表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/211

3 三流武術師範

 道場で、武術師範とその弟子たちが鍛錬に励んでいる。鍛錬の途中、武術師範は弟子たちを集めて講釈を垂れ始めた。

「いいか、弟子たち、よく聞け。突きは武術の基本中の基本。これがなっていない武術家は実戦ではくその役にも立たない。腰から拳を吐き出すつもりで、全身の力をまっすぐ伝えろ。拳にすべての力を集約させるのだ。まあ、もっとも、三流の武術家に突きをさせると、拳がぶれて力が分散されてしまうわけだが、一流の突きは……!」

 武術師範は突きを繰り出した。

「まったくぶれない」

 武術師範は得意げに笑った。その突きはぶれまくっていた。

 武術師範は講釈を続けた。

「それから、蹴りも基本中の基本だ。これがなっていない武術家は、やはり、実戦ではくその役にも立たない。相手の顔をなめるようにして蹴り上げろ。足の甲にすべての力を集約させるのだ。まあ、もっとも、三流の武術家に蹴りをさせると、体の軸がぶれて力が分散されてしまうわけだが、一流の蹴りは……!」

 武術師範は蹴りを繰り出した。

「まったくぶれない」

 武術師範は得意げに笑った。その蹴りは軸がぶれまくっていた。

 弟子たちは何も言わなかったが、それぞれ顔を見合わせて、内心、

(三流三流って、全部あんたがやってることじゃねえか……)

 と思っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