。

 よし、一気飲みじゃーっ! イッキッ!イッキッ!イッキッ! 気合いを入れて大きく口を開け纏めてゴクリ。急性マナコール中毒一直線じゃいっ!


 お、スライム液の中で魔石同士がおはじきみたいにぶつかって、弾みで元の俺の魔石に一つだけぶつかったか。スライム液の中だから魔石の動く速度はとても遅いけど。

 おや? 観察していると四つの魔石は少しずつ小さくなっていくのに、元の魔石に当たっている魔石だけはサイズが変わらないな。


 それから暫くして散らばっている四つの魔石は完全に溶けてなくなったけど、一つだけは溶けずに残っている。


(ひょっとしたら、元の魔石に触れてると溶けないように粘液で守られるのかもね)


 それからも時間を掛けて観察を続けてみるが、その魔石は溶けることなくスライム液の中で形を維持し続ける。


(これならボチボチ切り離しても大丈夫かな?)


 もそりと体を動かして見ると、二つの魔石は別れを惜しむカップルの如くゆっくりと離れていく。

 塒から這い出て色々動いてみたが、新しい魔石はしっかりと形を保ち、やがて感じていた挿入感…もとい違和感も無くなった。


(おっ! 多分だけど世界初の仮称デュアルコアスライムの誕生だ!

 これが確実に行けたなら、次は四つの魔石でクアッドコアスライム!

 で、その次は八つでオクタコアスライムだ!

 さすがに十六…えっと…ヘキサデカだっけ? は無理だろうな。そこまでやるつもりは無いし。

 と言うか、まだ新しい魔石が確実に作動するかも分からないんだけどね)


 でもなんか夢が広がったね。とりあえず新しい魔石を使って色々と試してみようか。

 いや、それとも先にとりあえず魔石を四つにしてクアッドコアスライムになってみるか。

 うーん、悩む。


 これって自然な進化とは違うだろうけど、スライムの新しい境地を開拓したのは間違いないだろうな。


 体内に魔石は増やせるのは分かった。じゃあ魔石をどう運用するかって話になるな。

 強くなるには攻撃、防御、視聴覚情報の処理を別々の魔石で制御するのが良いんじゃないかな?

 元からある魔石は生命維持と増えた魔石の統合制御に割り振って。


 そう考えるとクアッドコア化が理想か。

 でもその前に確実に二つの魔石の性能を活かせるように訓練が必要だよな。今の時点でも体のコントロールが僅かに狂ってるみたいだし。

 こりゃ魔法の訓練なんて完全に後回しだわ。


 ゴブリン狩りの再開だな。あいつらは狩っても狩ってもポコポコ増える、レッドリストとは無関係な存在だ。お陰で訓練相手には事欠かないのがありがたいけど、どんな原理だ?

 自然繁殖にしては増産ペースが早過ぎる気がする。ダンジョンから湧き出て来てるとか?

 それだと怖いな。簡単に生態系が破壊されるだろ。


 気になるなあ。けど、そんなのは居るか居ないか知れないけど、冒険者の仕事だろ?

 俺みたいな、自称悪い魔物じゃないスライムが考える事じゃない。


 ただ見つけたゴブリンを狩るだけだ。ゴブリン程度の攻撃じゃ傷一つ付かない。たまに出くわす少し強いゴブリンの攻撃だって不意討ちさえ喰らわなければ問題無いし。

 遠距離攻撃と魔法攻撃はまだ受けたことが無いけど、まあ大丈夫じゃないのかな? 根拠は無いけどね。

 とりあえず油断だけはしないで安全運行を心掛けておこうか。この先、どんな魔物が現れるか分からないし。


 喫緊の課題は新しい魔石と元の魔石の同調か。まだ元の魔石と新しい魔石の間の神経伝達系が不完全っぽい。


 それでも魔石が二つになったからから、右手で目玉焼きを作りながら左手でクロスワードパズルの答えを書くみたいな、完全に独立した行動なら支障は無さそう。

 だけど、両手を使って一つの物を操るのは難しそう。実際にやってみないと分からないけどね。


(よし、訓練がてらにゴブリン狩りに行きますか)

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