第129話 結局のところ、無料サービスは良くないのです
今回は少し長いです。しかも面白く無い話になったかも。<(_ _)>
貯水池までの道路整備が完了した翌日、カラバッサのビステルさん専用の試作機が完成した。
俺専用のカラバッサはビステル機から生産性と材料コストを改善し、量産機に近い形に作り変えて行くことになる。
タイタニウムを使わないフレームならラファクト鋼材店でも製造可能で、ラフト親方が既に試作に取り掛かっている。
タイタニウムに比べて強度が落ちる為、納品、材料運搬、買い出しに積極的に使用し、データー取りを行ってから本格的な生産・販売開始になる筈だ。
カラバッサの駐機位置の問題も不本意ながら解決したし…。
馬車工房を出て昼食前に外でブリュナーさんと合流、お偉いさん方も訪れると言われている夜のお店の昼営業に連れて行ってもらった。
プロのお姉さんを相手にハツタイケン…。
これは魔力の溜め過ぎで不調を起こした体を調整する為の治療行為であり、仕方なくやったことだ。決して喜んでやった訳では…。
その時、ブリュナーさんはどうしてたかって?
この店は客のプライバシーを完全に保護しているから、待ち時間に何があったかは教えてくれない。察しろってことか。
この後、冒険者ギルドに寄るとライエルさんがニコニコしながらルベスさんとベルさんがマーメイドの四人を鬼のようにしごいていると話してくれた。
どこにもニコニコ要素は無いと思うのだが。
恐らくこの人も修行になると人が変わるタイプなんだろう。竹刀を持って鉢巻き巻いて、気合いだ気合いだ!と言うに違いない。
修行はまだ続くと言う話なので、貯水池の浮草回収やオーガ狩りで目立たず平和に暮らすつもりだ。
冒険者ギルドで進めているフィールドアスレチックの建設は、若手冒険者の人気依頼となっているらしい。どうやら自分達が作った遊具で遊んで楽しんでいるのだとか。
男女混合のパーティーの中には共同作業とその後のワクワクハラハラドキドキを共有したことで、そのまま恋人同士の関係に発展した人達が居るそうだ。
気になる人が居れば、試しにスポーツに誘ってみると良い。このドキドキは脳科学的には好きのドキドキと同じらしいから。
絆創膏の開発についてライエルさんに話してみると、あっさり「いいよ!」と引き受けてくれた。良く効く傷薬があるらしいので、後は糊とテープの開発だけで済む。
それが大変なんだけど、王都の錬金術ギルドと薬剤ギルドに働きかけてくれるそうだ。
エマさんはタイミング悪く外出していたが、明日は休みだから誘ってやりなとミランダさんが意味ありげに話してくる。
寮から引っ越しをするつもりで準備も終わらせていると聞き、
「明日引っ越しして貰いましょう。ミランダさん、エマさんにそのようにお伝えください」
とブリュナーさんが伝言を頼む。
「エマの引っ越し先ってクレストさんとこだったの?!」
と彼女が叫ぶもんだから、ギルドに来ていた何人かの冒険者が一斉に俺の方を向いた。
久し振りにギルドで注目を浴びて居心地が悪い。
「ブリュナーさんの料理が気に入って、料理を教えて貰いたいんだって」
「嘘、ご飯目当てで…?」
「以前みえられた際、毎晩食べたいとおっしゃったので親方様がそれなら我が家に来るかと誘われて」
「…はぁ…まぁ本人が良いなら何も言わないわ」
何か言いたいことがあるけど言わないって表情のミランダさんに違和感を覚えたが、エマさんが望んだことだし。
「食費ぐらいは毎月貰っても問題ないよね? 寮費と同じぐらいにしようかと思うけど」
「それ、本人には聞いた?」
「笑われたよ。おかしな人ねって」
ミランダさんが額に手を当て溜息を付く。
「明日は引っ越し頼むね。朝十二時に迎えに行ってやりな。あたしからもよく言っとくから」
「ではそのように」
ブリュナーさんが軽く頭を下げる。俺は手を振ってからギルドを出た。
次にガルラ親方の工房で犬小屋と称された三人用のタイニーハウスを三棟、それとキッチン棟とトイレ棟を受け取った。
この五棟を連結すれば狭いが一つの家になる。災害時の仮設住宅としても使えそうだ。
狭いダンジョンでも使えるように高さは抑え、横から見るとホームベースの三角部分を八割がた無くした形なので、横から見ると確かに犬小屋に見えなくもない。
左端にトイレ棟、右端にキッチン棟を連結し、ブリュナーさんに試してもらうと、
「テントより安心して寝られますね。狭いですが移動式の家にもなります。戦地で活躍するでしょうな。
これならかなりの注文が見込まれますよ」
と太鼓判を押してくれた。
「ところでトイレの処理は?」
「クレストさんのは企業秘密だ。量産品なら取り外し式タンクかスライム式だな」
誰でも出し入れの出来るマジックバッグはどこにも流通していないのだ。
普通のバッグをアイテムボックスの偽装のために使っていたら勝手に出来てしまったとは言え、まさかマジックバッグをトイレのタンク代わりに使うとは誰も思うまい。
言っとくが、このバッグは入れるの専用で、中の物を出す予定は無い。無いったら無い!
