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26 気遣いのできる寿司職人
いよっす! 俺っちは寿司職人。回転寿司の寿司職人だ。
俺っちは今、カウンター席の前で寿司を握ってる。客の入りは上々、忙しく働いているが、忙しさの中にも喜びがある。
回転寿司は速さが命。でも、速さだけがすべてじゃないぜ。気遣いも大事だ。
例えば、そう、あそこにいる額に傷のあるグラサンの客。あの客はすでに二十皿以上食ってる。とっくに腹はいっぱいのはずだ。
そこで俺っちはあのグラサンの注文を受けて、密かにシャリを少なめで握った。少なめのシャリで色々なネタを食べてほしいという心遣いだ。
どうだい、気が利いているだろう?
「おい、寿司職人」
ん、あのグラサンが俺っちに声をかけて来たぜ。いったいなんだろう?
ははあ、さては、俺っちの気遣いに気付いて、お褒めの言葉をくださろうって、そういうわけかい。
「へい、何でしょう?」
俺っちは満面の笑みでグラサンに顔を向ける。
グラサンは言った。
「シャリがすくねえ、なめてんのか!」




