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琴線に触れる ~奇跡の時間~  作者: ちひろこ
7/20

世界でいちばん熱い夏

この夏は本当に一段と熱い夏だった。

最後の炎を燃やすように。

折れかけた心を何度も奮い立たせて。

限界を感じていたんだろうと私も感じていた。

でも最後の力を振り絞るように、沢山一緒に居てくれた。

本当に忘れられない最高で最強の夏だった。


彼の大丈夫だよ。が曇った。

いつもと違う。

すぐに分かった。

ただ、夜勤明けで疲れているのかと思おうと思った。

私と別れたいって訳では無いようだけど、精神的にきついんだな。とは思った。

今思えば春から怪しいと思っていた奥さんの帰省中、色々言われていたんだと思う。

彼は何も言わなかったけど、私と居る時は携帯をほとんど見ない。

むしろ、奧さんからの連絡は鳴らないようにしていたんだと思う。

ガンガン連絡も来ていたのかもしれない。

でも今しか一緒に居れない。

最後かもしれないと頑張ってくれてたんだろうと今なら分かる。


夏休みに家族が帰省で1人暮らしに。

いつもより会えるよ。って。

むしろ私のシフトに合わせて休みを作ってくれて沢山時間をくれた。

私はただ沢山会える事が嬉しくて、はしゃいで目一杯予定を入れた。

彼に聞いても大丈夫だよー。って。

嬉しくて、色んな人に彼を紹介したくて。

かなり連れ回した。

前から彼の話をしてた人達に自慢の彼を見せたくて。

自分の事しか考えて無かったよね。

本当に恥ずかしい。

本当にごめんね。

彼は緊張すると一気飲みになるようで私と再会した日と同じペースで。

2軒目に行った頃には具合が悪そうだった。

あー本当にダメな人間だ。

彼にとっては初対面の人だらけ。

もっと私が気遣ってあげなければ、いけなかったのに。

悔やんでも悔やみきれない。

でも優しい彼は限界まで付き合ってくれて、帰りの電車でバタンキュー。

私もぐっすり。

降り損なわなくて、ギリギリセーフ。

私の最寄り駅から、彼は更に1時間近く電車で帰らないとならない。

いつも電車で帰る時はギリギリまでホームで見送り。

でも心配だからとかけた言葉で、初めてのケンカ。

というか、お互いを心配しての言い合い。

彼から、

そんなんじゃ、俺なんて必要無いじゃん。

って言葉で、カッチーン。

じゃあ、居なくなれば。

みたいな事を言いながら、涙が溢れた。

そんな事思って無いの分かってるのに、何で?

私が泣いている認識が初の彼はビックリと我に返ったようで、いつもの優しい彼に戻った。

その電車は終電だったから、あたふた仲直りしてバイバイ。

私も泣いてる自分にビックリした。

でもね。

彼が気付いて無いだけで、22年前だって彼と別れる時泣いてたよ。

泣くなんてずるいし彼を困らせるだけだから、もう二度と泣いてる姿は見せまい。と誓った。


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