95 キャリアアップ~その果てにある至高の境地
「この履歴書を見たところ……」
「はい」
「君は10年の間に何度も職を変えているな。それも、職歴欄が書き切れなくなるくらいに」
「はい」
「しかも、どの職も半年ぐらいしか続いていない。短期間で職を転々としているようだ」
「はい」
「それでは、質問だが、最初の仕事、これはアルバイトということのようだが、この仕事はどうして辞めてしまったのかな?」
「はい。それは……」
「それは?」
「キャリアアップのためです。次のステージに進むため、勝手ながら退職させて頂きました」
「……」
「……」
「ふむ」
「はい」
「それでは、次の仕事、これは派遣会社A社での仕事とあるが、この仕事はどうして辞めたのかな?」
「はい。それもキャリアアップのためです。次のステージに進むため、勝手ながら退職させて頂きました」
「……」
「……」
「ふむ」
「はい」
「それでは、さらに次の仕事、今度はまたアルバイトとあるが、この仕事はどうして辞めてしまったのかな?」
「はい、それは……」
「それは?」
「キャリアアップのためです。次のステージに進むため、勝手ながら退職させて頂きました」
「ふーむ」
「……」
「君はあれだな。キャリアアップ、キャリアアップと言って、次々と仕事を辞めてきたようだが、しかし、君にとってキャリアアップとはいったい何だ? 次のステージとも言っていたが、君はいったい何を目指している? 君の言うキャリアアップの最終目的はいったい何だ? それが私には全く見えてこないな」
「……」
「最終的になりたい自分像とか、そういうものがあるのではないかね?」
「僕の目指すキャリアアップの最終到達点は」
「ふむ」
「それは」
「何だね?」
「ニートになることです!」
「それじゃダメじゃん!」