俺の嫌いな衛兵隊長に手を入れさせようと少し思ったが、そんなイタズラの為に貴重なマジックバッグの存在を知らしめる訳には行かないだろう。
その次にクッシュさんが開くことになったスイーツ店『キャプテン クッシュ』を訪れる。
二階建ての小さな一軒家で『ガルラ工務店』の若い衆が改築している最中だった。
予定通り一階が店舗で、二階に持って上がって食べてもらうスタイルのこじんまりとした店だ。
厨房はブリュナーさんプロデュースなので使い勝手もバッチリ。
続けてクッシュさんの屋台に向かい、オヤツにフルーツ入りのパンケーキを注文した。
数量限定のプレーンワッフルの販売が開始され、新食感が話題を呼んで毎日即完売の勢いらしい。
ワッフルの格子にブルーベリーや角切りのフルーツを乗せたフルーツワッフルも近く販売開始予定らしい。
生クリームやチョコレートが無いのが非常に残念だ。
『キャプテン クッシュ』の開店後にこの屋台を引き継ぐ人を募集したところ、応募人数の多さに人選が難航したそうだ。
味覚の確かさ、人当たりの良さを基準に二人を決めたが苦労したわ、とクッシュさんが遠い目をする。
酪農製品は急には増産が出来ないので、屋台プラス店舗になると原材料の調達が問題になる。
リミエン商会や目端の利く大手商会が牧畜業への投資を行い、飼育頭数の増加を促しているが、生き物が相手なので成るようにしかならない。
パンケーキは少し贅沢な商品だから市場規模もそれ程大きくないので、材料を遣り繰りしながら営業するぐらいが丁度良いのだろう。
ラゴン村まで道路整備を進めて輸送時間の短縮をしようか、と言ったら勝手にやるなとブリュナーさんに止められた。何故だろう?
それから『シオン雑貨店』を訪ねると、ほかのお客に混じってちょうどロイとルーチェがオリビアさんに連れられて買い物に来ていた。
ガバス鍛冶工房で作ったブロックの試作品はロイに与えるつもりだったのだが、商業ギルドにサンプルとして提供したのでロイがブロックを見たのは今日が初めてだ。
店頭のサンプルでガチャガチャと楽しそうに遊んでいる。
ルーチェは魔物を可愛くデフォルメした指人形を指に填めて喜んでいた。
レジカウンターの下から人形を出し、カウンターに居る愛想が今ひとつ良くない店員さんに「ねーねー、おねーちゃん」と呼び掛けている。
それは人形劇…か? 子供向けの演し物にちょうど良いな。
本人が黒子で左右の手にパペットを填めたお笑い芸人にも居たことだし、多分こっちでも受けるだろう。
俺は演者にはならないけど、プロデュースならやってみてもいいかな。
棚にあったヨーヨーを手に取り、軽く下に投げる。それから手をサッと引き上げて手元に戻す。
ロイが目を輝かすので渡してやり、
「人や物に向けて投げるなよ。下に投げ、手を引き上げて戻すんだ」
と超簡単に遊び方を教える。
悪いけどこれ以上の技を知らないから教えられないのだ。
俺の声が聞こえたのか、奥からシオンさんが出てきて俺を奥に招き入れた。そこにはバルドーさん、ガバスさんも来ていて、何かの打ち合わせをしていたようだ。
既に『エメルダ雑貨店』と『ガバス鍛冶工房』と共同開発の新しい玩具が幾つか売り出されているから、この三人が一緒に居るのは不思議ではないが、余り浮かない顔をしているのが不思議だ。
「お店にお客さん来てるけど、儲かってないの?」
「お蔭様で十分に儲かってるわ。生産が間に合わないから困ってる」
なるほど、ブラバ樹脂を使ってるから外注に出せないんだ。それに樹脂の供給も不足してるのかも。
嬉しい悩みで良かったよ。でもそれだけ?
