弱虫、ごん兵衛さん。
・・・むかしむかし、ある村に。
ごん兵衛さんという弱虫な男がいたんだよ。
ごん兵衛さんは、弱虫だから。
好きな女の子にも、告白できない男だったんだ。
『なあ、ごん兵衛! お前の好きな女の子の“サクラ”が嫁に行くぞ!』
『___えぇ!? 誰のところだい?』
『隣町の村蔵のところだよ!』
『村蔵って? あの女癖の悪い、アノ村蔵のところか!?』
『___あぁ!』
『そりゃ~大変だ! どうにかしないと、、、?』
『・・・そう思うなら? 村蔵からサクラを奪い取らんか!』
『___でも、オラにそんな事、、、。』
『お前は、“弱虫だ!” だがな、誰よりもサクラの事を想っとるんだろうが!
男なら、勇気を出さんか!!!』
『・・・・・・』
『___このままなら、間違いなく! サクラは村蔵のところに行くぞ!
まあ、お前さん次第だがな!』
『・・・・・・』
*
ごん兵衛さんは、思い切ってサクラが嫁に嫁ぐ前に呼び出したんだよ。
『___なあ、サクラ? 隣町の村蔵のところに嫁に嫁ぐのは本当の
事なのか!?』
『___えぇ、』
『サクラは、村蔵の事が好きなのか?』
『そんな訳ないじゃないの! 親が決めた事よ、私には他に好きな
男性がいるわ!』
『・・・そうか、』
『その人は、“ごん兵衛さんよ!”』
『___オッ、オッ、オラか!?』
『えぇ! だから今日、ごん兵衛さんに呼び出されて嬉しかったの!』
『・・・サクラ、オラは、お前の事が、、、!?』
『___ううん。』
___その時、隣町の村蔵の遣いの者がサクラを迎えに来ていたんだ。
『サクラ様! どこですか? 迎えに参りましたよ! サクラ様~!』
『___急いで、ごん兵衛さん!』
『・・・・・・ううん、』
『こんなところに居らっしゃったんですか?』
『___ちょっと、待ってて! ごん兵衛さん、』
『・・・・・・』
『何もないなら、行きましょう! サクラ様! 村蔵様がお待ちですよ。』
『・・・ごん兵衛、さん、』
『___ごめん、』
『話がないようですね? 行きますよ、サクラ様!』
『・・・もぉ、ごん兵衛さんの弱虫!!!』
『___サ、サクラ、』
▽
___こうして、ごん兵衛の大好きなサクラは隣町の村蔵のところに
嫁に行ってしまったんだ。
『なんで? サクラを止めんかったんだ、ごん兵衛?』
『・・・・・・言えなかったんだよ。』
『もう二度とサクラと会えなくてもか、、、?』
『___あぁ、』
『お前は、仕方がない奴だ! でもそんなお前でも俺は甘えが息子
のように可愛いだよ!』
『穣吉おじさん!』
『___もう、サクラの事は忘れろ! 女は腐るほどいるからな!』
『・・・それは無理だ! オラは、一生独身でいい! サクラじゃ
ないとオラはダメだからな!』
『そこまで、想っていたなら、、、?』
『・・・オラじゃ、サクラを幸せにはしてあげられん!』
『___ごん兵衛、お前は、』
*
___オラが、サクラを引き留めなかったのは、、、?
オラが、貧しい生活をしているからだ!
サクラをオラと同じこの貧しい生活に巻き込めない!
サクラには、誰よりも幸せになってほしいからだ!
それにオラは、、、?
“弱虫だから” サクラを守ってあげられるか? 自信がないよ。
貧しく、地位もないオラがどうやったら?
サクラを幸せに出来ると言うんだ、、、!
オラに、その資格はないと思っているのに、、、。
___これもそれも、サクラの為なんだ!
オラは、そう自分に言い聞かせて今も貧しい生活を送っているよ。
遠い空を眺めながら、いつもサクラの事だけを想ってね。
最後までお読みいただきありがとうございます。




