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36 フンコロガシ
ある朝、キリギリスが寝そべっていると、その横をフンコロガシが通りかかった。
フンコロガシはフンを転がしている。
あの野郎、またやってやがる……。キリギリスはそんなことを思っただろうか。
「おい、フンコロガシ!」
キリギリスがフンコロガシに声をかけた。
「そんなふうにフンなんか転がして、いったい何が楽しいんだ?」
フンコロガシが手を止めて立ち止まる。キリギリスの方を向いて、
「別に楽しくはねえが……」
フンコロガシは言った。
「こいつも仕事だからな」
そう言ってフンコロガシは肩をすくめた。
すがすがしい労働者の笑みがそこにはあった。
朝日が、フンコロガシを照らす。
フンコロガシの一日は始まったばかりだ。




