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1、どうやら召喚されたようです。

処女作なり。

楽しんで頂けると幸いです。

 今年も太陽が燦燦と照りつける様な夏がやってきた。


 正直、俺はこの季節が好きじゃない。


 日に焼けるは、汗でべたつくは、ウェイ系はうるさいは、人の目を気にしないバカップルが沸くは、セミはうるさいは、『G』は増えるはでいいことがない。


 俺は外に出ることが嫌いだし、いきなり出てくる虫も怖いから嫌いだ。


 ……勿論、研究材料なら別だ。飛び掛かってこないし。いいデータが取れるし。夏に海に行って青春を謳歌するよりデータを取っていたほうが将来の為になる。


 ……こんな性格だから、友達もいなくなった。


 高校もそこまで楽しい訳じゃない。じゃあなんで通ってるのかって?決まってるだろ?進学のためだ。イベントなんてどうでもいい。同年代と戯れてる暇は無い。




 ……えっ、林間学校?強制参加?……そりゃないぜ……



 ― ― ― ― ―



 なんやかんやあって今俺は――なんか山の中に来ている。

 ……ここ何処?いきなり野宿ですか?

 っと、とにかく落合先生に……


「とりあえず、今日はここでキャンプするからな~班でテント張っておけよ~」


 班?班って何?俺ずっと一人で歩いて来たから……違いますね!


 俺が班の人避けて歩いて来たからだよね!


 はぁ……今更仲良くできないよな……ん?なんかテント張るの戸惑ってね?


 違う!そこを曲げるんじゃな――って、今変な音しなかったか!?


「陽斗……これヤバイんじゃない?」

「大丈夫っしょ!イケる!イケる!任せといてよ美奈チャン」


 イケないから。十分にヤバイから。俺らこの二日野宿になるよ?そしたらゴキ……黒くてテカテカした瞬間時速約150キロの昆虫界最速――とまではいかないものの昆虫界上位に君臨する()()と一緒に寝ることになるよ? いいの? 俺は嫌だ。絶対。


 これだから陽キャバカップルは……仕方ないか。


「変に力入れると骨組み折れるわよ?ゴキブリと一夜をすごしたいの?小日向 陽斗君?」


 ……俺が出るまでもないらしい


「そんなわけないジャン?俺は今、美奈チャンとの愛の巣を建てようとしてだけで……」

「美奈さんはあなたと一緒のテントじゃないでしょ」


 せやな。ってか愛の巣テントでいいのか?安っすい愛の巣だな。


「寧ろ、さっきからあそこでこちらの話に耳を傾けている柾人君こそ一緒に作業するべきだと思うのだけれど?」


 バレてた!? ……まぁ困らないけど、めっちゃ恥ずかしい……


「柾人?あぁ、暗木のことか…」

「黒木な。人を根暗みたいに呼ぶな。」


 その後とりあえずテントを張ることができた。全部俺がやったけど。そのうえさっきの件で骨組みが曲がってしまっていたらしく山に来てまでテントの修理をさせられてしまった。


「やっぱ、テントの中は最高だわ~虫もいないし美奈チャンと『RINE』し放題ジャン」


 ……このテント燃やしていいかな?


……っは!!危ない!もう少しで人を一人家に帰さず、土に還すところだった……よく踏みとどまったぞ俺。


 ちなみに『RINE』は無料メッセージ型対話アプリの事だ今時やってない人に方が少ない……と思う。俺もしてるし。二人も登録されてるし……妹と姉貴のだけど。登録されていることに変わりはないですし。


 取り敢えずテントは張り終えたし、次は何をしようか……


「火でも起こすか……でもその前に水も確保しておきたいからな。浄水器からか?いや、何かと便利な、水力発電機から……ここは視界が悪いな……更地にする為のダイナマイトか?……」


 熟考した末に俺が出した結論は……


「よし!ダイナマイト作るか!」

「貴方はテロでも起こす気なのかしら?」


 驚いた。ここまで気配を消して忍び寄れるのは生まれつきの才能か何かか? それかあれだ。アサシンだ。だとしたら俺殺られる? 17歳で死ぬのはさすがに嫌なんだが。


「人の顔を見て驚いた後に暗殺者でも見たかのように青ざめるのは失礼じゃないかしら?黒木 柾人君?」


 こいつ、まさか読心術を使いこなしているのか?!いや、それ以上だこれは。つまり……エスパー!?


