(資料)紙について
コンラッド王国では、一般的に紙と言えば魔物の皮を使用した羊皮紙擬きを示すぐらい、羊皮紙擬きは大量生産されている。
(ただし本作では便宜上羊皮紙と呼ぶ)
街から出て少し探せば幾らでも魔物は沸いて出る。食用にはならない魔物でも皮が羊皮紙として利用出来るので、低品質な羊皮紙の原料には事欠かないのだ。
悪質な製造業者は魔物の皮を剥ぎ取ると、不要箇所をその場に放置して魔物を誘き寄せる原因となっており、その処理に冒険者がよく駆り出される。
その悪質業者が雇った冒険者が出来高払いなので皮を剥ぎ取る以外の作業はせず、残りを放置していくと言う問題も冒険者ギルドは認知しており、頭の痛い問題となっている。
酷い冒険者は自分で捨てた遺体を自分が依頼を受けて処理をする、なんてあくどいマッチポンプまでしていたそうだから更にタチが悪い。
勿論バレて処罰されたらしい。
魔物の皮の羊皮紙は、A四サイズで一枚およそ大銅貨四枚と無料で配布出来る程安価では無いが、良くも悪くもそんな訳で多少の書き心地の悪さを我慢すれば羊皮紙には困らない状況である。
Aゼロサイズ以上の大きさになると、一枚物での製作に適した材料の入手が困難となる為、かなり高額となる。その為、継ぎ接ぎした物が市販されている。
無傷でAゼロサイズ以上の皮が採取出来た場合、ほぼ確実に領主に買い取られる。
書き心地の良い植物から作った紙は輸入品の為、メモに使うような使い方は一般的にはしない。
だが羊皮紙より書き心地が良いので、高くても植物紙を使う人がそれなりの数が居る。
なお植物紙の原材料は極秘事項として管理されているため、コンラッド王国で紙の製造は不可能である。
ただし植物紙には一つだけ例外があって、トイレで使うチリ紙だけは国内でも生産されている。
皮を剥いでも再生する特種な植物を大量に栽培して生産しているらしい。
文字が書けるような滑らかさは無く、トイレ専用として認知されている。
この紙があるのに、なぜ他の植物から紙を作ろうとしないのか不思議であるが、トイレ紙のイメージが強くあるためだと思われる。