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7 続一休さん
昔、一休という少年がいた。
一休はどんな問題も機知に富んだとんちで解決してしまう賢い少年として知られていた。
ある日、その噂を聞いた、大金持ちの商人が、一休を呼びつけた。
商人は一休を自分の店でもてなしたいと言う。
「ささ、店の中へどうぞ」
と、商人は言ったが、ところがどうだろう、店の前には川が流れていて、そこに橋が架かっているのだが、その橋には「このはしわたるべからず」という立て札があるではないか。
この橋渡るべからず。
橋を使わずに川を渡れというのか。いったいどうやって川を渡る?
商人はにやにやと挑戦的な笑みを浮かべて一休を見ている。
一休さんは答えた。
「まずこの縄をほどいてください」
一休さんはまだ縛られていた。