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68 おまわりさんとわたし

 ある朝、暖かい春の日差しの中、わたしは学校に向かって自転車をこいでいます。

 吹き寄せる南風が本当に気持ちいい。真新しいブレザーに包んだわたしの体に、命の力が流れ込んで来る気がします。

 わたしはこの季節が一番好き! だって浮き浮きするんだもん。

 だけど、今朝は何だか不思議。すれ違った若いサラリーマン風の男の人が、じっとわたしを見ている気がします。

 きっと、かわいい女子高生が自転車に乗っている姿に見とれているのね。そう思って自転車をこいでいると、自転車に乗った男子高校生たちが、わたしとすれ違うなり、「マジかよ」「よっしゃ」と叫びました。

 いったい何がそんなにうれしいのかしら。わたしの頭にハテナが浮かびます。

 きっと春の陽気が、あの人たちの頭の中にも、一面のお花畑を咲かせているのだわ。

 そう思うと何だかおかしくて、笑えて来ちゃう。

 ルンルンランランペダルをこぎます。

 と、そこへ、

「そこの自転車、止まりなさい」

 拡声機越しの声が聞こえます。わたしが驚いて振り向くと、一台のパトカーがゆっくりしたスピードで、わたしの斜め後ろの車道を走っています。

 わたしが自転車を止めると、パトカーも止まりました。やっぱり、そこの自転車というのはわたしのことみたいでした。

 何か悪いことしたかしら? 交通違反? それまでのルンルンランランした気持ちはしぼんでしまって、急にすごく心細くなって、オドオドビクビク不安がっていると、パトカーから、まだ若いおまわりさんが降りて来ました。

「そこの女子高生」

「はい?」

 おまわりさんがついに言いました。そして、その言葉はわたしを心底びっくり仰天させたの。

「パンツ、見えてますよ。スカートが後ろに引っ掛かって」

「いやん!」

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