それならもう少し明るい雰囲気でも良いと思うけど。
「でも何か問題があるんでしょ?」
お金でケリが付く問題なら力になるし、商業ギルドやブリュナーさんのコネが効くならアテにすれば良い。
「少々厄介なお客様向けの商品を頼まれてて、どうしようかなって」
「儂も貴族向けの商品なんて作ったことが無い。装飾を入れるだけで良いのか他にも何かあるのか分からん。装飾付きの金型など彫ったことも無い」
「豪華なパッケージも必要だろ。
そんなもの作ったことのある工房なんて儂らの知り合いには居らん」
貴族の子供向けの玩具を作るんだ。皆、凄いじゃん!
シオンさんの店なんかちょっと前なんて倒産寸前、閑古鳥が鳴いてたのに大出世だね。
とは言え俺にもそっち方面の知識は無いので頼みのブリュナーさんに顔を向けると、
「それなら実際に貴族向けの商品を販売している商店をご覧になるのが良いでしょう」
とアドバイスをするのだが、
「そんな店に儂らは入れんよ」
とバルドーさんが言い、シオンさんとガバスさんが「そうそう」と大きく頷く。
ブランド品のお店に汚れた作業服を着て入るような感覚か?
皇室御用達とかだと、無意味に金箔を貼ったり綺麗な箱に入れて豪華にするんだよね。どうせゴミになるだけだから勿体ない。
あーゆー人達や政治家が率先して簡易包装とかエスディージーズに取り組まなきゃダメじゃん。節電とか考えたことがあるのかな?
ちなみに太陽光発電やアスファルト舗装を増やし、水田や畑が減ると夏場はより暑くなり、冬場はより寒くなる。打ち水したり、水辺に行くと涼しいって体感してるよね?
それを考えずにどんどん太陽光発電を増やし、道路を作る政策を執る政治家は考え無し大馬鹿者だ。
おっと脱線しちまったな。
「これから商業ギルドに行って貴族対応のこと、聞いてみるよ。皆も行く?」
一同に聞いてみたが、三人の工房主とブリュナーさんが首を横に振った。
「ワタシらはここでもう少し考えてみるから」
「そろそろ夕食の支度に戻りますので」
困った時は商業ギルドに相談じゃないの?
それとも、やっぱり皆も商業ギルドには行きたくないとか…あり得るかも。
仕方なく一人で行くことにして店に戻る。
子供達に好きな玩具を買ってあげると言うと、ロイは悩んでブロックを、ルーチェは迷わず指人形を選んだ。
俺はヨーヨーを選び、我が家用にデフォルメした動物の駒を使うチェスとダーツを購入した。
ダーツはブリュナーさんが物凄く欲しそうに見ていたからね。間違ってもナイフを投げないようにね。
皆と別れて商業ギルドの三階にやって来た。
対策本部の職員のほとんどがスポンサー集めや業者との打ち合わせで忙しいらしい。とにかく資金が不足しているからだ。
百周年記念イベントは王都からすれば各領主の手腕を測る格好の場でもある。だからリミエン伯爵もない袖を振ってでも派手な花火を打ち上げようと躍起になっているのだ。
正直に言うと、そう言った考えはアホのすることだと思っている。
過去に流行った第三セクター方式や箱物行政が悉く赤字を出して廃止になった流れを見ても分かることだ。記念式典の為、本来なら不要なのに急遽作った公共施設が継続的に黒字を出すなんて有り得ないのだ。
アイデアが欲しいと頼まれて搾り出した貯水池周りの開発事業だけど、継続的に客を呼び続けるのは不可能だろうな。それこそ毎日闘技場として使うか、劇やコンサートを開かないと。
そうなるとやっぱりアイドルグループは必要だよね。
そもそもリミエンは都市部の人口が一万程度しか居なくて、領地は広いが農業以外の売りが無いのに、そんな場所で何か記念式典をやれ!とはおかしな話だ。
地方を盛り上げるどころか、逆に経済的負担が地方を疲弊させると王都のお偉いさんは気が付かないのだろうか?