「また顔に出ているわよ。わたしはエスパーでも何でもないわ。」

「すまん……それとさっきはありがとな。えっと……」

「綾瀬 小夜香。それが私の名よ。……貴方、人のことを記憶することができないの?」


 ド直球投げてきたなぁ。それも剛速球。驚異の190㎞/時


「すまん。人の名前覚えるの苦手でさ。」

「それは貴方が人の名前を覚えようと努力しないからよ。」


 ……はい。すいません。どうせ関わること無いと思って名簿捨てました。一年のころは人の名前をただの記号ぐらいに思ってました。ホント、すいません。


「ってかお前はここに居て大丈夫なのか?あとの二人は……」

「波風 美奈さんと成白 絢音さんの事かしら?」

「そうそう。その二人。」


 陽キャバカップルの片割れは波風、もう一人は見てないけど、成白さんか。一班五人で男子二人だから女子は三人になると思ったんだが。俺の見立ては如何やら合っていたらしい。


「二人なら私と絢音さんが張ったはったテントで休んでいるわ。」

「そうか。なぁ、テント張ったあとは何すんだ?」

「……火を起こして夕飯の準備よ。先生から聞いてなかったの?」

「すまん。多分寝てた。」

「呆れたわ。」


 重要だよ。睡眠。現代社会の大人たちは睡眠が足りてないから『○○ハラ』をするんだよ……多分。


「……それに、貴方は目の前に女性がいるのに他の女性のことを話すなんて……」

「……なんか言った?」

「何でもないですっ!」


 隠しきれてないから。なんかちょっと涙目だし。頬赤らんでるし。何なら全部聞こえてたし。俺主人公じゃないみたい。難聴じゃないから。


「じゃあ用意しとくわ。早く戻って恋バナでもしたら?」

「は?」

「……さぁて早く準備しよーカレー食べたいなー」


 殺気が溢れてたよあの人!?……オンナノコ、コワイ。



 ― ― ― ― ―



 夕食が終わり班員全員が寝る準備を進めた。もちろん男子の方は会話なんて全くなく、バカップルの片割れ小日向 陽斗のいびきが響き渡っていた。


頑張って寝ようとしてる俺、えらくね?褒めて?ダメ?え?キモイ?あっ、そうですか。まぁいいんだけどね褒められなくとも。


 どうせ朝は来ますし何も変わらない平和な平和な朝が……これ、フラグじゃね?朝起きたら転生か召喚される系のやつだよ。きっと。


 そんなふざけた阿保らしいことを考えいてると登山の疲れの所為か俺の意識は段々と遠のき、泥の様に眠った。


 翌日おきてスマホをみると時刻は五時半。いつもより早く起きた。テントの中は男二人いるということもあって暑苦しい。というか男臭い。


こういう時は……というより、朝一にすることは一つ!!

 

 朝の澄んだ空気を目一杯吸う事!!隣の小日向はよだれを垂らしながらプロレスの寝技でもキメているかのような寝相でゴロゴロと爆睡している……蹴ってやろうかな。


っと、とにかく外出て、深呼吸しよう。


 テントを開け、()()()()()()に俺の思考は一瞬停止する。だがそれも一瞬だ。こんなことで取り乱す俺じゃない。深呼吸をして思いっきり肺に溜めた空気を使い。叫んだ。


「異世界なんですけどぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」


 前言撤回。俺氏、かつてないほどに取り乱して居た。

誤字脱字等あれば報告いただけると嬉しいです。

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