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13 墓参り
八月十五日。暑い夏の出来事である。
白い着物を着た老人が、墓石の陰から、ある家族連れを見守っている。
父親と母親、それに二人の子供たち。家族は墓に花を供え、線香に火を灯すと、目を閉じて静かに手を合わせた。
(大きくなったな。一年見ない内に……)
老人の口元に笑みが浮かぶ。
(ヒロトは来年小学生か。ランドセルをわしが買ってやりたかったものじゃ)
蝉の声が聞こえる。
(カオリは母親に似たようじゃな。将来はきっと美人になるぞ)
幸せな未来を思い描き、老人の心は晴れやかだった。
(墓参りにも、毎年こうして来てくれる。わしのことを忘れないでいてくれているようじゃが、しかし、なんじゃな……)
老人の顔が不意に曇る。
(どうして毎年こうなのかのお……)
老人がため息をつく。
(わしは隣の墓なんじゃが……)
家族は参る墓を間違えていた。




