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53 専門店
「どんなふうに切りましょうかー?」
チョキチョキと鋏を鳴らしながら理容師が尋ねる。
客は雑誌の中の写真を指しながら、
「こんな髪型で」
と答える。
理容師は、
「やめといた方がいいですねー。その髪型はお客さんには似合わないんで」
そう答えて鋏をチョキチョキと鳴らした。
「……じゃあ、この写真の髪型で」
「それも似合わないんで」
「じゃ、こっちで」
「似合わないんで」
「じゃ、もう……」
客は見るからにイライラしていた。
「坊主でいいです」
「かしこまりましたー」
ウイイイイイイイン。ウイイイイイイイイン。ウインウインウイン。
「はい、できましたー。これでよろしいでしょうかー?」
理容師は鏡を見せながら、
「お客さんにはこれがようくお似合いですよー」
皮肉な感じでニヤリと笑った。




