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スライム×3+骸骨×1≒人間です。(リメイク版)【第一部として完結】  作者: 遊豆兎
第2章 何故か冒険者になるにはトラブルって付き物だよね
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(資料)採取物の取り扱いについて

 冒険者ギルドは、四つの建物(ギルド本館、提出棟、解体場、訓練場)で構成されていて、植物、鉱物等の採取の場合と、魔物・動物等の討伐・素材の採取との場合で提出する建物が別れている。


・植物、鉱物等の採取依頼

 提出棟にある採取物提出カウンターに提出する。


・魔物・動物等の討伐・素材の採取依頼

 解体場にある採取物提出カウンター(魔物類の搬入はこちらへと看板あり)に提出する。


 どちらも採取物提出カウンターに鑑定の為の専門スタッフが常駐し、依頼内容と合致すれば証明書を発行する。


 何故そのような方法を採用しているのか、以下に列記する。


①『鑑定』スキルが無い

 一番大きな理由は、この世界には『鑑定』スキルが無いこと。

(単に知られていないか、又は秘匿されている可能性があるが、確かめる術は無い)


 薬草やキノコの中には採取してから時間が経つと、よく似た毒草、毒キノコとの見分けが困難になる物がある。

 その為、薬草やキノコ等は専門家が鑑定を行う必要がある。受付嬢にはそれらの専門知識やスキルは求められてはいないのだ。


②カウンターや手が汚れるのがイヤ

 採取された物が清潔とは限らない。

 泥塗れ程度ならまだマシだが、汚水の中や魔物の腹から取り出した物があるかも知れない。

 また血塗れになったままの物品を提出する気遣いの出来ない冒険者も存在するのだ。


 安全、衛生面から、受付嬢にそれらの危険物や汚れた物に触れさせないこと、またカウンターの拭き掃除が必要になるので汚損防止の観点からカウンターが分けられている。


③提出物の運搬業務の発生

 受付嬢に提出された場合、受付嬢は受けとった提出物を別の場所に運ばねばならない。

 藤籠に入れて片手で運べるような物、無臭の物ならまだ許容可能であるが、中には重量物や悪臭を放つ物もある。

 それらを運ぶ身にもなってくれ、とキレた受付嬢が過去に居たのだ。


 また、倉庫に運搬するために受付嬢が席を外す必要がある為、繁忙時に余分に冒険者が待たされる時間が発生し、それ時間の無駄じゃね?と上役の誰かが提案した経緯がある。


④個人情報の秘匿

 受付嬢に採取物等を提出すると、他の冒険者に誰が何を提出したのかが明らかになる。

 希少価値のある物品であれば注目を浴びることになり、以降の活動に何らかの支障を来すことが想定される。


⑤遺品の取り扱い

 冒険者は時にして依頼の最中に命を落とすことがある。

 発見された遺体は後日火葬されるが、遺体の発見者は身元の確認の為に冒険者カードなどの遺品を持ち帰ることがある。

 状況によっては血塗れの物品を持ち帰ることもあり、やはり衛生的な理由でこの受付カウンターを使わせる訳にはいかない。


⑥廃棄物の一元管理

 冒険者の持ち込んだ魔物・動物、食肉加工、素材の剥ぎ取りが行われるが、廃棄物も発生する。

 中には毒性の物も含まれる為、廃棄物の管理の必要性から魔物・動物は全て解体場へ持ち込むこととなった。



 採取物を冒険者ギルドに納品する必要があるのか、と言う議論が過去に行われたことがある。

 これについては以下のメリットとデメリットがある。


メリット

・冒険者が依頼主と直接遣り取りすることで、依頼主がこれは採取対象ではないと嘘をついたり、品質が悪いとクレームを付けたりする可能性がある為、これを防止する効力となる。

・依頼主が冒険者と直接の接触を行わずに済む。

 依頼主の中には冒険者に自宅や店舗に来て欲しく無い、関係を持ちたくないと考える人が居る。

(素行不良の冒険者が一定数存在する為、これは仕方ないだろう)


デメリット

・薬品に加工する場合など、鮮度の良い材料を使用する方が好ましいケースでは直接依頼主の元へ持ち込む方が良いが、冒険者ギルドに持ち込むことで鮮度が低下する恐れがある。


・冒険者ギルドから依頼主の元へ運ぶ手間、又は依頼主が冒険者ギルドに取りに来る手間が発生する。



 メリットとしては契約上の問題から冒険者を保護する側面が強く、デメリットとしては物品の保護や時間のロスに関する側面が強い。

 冒険者ギルドは冒険者の保護も目的とする組織であるため、基本的にメリットを重視して冒険者が採取した物を預かり一元管理することと決定しているのだ。



討伐証明・魔物の買い取りについて


 冒険者ギルドの魔物解体施設(解体場)が併設されており、この施設には地下三階の食肉等を保管する倉庫が作られている。


 討伐依頼の出ている魔物を狩った場合は、解体場に指定された認定部位を提出し、討伐対象であることを証明してもらう必要がある。


 討伐対象と認定されると、証明書が発行されるのでそれを受付嬢に提出することで依頼達成報告が完了する。 


 討伐依頼には常時討伐依頼、指定討伐依頼の二種類がある。

 ヒュージワームの牙は刃の素材として利用されるので常時討伐依頼となっている。

 その他にはゴブリン、オーク等が常時討伐依頼の対象である。

 常時討伐依頼の対象になるのは、比較的繁殖力の強い魔物、若しくは再生能力の強い魔物が指定されている。


 魔物は食肉や毛皮など有用な部位を有する生物であり、この世界の生活には欠かせない物である。

 その為、常時討伐依頼又は指定討伐依頼の対象外であっても、食肉や素材が採れる魔物を狩った場合はこの施設に搬入すれば、幾らかの手数料を払えば解体してもらえる。


 町中にある大半の精肉店も、魔物の肉はこの解体施設で購入している。

 魔物の皮や肉は大量に搬入される為、安価に取引される物が多く、市民にとって冒険者は欠かせない存在と言える。


 なお魔物の肉は体内に保有する魔力が多い物ほど腐敗の速度が遅い傾向にある。



例外

 冒険者に中には採取物を直接依頼主に届ける少数派も存在する。

 彼らには商品に対する知識と自信があり、また依頼主との信頼関係にあるからそれが可能なのだ。


 このような関係が出来ると依頼主は冒険者ギルドの指名依頼制度を利用するようになり、その依頼は掲示板に貼られることは無い。


 この弊害として、その者以外にその対象物を上手く採取出来る冒険者が居なくなる恐れがある。

 その為、指名依頼の乱発、特定の依頼の独占は禁止されている。



 ケルンさんから聞いた予備知識を披露してみたのだが、何故ケルンさんがこんな細部まで知っているのか、少々問い詰めてみたくなる。

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