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4 三流武術師範~脱落者
道場で、武術師範とその弟子たちが鍛錬に励んでいる。鍛錬の途中、武術師範は弟子たちを集めてこう言った。
「これから、連続技の鍛錬を行う。突き、突き、蹴りの三連続攻撃だ。これを三千本続けて行い、持久力の強化を図る。持久力のない武術家ほど、実戦で役に立たないものはないからな。ちなみに、お前たちの中にはいないと思うが、途中で脱落する根性のないやつがいたら、追加でさらに三千本行う。いいか、わかったな? よし、では開始だ。ついて来い!」
「ハイ!」
「突き、突き、蹴りいっ!」
「突き、突き、蹴り!」
「突き、突き、蹴りっ!」
「突き、突き、蹴り!」
「突き、突き、蹴り……」
「突き、突き、蹴り!」
「ハア、ハア、ハア……」
「突き、突き、蹴り!」
「ヒイ、ヒイ、ヒイ……」
「突き、突き、蹴り!」
「ちょっと待て!」
武術師範の呼びかけに、弟子たちの動きがぴたりと止まる。
「少し、休ませてくれ」
武術師範は座り込んだ。
弟子たちは黙って見下ろしている。