この特需を機にバンバン子供が産まれて人口がドッサリと増えていくようなことがあれば話は別だが。
まあ、王都だけが式典をやるとなると、国内中から人が押し寄せる可能性もあるし、また街道だって安全とは言い難いのだから無理な旅行は避けて貰いたい、と言うのが王都の本音なのだろう。
だから地方領にも派手に祝って貰おうと通達を出し、領主達が禿げそうな勢いで悩むことになったのだ。
それでも工業都市、海運都市ならまだ手は打ちやすいだろうが、コンラッド王国の大半を占める農業都市で一体何をやれと言うのか、と多くの領主達が苦悩しているのだ。
「あの男への支払いはどうすれば良い?」
と全く違う方向の苦悩をする男性…リミエン伯爵を除くが。
彼の苦悩は機会があれば語られることもあるだろう。
そんな面白くもない話を鉄面皮のレイドルさんに聞かされた後で、ビステルさんのお強請りに対応する為に考えていた印刷に関するメモ帳を渡す。
「面白そうだが…今はコレを研究する金が無い」
「知らないし。何ならウチの値引き分の大銀貨五百枚を返還しようか?」
「いらん。そんなのは端金だ。
二ヶ月後ぐらいからお前発案の製品の売上げがあがってくる。それ程度ならすぐに回収できるぞ。洗浄剤他の開発に掛けた予算も今年中に回収予定だ」
『極秘』とスタンプの押されたノートを開き、洗浄剤、浮草紙、各種筆記具、保温バッグの開発に掛けた費用と売上げ予測が書かれたページを俺に見せてきた。
チラリと見たが、年末までに研究費がギリギリ回収出来る見込みになっている。絵に書いた…餅は無いからパンにならないように祈ってやろう。
「領に金があれば、暇しているお前に引き続き道路整備を頼みたいが…お前が道路工事のついでに色々サービス工事をしたせいで伯爵の頭に銅貨禿げが出来そうだぞ」
「それも知らないし」
十円禿げがコッチにもあるんだ。ストレスは異世界共通なんだね。人類が滅びる原因って、ひょっとしたらストレスかもね。
「だろうな。とりあえず何かデカイ獲物でも狩って匿名で伯爵にプレゼントしろ。
その売却益でお前の工事費用を賄ってもらおう」
「あのさ…それ、手間なだけでオレにメリット無いじゃん」
俺に払う金を俺が用意するっておかしくないかな。気のせいか、もの凄く損した気分なんだけど。
「市民権も持たんし、爵位もやれん、それに金も無い。
リミエン伯爵がどれだけお前のせいで気苦労してるか分かってないだろ?」
勿論分かってないです。一度会って以来、それからは会ってもいないし。
あ、伯爵と言えば山の調査の報告はエマさんがやったのかな?
行った人が直接報告するのが一番間違いないし。魔界蟲、ラビィ、ダンジョンと予想外のことばかりでお腹いっぱいになっただろうな。
まぁ、次はダンジョンアタックするんだし、もっと良い報告が出来たら良いな。
それより俺のせいで伯爵が苦労してるとは…?
心当たりがあるとすれば、ポンコツお嬢と護衛の件か。
「市民権なんておかしな選民主義を助長するような制度を作ったボケ共に文句言ってよ。
どうせファロス家の件で揉めてんでしょ?
