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21 ポンコツの好きなこと
ポンコツがある職場で働きだした。
しかし、やはりと言うべきか、何をやってもうまくいかないポンコツのことなので、その職場でもポンコツはうまく仕事をこなせなかった。
手が遅いせいでノルマを達成できず、不注意な性分のせいでミスを連発し、ガタガタだった。
ある日、職場の責任者が、ポンコツを呼び出して注意した。
「いったい何件目のミスだ? いい加減にしてくれ」
するとポンコツは目を伏せて、
「僕だって好きで働いているわけじゃないのに」
ぼそりと言った。
これを聞きとがめた責任者はカチンと来た。カチンと来てこう言った。
「そうか。働くのは好きじゃないか。だったら、給料をもらうのも好きじゃないんだろうな? 働くのと給料をもらうのとは分けられないからな。もちろん、働くのが嫌いな君は、給料をもらうのも嫌いなんだよな?」
「それは好きです」
ポンコツはそう言ってくしゃりと笑った。




