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第2話 Youth・Stray・Labyrinth(Ⅲ)

「ドラゴン族ってぇのは、俺達人類と違って長寿だっつうのはお前も知ってるだろう?」


 一般的にドラゴン族の寿命は10000年以上と言われている。外見上は子供でも、僕よりも遥かに年上なヤツを知っている。


「フェイ・シルフォイという男はドラゴン族ではないか、と俺は考えている」


 これまで二度にわたって対峙していたフェイという人物を推し量ろうとしても掴みどころがないというのが正直な印象だ。しかし、彼が純然たる悪である事は理解している。にも拘らず、何者であるか判らなくなるとはどういう事かと思ったが、確かにその通りだった。500年も前に残された記事に記録された人物が今も存在しているなどあり得ない事だ。

 耳打ちされた言葉に戸惑いを感じたものの、確かにそう考えれば辻褄は合う。ケイさんが言うようにフェイがドラゴン族であるならば、500年の時の流れなど我々人類に換算するならば数年の感覚だろうか。


「確かにそう考えればこの記事についても一応の納得はできます。でも、カイルさんっていうフェイの親族がいるのですが、彼はドラゴン族では無いように見えましたよ」

「何だって!?」


確かにカイルさんはフェイと同じような力を使うが、パイ達と違ってドラゴンの姿になる事もなかった。フェイがドラゴン族であるというならば、カイルさんもドラゴン族である可能性も否めないだろう。とはいえ、その姿を見る機会が無かっただけかもしれないのだから、ケイさんの考察が間違いであるという可能性もゼロでは無い。


「いえ、カイルさんがドラゴン族じゃないという理由がある訳じゃないですよ? もしかしたらそうなのかも……」

「いや、そっちじゃねぇ。フェイに親族がいるって話だが、俺が調べた限りじゃ、ヤツには姉が一人いただけで、他に身寄りはいねぇハズだ。どういうこった……?」


 こちらにとってはそっちの方がセンセーショナルだ。

 ケイさんの話が本当ならカイルさんの話と辻褄が合わない。あ、実はカイルさんは女性だったとか……いやいや、無い無い。そもそもカイルさんにはハルさんというれっきとした彼女さんがいるのだ。あれ、リサさんだっけ? それともエルマさんだったか? いずれにしてもカイルさんとフェイの関係を明らかにしなければ整合性を取る事は不可能に近い。惑星ロキへと行くべきなのだろうか、と考えていたところで、このケイさんの提案だった。


「俺はロキへ行こうと思う。アインのヤツも一足先に向かっているはずだからな。お前はどうする?」

「僕は……」


 編集長の許可を取らなければならないし、なによりレイアさんが首を縦に振ってくれるかどうか、である。


「あぁ、そうか。お前のバディ次第だわな。ま、一介の会社員としちゃ、上司の言うこたぁ絶対だが、これだけは言っといてやるぜ。上からの命令だけを聞いてるうちは成長なんざ望めねぇぞ?」

「成長……」

「てめぇ自身がジャーナリストとしてレベルアップしたけりゃ、てめぇの意志を貫けってこった」


 僕はレイアさんに一人前のジャーナリストとして認めてもらいたい。そのためには僕自身が成長しなければならないのだ。これはいわゆるチャンスというものではないだろうか。この事を伝え、僕が主導として記事を書く事が出来ればレイアさんに認めてもらえるかもしれない、などと儚くも甘い一縷の望みを抱いたとしてもなんら不思議は無いと思いたい。


「一度持ち帰ってもいいですか?」

「いいぜ」

「どうなるかは分かりませんが、僕もロキへ行こうと思います。その意志だけは伝えるつもりです」

「オーケー、良い目だ。さて、ごっそさん。俺はそろそろ行くわ」

「え、もう行くんですか?」


 おもむろに立ち上がったケイさんに惜別の思いを抱いたが、再会の時はそう遠くないであろうし、またいつでも会える。シンさんとはまた違った雰囲気をまとった兄貴分のように思えた。シンさんが長男ならケイさんが次男、そして僕が三男かな?


「待たせてるヤツがアインの野郎だからな。いつまでもアイツを野放しにしとくわけにゃあいかねぇだろ」


 本来ならば自由が利かない王族という身分であるにもかかわらず、自由気ままに宇宙を飛び回っているのだから確かに野放しにはしておけない。

 またな、と言って背中を向けたまま右手を軽く振って見せたケイさんを見送り、僕も早くこの女子会に囲まれた場から立ち去るべく立ち上がる。彼が立ち去ったテーブルの上にはこれ以上積み上げては危険に思えるほど大量の皿が重ねられていた。どんだけ食べたんだろう……てゆーか、あの細身の体でよくこれだけ食べれるものだと感心しながら立ちつくしていると、先程のウェイトレスからあり得ない長さの伝票を満面の笑みを湛えながら手渡された。

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