言っとくけど、突っ掛かってきたのは向こうだからね」
「一度酒場にでも行ってみろ。最近の吟遊詩人の演目だが、オマエがギルドカードを出すシーンで大いに盛り上がってるぞ。
『控えおろう! このライブラカードが目に入らぬか!』だとよ」
「何だよ、それ? 肖像権の侵害だぞ」
時代劇のパクリなのはきっと勇者がそのフレーズを広めたんだろうから諦めよう。
それにマスメディアも碌な娯楽もないから、ちょっとしたハプニングでもおもしろおかしく大袈裟に取り沙汰されるんだよね。
でもあの件で市民権に疑問を持ってくれた人が居たなら、やった甲斐があるってもんだ。
「だがまぁ、幅を利かせていたファロスが肩身の狭い思いをしていると思えば、ざまあ見ろってやつだな。そこは感謝する」
あの護衛のせいでイヤな思いをしているのがビリーのオヤジさんだから、俺的には感謝を受け取り難いけど。
でもオヤジさんに人を見る目が無かったと言う現れでもあるのか。
「市民権のせいだけじゃないが、言っても無駄か。一応言うが、サービスで工事をしすぎだ」
「俺が勝手にサービスしたんだから問題無いだろ?
正味掛かった日数分の日当が貰えたらそれでオーケーなんだけど」
「堤防工事に橋の架け替え、公衆トイレの建設をサービスでやるような非常識なやつは居ないぞ。
オマエのやった工事一式をオマエの言い値で他の業者に発注してみろ。どこも首吊るしか無いんだぞ」
「そうなの?」
レイドルさんが大袈裟に頭を抱えるが、サービスして何が悪いんだろ?
「適正価格って知っているか?
五キロの道を三人が五十日で整備した場合の費用がオマエに支払われる報酬だ。
それにはルート変更や丘の消滅、堤防工事などは含まれん。一キロあたり大銀貨九十枚、計四百五十枚だ」
「でも一週間ちょいの実働でそれだとボッタクリだろ?」
「普通の人間がやればそれだけ掛かる、真っ当な金額だ。工事期間に関係なく支払われて当然だ」
納得行かないな。大銀貨三十枚程の日当で俺が良いと言ってるのに、どうしてそんなに払いたがるの?
「会計監査では正味工事日数は問題にはならん。工事の内容と支払額に合理的な整合性があるかどうかが確認される。
それは何故かと言うとな、公共工事だからと言って不当に安い価格で業者を虐めていないか、または不当に儲けさせていないかを確認するからだ。
そこで堤防工事は無料です…と言われて誰が納得する?」
「俺」
世の中には一円入札ってあったでしょ、アレと同じと思ってよ…ダンピングだって?
「オマエ以外の第三者では?」
「さぁ?」
「説明が付かんだろ。そう言うことをオマエはやらかしたんだよ。
オマエが予算管理する側として、業者が作業しました、お金はいりませんと言われてみろ。その浮いた金はどうする? 着服するのか?
いい加減に分かってくれ」
「予算は予算、余ったら返せば良いじゃん」
年度末に道路工事して余った予算を使い切るような真似はしなくて良いと思うけどなぁ。
「そうか。
オマエに任せればただで工事をやってくれることが全国に知られてみろ。オマエのもとに依頼殺到、毎日毎日無料の工事で全国飛び回ってウハウハだな。俺はそれでも構わんがな」
さすがにそれはイヤだな。
「イヤだろ? そうならない為に伯爵が無い金をどう工面しようか悩んでいるんだ。
アッチはやるけどコッチはやらない。そんな自分勝手は罷り通らんぞ」
会社のサービス残業が禁止なのは、そう言うこと?
多分それとは違うけど、出来るからと言って何でもホイホイやるのがマズいのはやっと分かったよ。
(=゜ω゜)ノ 面白くないのは、いつものことだ!気にするな!
鶏の産卵は孵化後四ヶ月ぐらいから始まります。
鳥インフルエンザで全数殺処分すると、卵不足は最低でもそれぐらいの期間続きます。
乳牛から搾乳出来るようになるには出産させる必要があり、それまでに生後二年半も掛かります。
しかも牛の食事量は一日に三十キロにも及び、五十リットルもの水を飲みます。
トラックも農業機械もない世界では牛を一頭増やすだけでもとても大変なことです。
それを考えると、昔の人は凄いとしか言いようが無いですね。